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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

カテゴリー「~story~」の記事一覧
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水辺の侵攻に失敗して、一行はゆっくりと休んでいた。

弓の手入れをするヴィテス。
セイレーンの髪を梳くロゼの横でウィスプがふわふわと漂う。
残るイヴのコピーは水辺で遊んでいて、なにかに気が付いた。

『マ、マスターです!』

やがて、小さな体を動かして、駆けつけてきた彼女にロゼはほう、といった感じで顔を向けた。対するヴィテスはただ事ではないのでは? とロゼに問いかけた。

イヴのコピーに連れられて川のほとりに来てみれば、巨大なクモに乗られて気絶している少女がいた。
髪の分け方や服装がドールに似ている印象があり、ロゼは彼女こそがイヴスメルなのだとわかった。
「助けよう」
その間にヴィテスは弓を番え、クモを追い払っている。が、少女はすぐに目を覚まさなかった。

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なお、15日目は締切落としたため、おやすみです。
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ロゼが3番目に契約したエンブリオ、セイレーン。
ちょっと歌に自信があったロゼがさらに歌を上達させるために、参考にしようと思っていたところ、まったく参考にならなかったので、無理やり引っ張ってきたという経緯で一緒にいるのだ。

「さあ、セイレーン。練習ですよ」
ロゼが声をかけると、嫌そうに飛んでくる。
「では、宿題のフレーズをお願いします」
言うとセイレーンは歌いだす。しかしやはり微妙に外れているのだった。
(いっそのこと、音痴だったほうがいいのかもしれないですね…)
などと酷いことを考えていると、ヴィテスがやってきた。
「歌か?」
「ほら、歌とも認識されていませんよ」
「なっ、そ、そういうつもりは…!」
普通に声をかけたら、ロゼが毒らしき言葉を吐いたのでヴィテスはとても驚いた。手をばたばた振って、セイレーンに気を遣う。対してセイレーンは気にしていないのか、ふわりと浮かんでいる。
「今、特訓中なのですよ。伝説のセイレーンがこの歌唱力ではあまりにがっかりなので」
「そうなのか」
ロゼの言葉に、ただ相打ちを打つヴィテス。
「ヴィテスは歌、好きですか?」
話を広げるために次の質問を投げかけたが、ヴィテスがこくりと頷くまでは計算外だったようで。
「そうですか…、え、そうなんですか? では特訓の手伝いお願いしてもいいでしょうか」
変な返しをした。しかし立ち直りも早く、突然の振りまでする。するとヴィテスの眉が下がった。困っているらしい。
だが、やがて、こくり、と頷いた。
「よかったら、さっそく一フレーズ」
ロゼに言われるがままに、ヴィテスが歌いだす。

ロゼの歌色より、やや低く、芯の通った声が辺りに響き渡った。

あまりのことにロゼは目を点にして、それを聞くことしかできないのであった。――セイレーンの教育係が変わった瞬間だった。
ヴィテスはロゼに連れられて一揆で行動を共にしている人々と顔を合わせた。
どこか引きつった顔でロゼと同じ世界から来たと告げるヴィテスを後目に、ロゼは考え込んでいた……。

一揆が始まってからもう12日目になろうとしていた。
ロゼはウィスプと共に夜の道を歩いている。ウィスプがほんのりと輝いているので、暗闇の恐怖というものがロゼを襲うことはない。
いやむしろ――
「暗闇の中で僕は生きてきたんですよ」
ぽつりとロゼはウィスプに語り始めた。
ウィスプはロゼの告白を黙って聞き、全てを打ち明けられた後もただぼんやりと輝くだけだった。

翌朝。
夜の散歩でロゼはやや寝坊した。
眠い目をこすって起きてくると、ヴィテスが能弁に話している姿が飛び込んでくる。
「………」
唖然とそれを見つめていると、ヴィテスはロゼを見つけてバツの悪い顔をした。
「おはよう。久しぶりに普通に話せて興奮してしまってさ。なんかその、ごめんな?」
謝られて、内心ロゼは冷や汗をかく。昨日は自分の心を読めないと言っていたが、戻ったのではないかと。
しかし、ロゼが焦っていることには全く気付く様子がないので考え直す。能力以前の問題で、彼はもともと気が付くタイプなのかもしれないと。
「いえ、なじんでいるようでなによりです。ところで、一揆に参加するつもりはあります?」
問われると、ヴィテスはああ、と声をあげた。
「ここは俺の世界と違う世界で、帰る方法がわからないなら、帰る方法を見つけないとな。そんな力を持っているエンブリオを探すっていうのはいいかもしれない」
そういえばルチルがそんなことを言っていたか。ロゼは納得してこくこくと頷いた。しかし、次にヴィテスの口から飛び出してきた言葉は意外なものだった。
「そしてキミを見送って、俺はどうしようかな」
「そうですね……って、え?」
流れで頷いてしまってから違和感を感じて間抜けな声を出してしまうロゼ。しかし頭を使えば理由は導き出せるわけで…。
「この世界では俺は能力に悩まされることはない。こちらの世界で生きていきたい」
「そう、ですか……そうですね」
そして、ヴィテスが知らない範囲の情報を照らし合わせた上でもそれが良いと、ロゼは思い、同意した。
(……姉さんは怒るかもしれないですけどね)
ヴィテスが次の矢を放つのとほぼ同時に、ボンバーと自称した男は消えていた。

「…ふう」
息を吐き出したヴィテスの元へ、ロゼはやってくる。
「助かりました、そしてお久しぶりです」
ヴィテスはロゼのほうを見た。が、はっとした顔になり目を逸らした。
「……」
ロゼはなにも言わず、ヴィテスを見つめる。目を逸らしたことを責めることもなく。
すると、間を開けてヴィテスはロゼのほうをゆっくりと向いた。さきほどと同じ表情に一見見えるが、より一層目を見開いて。
「聞こえ、ない…?」
そう言うと、ロゼの元へ歩み寄ってきて、まじまじと見つめるのだ。
「聞こえない…!」
「なんのことです?」
問われれば、ヴィテスはそっと言った。
「ロゼ=フラン。君の考えが聞こえないんだ。なにも考えていないわけではないよね?」
「?」
ロゼは首を傾げた。

ヴィテス本人によると、今は若干興奮しているらしい。
理由は、自分の能力がロゼには通用しないから。
「能力? 超能力ですか?」
ロゼが問えば、ヴィテスはおそらく、と答える。
「超能力の素質があるものを学園はスカウトするんだよな?」
その問いにロゼは苦笑しておそらく、と頷いた。
そしてヴィテスは言った。学園で授業を受けるようになっていつからか、人の心が読めるようになってしまったのだと。
それを聞いてロゼは言葉を失った。目を剥いた。ただしビン底メガネのせいで相手には見えなかったであろうが。
ロゼのオーバーアクションにも気付くことなく、ヴィテスは感情のこもらない声で、それから人と接するのが怖くなったのだと告げた。それがヴィテス=オートンの人嫌いの原因だったというわけだ。
「だけど、君の声は聞こえない。こんなに嬉しいことはない!」
自分は超能力が思うように使えなくて苦しかったのだけれど、とは言えず苦笑いをしつつ、ロゼは確認作業に移った。
「僕の声だけが聞こえないのですか?…もしかして、この世界では能力が発動していないのかもしれませんよ。この世界で別の人と会ったりはしていないのでしょうか」
ヴィテスは口元に手を当てて考えているようだった。
「………わからない」
「それでしたら」
ロゼは提案した。今、自分は一揆に参加していて知り合いがいるから、その人々の心が読めるか確かめてみないかと。
ヴィテスは明らかに動揺した。一歩じりっと後ずさりをしたからだ。
それを見てロゼは言う。
「大丈夫ですよ。あの人たち良い人たちですから。…呆れるくらいにね」
美しい河原から一転。古めかしい建物の前にロゼは吹き飛ばされていた。
「今の爆発は…」
身体への衝撃も大きかった。しかしそれどころではないと、辺りを見回す。
「意外とタフなんだなぁ~」
降ってきたのは若い男の声。声の発信源を探してきょろきょろすれば、
「こっちだ、こっち」
ひらり、と目の前に青年が現われた。ただし真っ赤な髪と炎を両手に纏わせた姿は人外だと思わせるには充分だった。
「………」
「ハイザー学園2年の有名人、ロゼ=フラン。だけど同時にカシーア会会員、ロゼ=フラン、だろ?」
にこりと笑う相手に対してロゼの口元は硬く結ばれたままだ。
しばしの沈黙の後、ひょいと青年は上半身を下ろし、極力視線の高さを揃えて続ける。
「ウンとかスンとか言えよ。ホントにカシーア会の連中は魔属を嫌うなぁ」
「どうしてここに。ここは異世界のはずなのに」
ロゼが言葉を発すると、ぽかんとした顔になり、それからははは、と笑い出した。
「異世界でまで魔属を見たくなかったってか? 残念ながら、お前たちが開けてくれた空間は通り放題なのよ」
上機嫌にしゃべりながら上半身を戻すと、その場から動こうとしないロゼをつんつんと足で突く。
「超能力のソウジョウコウカとかいう奴らしいぜ? お前と一緒にもう一人いただろ、園長に呼ばれてよ。園長は知っていたのさ。お前たちの超能力を掛け合わせれば、異界への空間が開くってな」
「“園長”が?」
おとなしく突かれたまま復唱すると、青年の表情が一瞬歪んだ。が、すぐにそれは消えて、トドメだと言わんばかりにガツリとロゼを蹴飛ばす。
「そうさ! お前たちが園長と呼んでいたのは、俺たちを束ねる女、ミーミルさ。さて、そろそろおしゃべりはやめて」
「そう、ですか………なら」
そのまま転がり上を向いたロゼの顔がくしゃりと歪もうとしたときだった。
ヒュン!
音を立てて、なにかが男のほうへ飛来するのが確認できる。ロゼは口を結び状況を伺った。
「ん? ――でぇぇぇぇぇ!!」
腕を抑えて憎らしげにロゼを睨み男が叫ぶ。
「なんだよ!? このボンバーに気付かれずに攻撃したってのか!!」
「違いますよ」
対してロゼは冷静に答えると、ゆっくりと起き上がった。そしてなにかの発射地点を探す。するとそこに予想通りの見覚えのある姿があったので、自分の意思と関係なく笑みが浮かぶのに気が付いた。
風に独特の衣装をなびかせて、ヴィテス=オートンが立っていた。次の矢の準備をして。
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