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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

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探索55日目
デルタの昔話・2
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自分の住んでいた集落から、飛ばされた少女。
「ここはいったい…?」
辺りを見渡すと、自分の集落があった都市とは違うが、
大きな都市がそこにはあった。
「なーん」
自分の手元に黒猫が現れる。
よく見ると、その猫は真っ黒なだけではなくて、金の瞳を持ち、
首に赤いリボンをつけていた。
黒猫は少女から離れて、都市のほうへ歩いていく、
いや、歩いていこうとしたのだが、途中でコテン、と倒れた。
少女が手に痛みを感じたのと同時であった。
「……」
猫が恨めしそうに少女のほうを見る。
「………」
少女はわけがわからないので、ぽかんと黒猫を見つめ返す。
『私と融合したのだ。汝と私は離れることができない』
その言葉を聞いて、はて、と少女は考えた。そして痛みを感じたところを見ると、
そこには黒猫の尻尾がくっついていた。
「……」
少女は試しにその手を持ち上げてみる。
「なっ」
猫が人間語らしきものを発したが、おそらく「なーん」の短縮形だろう。
ぷらりと、黒猫は少女の手からぶら下がる形になった。お互い引っ張られて
痛いはずなのに、少女は面白がっているのか、手を左右にゆらゆらと揺らす。
それに対して猫はゆらゆらと尻尾の先端が動かされるので痛そうな声をあげる。
「痛いのですか?」
1分ほど遊んでから、ようやく少女は黒猫に尋ねた。
「にゃう!」
猫は怒っている。
それに少女はうろたえることなく、猫を両手で抱えて、自分の肩に乗せた。
「この都市に興味がおありなのでしょう? わたくしも一緒に行かないといけない
体になってしまったのですね。それだったら、最初からそう言ってくだされば
よかったのに」
そう言いながら、都市へ向かっていく少女。
しかし都市が近くなり、人が見えてくると、猫は姿を消していた。
「…?」
おや、と少女は思ったが、たいして気にせず、そのまま都市へ入っていった。

都市は広く、同時に高かった。
幸運なことに、通貨は同じだったため、困ることなく少女は生活ができそうだった。
そこには、様々な人がいた。騎士、狩猟者、精霊使い…そして、彼女と同じ、
魔的存在と融合したものも多かった。
「もしかして、ここにはわたくしと同じ境遇の者が多いとわかってここに住むように
仕掛けたのですの?」
人手の無いところで聞くと黒猫は現れて、偉そうに、なぁん、と鳴いた。

そんなある日のことだった。
なにかの声が頭の中に響き渡った。一瞬黒猫かと思ったが、それとは全く違う、
優しい声色だった。
「誰も私を許さない」
「?!」
普段動揺などしない少女も、さすがに驚いて、辺りを見回した。
「可哀想に。本当はあなたは優しい子よ。あなたに力を与えましょう。
この力であなたは孤独から解放されるわ」
「力…ですの?」
しかし次の瞬間には淡々とした調子に戻っていた。先ほどの動揺は
――本心を見抜かれたと思ったからだ。
「そう。いつかこの世界を救うこともできる力よ」

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それを言ってから、にこりとデルタは笑う。
「ネタバレしますと、フェイテル様の声ですわ」
「えー! フェイテルサマが人助け?! ありえない! 明日は槍だね槍!」
「昔の話だろう…」
シャルが素っ頓狂な声を出したので、うるさそうにエリアスは突っ込んだ。
「そか。ウン。それで、それで?」

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その声は幻聴でもなんでもなく、少女には世界の邪悪な意思を見る力が備わった。
「まあ…わたくしが正義の味方というのは、
あまり性に合わない気がするのですけれど…」
困ったように上を見る。空は、都市の高さに阻まれて、見えなかった。

それから、何年か時が流れた。
たまたま通りがかった小屋の前で、和気藹々とした声を少女は聞く。
小屋をそっと覗くと、数人の男女が、カードで遊びをしていた。
知らない遊びだったが、そこの雰囲気が気に入ってしまい、気まぐれで
顔を出すようになった。
そんな彼女を、その小屋の人々は受け入れてくれ、少女はじーっとその遊びを見て
時間を過ごすようになった。
人のぬくもりを知らなかった少女はやがて、気まぐれではなく、
毎日のように入り浸るようになる。
そして、知らない感情をある人に抱くようになる。
死ぬまで彼女が知ることの無かったその感情は、「恋」だった。

その人は温厚で、誰にも優しく面白く。少女の知らないものをたくさん持っており、
それを少女にも向けてくれた。
最初は向けられる感情が嬉しくてたまらず、他の人にも向けることも
それがその人の良さなのだと思っていたのだが、
いつの間にか、それを独占したいと思うようになっていた。
世界の邪悪な意思を見る力が無ければ、あっという間にその意思に
取り込まれるほどに。幸運なことに、意思を見る力には、
邪悪な意思を跳ね除ける力もあったのだ。だが。
その力を持つきっかけも様々で、ほとんどの者が自分の経験から手に入れていた。
やがて、与えられただけの少女は、与えた者の気まぐれでその力を失ってしまう。
そこから彼女が堕ちるのは、あっという間だった。

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「ん… ん?」
カルニアが声を出した。デルタは一瞬沈黙したが、にこりと笑って、
これでおしまいですわ、と言った。
「カル、ひどいよひどいよー! なんで昨日の戦いで
復活付与してくれなかったのー!」
何事も無かったかのように、カルニアを責めるシャル。
シャルの肩から下ろされたカルニアは目をこすりながら、
どこかぼけーっとしながら答えた。
「ふっかつふよ…ふっかつ…復活、ですか?
 いや、当たり前ではないですか。私、寝ていたんですけど…」
「ホントに寝てたの?!」
嘘つきは信用できないよ! シャルはそう言いたげにカルニアを見ている。
しかしそれは悲しいが本当のことなのだ。
――そうでなければ、デルタが自分の前世の話など、するはずがないのだから。

(この悲しいエンディングが破壊されますように。
最悪と、悲哀とどちらに果たして転ぶのか。)


――最後まで話せなかった――

いかんせん、他ゲームでのお話しですので、未来のことは書けません!
最悪ルートになると…人様殺し確定ロールになっちゃうしね。
悲哀ルートでさっさと死んどけ。

どうしてそういうことになったかと、デルタが先にできたキャラで、
大罪を犯している、ということが前提にあったのです。
だから「正義の味方」になるゲームに放り込んだのが間違いだったのかもですけど
あっちも黒いしまあいいか。

今週のランキング。
第13位  2172

次に苦戦しています。ランク、きっと落ちる。
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