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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

カテゴリー「~story~」の記事一覧
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ロゼが、ヴィテス=オートンを知ったのは、そう最近ではなかった。
弓道部の期待の星。それがヴィテスの評価だ。
弓道とはかなり独特のもので、ある地方の競技で、独特の制服を身に纏い、独特の大弓で目標を撃ちぬくもの。
そんな変わったものに興味を持つ者は少ないし、その上うまくできるものなどそうそういない。
そういう意味ではヴィテスはロゼの興味を引いた。
だが、人物像としてはあまり面白そうではない噂を耳にした。
とにかく人目を避けるというのだ。
興味はあれど、人間嫌いという面倒な性格と思われる者とは積極的に関わりたいとは思わなかった。

そんな彼と偶然出くわしたのが、園長室の前である。
どうして彼がヴィテス=オートンとわかったのかといえば、その格好だった。
独特の制服を着ていたし、制服にはご丁寧にオートンと書かれていたためである。
ロゼはそれを確認するとほぼ同時に、なにか違和感を感じた。
具体的には、はじめて出会った気がしなかったのだ。
気のせいではないのか、誰かと勘違いしているのか。
そう思って相手を見つめると、噂通りヴィテスはロゼの視線から逃れどこかへ行こうとした。

が、その瞬間だった。

大きな振動が彼らを襲い、気が付けば…ロゼとヴィテスの大弓だけがメルンテーゼの城の前に落ちていたというわけである。

「まったく…」
ロゼが世界転移の経験を思い出してため息をついた時だった。
「逃げて!」
イヴのコピーが声をあげた。
あまりに説明が足りない頼みですよ。そう文句を言おうとしたが、言う前にロゼは突然の爆発で吹き飛ばされていた。
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学園が 崩れていく

園長室の 目の前で

はじめて話した 期待の星が

なにか言ったのが 聞こえる前に

目の前が 暗転して

次の瞬間に 自分を包むすべてのものが

桃色の空間となり

そして
今度ロゼ一行が出会ったのは、兵士であった。
ここにも兵士は派兵されていたのである。
しかし運悪く彼らは水浴び中で、変な誤解をされたまま戦闘に入った。
彼らの見た目で、その格好は、いくらロゼでもアウトだったというわけだ。

兵士の一人はウィスプが輝いたとたん吹き飛んだ。
驚いたのはロゼも、である。
「いったい、なにが…」
思わずつぶやくも、ウィスプはころころと転がっているのみ。
そして残りの兵士にも光を浴びせていった。
…彼らは光が弱点だったのであろうか。決着は、一瞬だった。

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ロゼは見た目が変な成績優秀者ということで一躍有名になった。
話してみれば、性格も変なので、ますます有名になる。
からかいの声も多々あったが、それすらロゼは嬉しかった。
なぜなら、その声も本来ならば自分には向けられないもの。
成績が伸びなければ、超能力がなかなか習得できないというただの劣等生で、この学園でも表に出ることは無かったであろう。

ロゼは、幸せだった。
学園に来て、よかったと思った。
スパイ行動などどうでもよくなってきたころ、事件は起きた。
水場で、大量の獣に出会ってしまった。
ルチルは「エンブリオさんの巣」と表現していたが、エンブリオか判断しがたい者のほうが多かった。
海象である。
凶暴そうな表情と体躯が目立つ生き物だった。

だが、それも軽くスルーしてしまうのがロゼの困ったところである。
ロゼが気にしていたのは、それらの後ろにたたずんでいた、セイレーンであった。

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学年1位の成績持ちのロゼである。
勉強だけができるのではなく、技術面の才能もあったのだ。
学ぶことは新たな世界を知ることである。
いつしかロゼは、たくさんの技術を習得し、愛した。
そのなかの一つが歌、だったのだ。

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「セイレーンというのは…歌で人を魅了してしまう魔物の名。
それを実際目にするとは…」
人で無い者とは複雑な関係で育ってきたとはいえ、自分の好きなものに優れた者への興味は隠せなかった。

だが。
そのセイレーンはあまりにも未熟で。
気が付けばロゼは彼女を引っ張って特訓しようと決めていたのであった。
<5日目>
兵士とはうって変わって、場の獣たちは早々に退散した。
芋と狼であったし、火が弱点だったのかもしれない。
「さすがに農業の世界。芋が動いているんですね」
ロゼは芋のことを疑問には思わなかった。それどころか、その事実をもさくっと忘れて先へ進みだす。
すると…一つの人形を見つけた。
道端に落ちている割には真新しい、黒髪の少女の人形。
「どなたかの落としものでしょうか…ここに置いておいても、進軍されているかもしれませんし…」
自分が届けるのは難しいかもしれないが、持ち主が滞在している可能性はもっと低い。そう思って拾い上げると、人形はしゃべりだした。
『お願いします。マスターを、助けてください』
ロゼは驚いて、一度人形を落としてしまった。

人形は「イヴのコピー」と名乗った。
持ち主が「イヴスメル」という少女で、彼女に似せて作られたからだそうだ。
イヴスメルは一揆に参加するわけではなく、ある目的(イヴのコピーもその目的は教えてもらえなかったそうだ)のために、メルンテーゼにやってきた。
だが、そこで「ボンバー」と名乗る男に襲われ逃げ出し、イヴのコピーを落としたという。
「ボンバー?」
ロゼが聞き返すと、イヴのコピーはその男の特徴を語った。
「……」
それに対して、ロゼはなにも言わなかった。

イヴのコピーもこの世界ではエンブリオに分類されるらしく、ロゼに協力する代わりにイヴスメルを助けてほしいと言った。
「そう言われても…僕はひとり行動では、ありませんし…」
渋っても、懸命に頼み込んでくるイヴのコピー。やむなくロゼはボンバーと出会ったときはひとりで対峙することを決めたのだった。

ちなみにイヴのコピーは弓矢を使うことができるようだ。
大弓は無理だろうが、彼女に合わせた弓を調達しよう。ロゼはそんなことを思い、仲間の元へ合流した。
そして一行は進行先を変え、川辺へと向かって行ったのだった…。

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さて。
川辺を歩きながら、ロゼはぼんやり昔のことを思いだす。

物心ついたときから、カシーア会に所属していた。
ハイザー学園を、パレドン・ソヌスの力を借りた組織と言いながら、カシーア会もまた、カシーア・ソヌスの力を借りて力を得ようとしていたのである。
しかし、そこでは超能力に目覚めることができず、超能力を身に着けるというのがウリであるハイザー学園に潜入を言い渡された。
敵地の可能性もあるが、超能力に目覚めることができるかもしれないだろう、と説得されたが正直、ただの厄介払いなのはわかっていた。

だが、ロゼは後ろ向きにはならなかった。新たな環境で、別のなにかが得られるかもしれないと前向きに考えた。
それが功を為したのか、ロゼは知力面での才能を発揮し学年1位の成績を常にキープするようになった。
彼はそれを喜び、学年1位の証として瓶底メガネを愛用し始める。
「ガリ勉といえばこれですよねー」
メガネのせいで見えなくなった瞳は、確かに笑っていた。
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