定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。
[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
21日目:誘拐
「逃げましょう!」
間髪入れずロゼが叫んだ。
「ふふ、逃げられると思っているのかい?」
タインと名乗った者はそう言って笑う。それを無視してロゼは気絶しているイヴスメルを抱え顎でヴィテスに移動を促した。
「悔しいが、そうせざるを得ないか…」
しぶしぶ、といった感じでヴィテスはタインに向かって矢を放ち撤収しようとした。だが。
「!?」
そこにその者はいなかった。
「!!」
ロゼが行こうとした先を見て絶句している。ヴィテスはすぐさま状況を理解し、そちらを向いた。
そう、行こうとした先にタインは立っているのだ。
「瞬間移動か?!」
ヴィテスが唇を噛む。くすくすと楽しそうに相手は笑った。
「さあ、どうかな。こちらの手の内をそう簡単に明かすわけないよね?」
「否定の可能性が高そうですね…」
言いながらロゼはイヴスメルをあらためて抱え直そうとする。が、すでにそこには……
「ロゼ、どうなっているんだ!」
ヴィテスが声を荒げる。イヴスメルの身体はタインの横に転がされているからだ。
「………」
ロゼの瞳が揺らいだ。
「…時間停止、ですね」
「えっ」
ぼそりと呟いたロゼに、タインは呆気にとられた声を出す。
「さ…さすが学園1位さんってこと? そんなあっけなくバレるなんて」
タインの触手のように蠢く黒髪の動きが鈍る。それが彼の動揺を現わしていた。
「時間停止…それでは、こちらはどうすればいいんだ」
対してヴィテスが困惑した声を出す。すると、蠢いていた黒髪の動きは先ほどと変わらなくなった。
「そうだよ。僕の能力がばれてしまったところで、君たちにはなにもできまい。時が止まっている間に死んじゃえよっ!」
「ぴかー」
そのとき、なんとも場違いなのんびりした声…正確には音が響いた。ウィスプが激しく発光したのだ。
「わっ」
タインが怯む。その隙をヴィテスが見逃すわけがなかった。
タインの胸を正確に矢が射抜く。
「く…はっ……」
ふらり、と黒髪の少年はよろめいた。そこにロゼが駆け寄り、イヴスメルを取り返そうとした次の瞬間には――なにもかもが消えていた。
「あれで死ななかった、か」
ぽつりとヴィテスは呟く。
「いったい、何故…」
ロゼも茫然と呟く。
「何故、はこの際どうでもいいだろう。イヴスメルのことは詳しくは知らない。でも、彼女に害が加えられるとしたら、気分は、悪い」
ヴィテスはそう言って、ぎり、と唇を噛んだ。
「そう、ですね…。ですが、この状況をどうしろというのです」
ロゼは害が加えられるかもしれない、ということを否定しなかった。正確には、できなかった。
重い沈黙が続く。そのとき、ふいに声がした。
「アイツがどこに逃げたか、教えてあげよっか?」
声の主を探す。すると二人の後方でぷかりと浮いていたのは、黒い尻尾と灰色の翼を生やした小さな少女だった。
「悪魔…」
そのままの感想をロゼが述べ、ヴィテスが弓に手をやる。するとその少女の姿の悪魔は露骨に慌てだした。
「うわっ、酷ッ! こっちは情報をあげようとしているだけなのに! わかったよー、言うよー」
「そういう問題ではない」
ぴしゃりとヴィテスが言う。ロゼもこくりと頷いた。
「そんなこと言わずにさ! そこの眼鏡のオニーサン、ガラン様、ガラン=グホン様のこと知ってるでしょーが」
「悪魔の言うことに耳を傾けるつもりはない」
またぴしゃりとヴィテスは言ったが、ロゼの警戒は少し揺らいだ。
「“様”? なぜ人間であるガランさんに様付けを」
ヴィテスはロゼに文句を言いたげに目をやる。ロゼは首を振って、ガラン=グホンなる人物が何者かを告げた。
ガラン=グホンはカシーア会に所属する人間で、魔属を嫌悪している少女だ、と。
「ガラン様、というかカシーア会の人がさ。魔属をコントロールするアイテムを発明したんだよねっ。で、そのアイテムでコントロールされた第一号が、このボク、ファミリアさ!」
なぜか自慢げに言う目の前の悪魔に、ロゼとヴィテスは困惑して顔を見合わせた。
「自慢げに言うことです? そういうことは」
「なにより、お前の言っていることが本当だという証拠もない」
ロゼに比べてヴィテスは警戒を緩める感じはない。それを見たファミリアは肩をすくめて、
「じゃあさ、しばらく行動を共にするよ。そうしたらボクが信用に足る者だってわかってもらえると思うね」
と、言った。
間髪入れずロゼが叫んだ。
「ふふ、逃げられると思っているのかい?」
タインと名乗った者はそう言って笑う。それを無視してロゼは気絶しているイヴスメルを抱え顎でヴィテスに移動を促した。
「悔しいが、そうせざるを得ないか…」
しぶしぶ、といった感じでヴィテスはタインに向かって矢を放ち撤収しようとした。だが。
「!?」
そこにその者はいなかった。
「!!」
ロゼが行こうとした先を見て絶句している。ヴィテスはすぐさま状況を理解し、そちらを向いた。
そう、行こうとした先にタインは立っているのだ。
「瞬間移動か?!」
ヴィテスが唇を噛む。くすくすと楽しそうに相手は笑った。
「さあ、どうかな。こちらの手の内をそう簡単に明かすわけないよね?」
「否定の可能性が高そうですね…」
言いながらロゼはイヴスメルをあらためて抱え直そうとする。が、すでにそこには……
「ロゼ、どうなっているんだ!」
ヴィテスが声を荒げる。イヴスメルの身体はタインの横に転がされているからだ。
「………」
ロゼの瞳が揺らいだ。
「…時間停止、ですね」
「えっ」
ぼそりと呟いたロゼに、タインは呆気にとられた声を出す。
「さ…さすが学園1位さんってこと? そんなあっけなくバレるなんて」
タインの触手のように蠢く黒髪の動きが鈍る。それが彼の動揺を現わしていた。
「時間停止…それでは、こちらはどうすればいいんだ」
対してヴィテスが困惑した声を出す。すると、蠢いていた黒髪の動きは先ほどと変わらなくなった。
「そうだよ。僕の能力がばれてしまったところで、君たちにはなにもできまい。時が止まっている間に死んじゃえよっ!」
「ぴかー」
そのとき、なんとも場違いなのんびりした声…正確には音が響いた。ウィスプが激しく発光したのだ。
「わっ」
タインが怯む。その隙をヴィテスが見逃すわけがなかった。
タインの胸を正確に矢が射抜く。
「く…はっ……」
ふらり、と黒髪の少年はよろめいた。そこにロゼが駆け寄り、イヴスメルを取り返そうとした次の瞬間には――なにもかもが消えていた。
「あれで死ななかった、か」
ぽつりとヴィテスは呟く。
「いったい、何故…」
ロゼも茫然と呟く。
「何故、はこの際どうでもいいだろう。イヴスメルのことは詳しくは知らない。でも、彼女に害が加えられるとしたら、気分は、悪い」
ヴィテスはそう言って、ぎり、と唇を噛んだ。
「そう、ですね…。ですが、この状況をどうしろというのです」
ロゼは害が加えられるかもしれない、ということを否定しなかった。正確には、できなかった。
重い沈黙が続く。そのとき、ふいに声がした。
「アイツがどこに逃げたか、教えてあげよっか?」
声の主を探す。すると二人の後方でぷかりと浮いていたのは、黒い尻尾と灰色の翼を生やした小さな少女だった。
「悪魔…」
そのままの感想をロゼが述べ、ヴィテスが弓に手をやる。するとその少女の姿の悪魔は露骨に慌てだした。
「うわっ、酷ッ! こっちは情報をあげようとしているだけなのに! わかったよー、言うよー」
「そういう問題ではない」
ぴしゃりとヴィテスが言う。ロゼもこくりと頷いた。
「そんなこと言わずにさ! そこの眼鏡のオニーサン、ガラン様、ガラン=グホン様のこと知ってるでしょーが」
「悪魔の言うことに耳を傾けるつもりはない」
またぴしゃりとヴィテスは言ったが、ロゼの警戒は少し揺らいだ。
「“様”? なぜ人間であるガランさんに様付けを」
ヴィテスはロゼに文句を言いたげに目をやる。ロゼは首を振って、ガラン=グホンなる人物が何者かを告げた。
ガラン=グホンはカシーア会に所属する人間で、魔属を嫌悪している少女だ、と。
「ガラン様、というかカシーア会の人がさ。魔属をコントロールするアイテムを発明したんだよねっ。で、そのアイテムでコントロールされた第一号が、このボク、ファミリアさ!」
なぜか自慢げに言う目の前の悪魔に、ロゼとヴィテスは困惑して顔を見合わせた。
「自慢げに言うことです? そういうことは」
「なにより、お前の言っていることが本当だという証拠もない」
ロゼに比べてヴィテスは警戒を緩める感じはない。それを見たファミリアは肩をすくめて、
「じゃあさ、しばらく行動を共にするよ。そうしたらボクが信用に足る者だってわかってもらえると思うね」
と、言った。
PR
COMMENT
- <<22日目:闇の魂
- | HOME |
- 19日目:襲撃>>