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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

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11日目:聞こえない声
ヴィテスが次の矢を放つのとほぼ同時に、ボンバーと自称した男は消えていた。

「…ふう」
息を吐き出したヴィテスの元へ、ロゼはやってくる。
「助かりました、そしてお久しぶりです」
ヴィテスはロゼのほうを見た。が、はっとした顔になり目を逸らした。
「……」
ロゼはなにも言わず、ヴィテスを見つめる。目を逸らしたことを責めることもなく。
すると、間を開けてヴィテスはロゼのほうをゆっくりと向いた。さきほどと同じ表情に一見見えるが、より一層目を見開いて。
「聞こえ、ない…?」
そう言うと、ロゼの元へ歩み寄ってきて、まじまじと見つめるのだ。
「聞こえない…!」
「なんのことです?」
問われれば、ヴィテスはそっと言った。
「ロゼ=フラン。君の考えが聞こえないんだ。なにも考えていないわけではないよね?」
「?」
ロゼは首を傾げた。

ヴィテス本人によると、今は若干興奮しているらしい。
理由は、自分の能力がロゼには通用しないから。
「能力? 超能力ですか?」
ロゼが問えば、ヴィテスはおそらく、と答える。
「超能力の素質があるものを学園はスカウトするんだよな?」
その問いにロゼは苦笑しておそらく、と頷いた。
そしてヴィテスは言った。学園で授業を受けるようになっていつからか、人の心が読めるようになってしまったのだと。
それを聞いてロゼは言葉を失った。目を剥いた。ただしビン底メガネのせいで相手には見えなかったであろうが。
ロゼのオーバーアクションにも気付くことなく、ヴィテスは感情のこもらない声で、それから人と接するのが怖くなったのだと告げた。それがヴィテス=オートンの人嫌いの原因だったというわけだ。
「だけど、君の声は聞こえない。こんなに嬉しいことはない!」
自分は超能力が思うように使えなくて苦しかったのだけれど、とは言えず苦笑いをしつつ、ロゼは確認作業に移った。
「僕の声だけが聞こえないのですか?…もしかして、この世界では能力が発動していないのかもしれませんよ。この世界で別の人と会ったりはしていないのでしょうか」
ヴィテスは口元に手を当てて考えているようだった。
「………わからない」
「それでしたら」
ロゼは提案した。今、自分は一揆に参加していて知り合いがいるから、その人々の心が読めるか確かめてみないかと。
ヴィテスは明らかに動揺した。一歩じりっと後ずさりをしたからだ。
それを見てロゼは言う。
「大丈夫ですよ。あの人たち良い人たちですから。…呆れるくらいにね」
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