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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

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探索12日目
フェイテルは機嫌が良かった。
クリスマスプレゼントの中身が気に入ったからである。
フェイテルは機嫌が良かった。
先日、紙一重で負けた鳩相手に今回は余裕で勝ったからである。

「カルニア」
ぽんっと強制的にカルニアが召喚される。
「おっとっと」
フライパンを持ったカルニアは、宙に浮いていたホットケーキを
それでなんとかキャッチした。
「フェイテル様ー。私の状態、わかっていらっしゃるのでしょう? 
そんなときに呼ばないでくださいよう!」
そんなことは関係ない。とすら言わないフェイテルは微笑みを浮かべて
カルニアの頭を撫でた。
「え…?」
予想外の行動に、カルニアは驚きを隠せなかった。
「貴方の魔法のおかげで勝てたようなものよ。ありがとう」
さらに予想外の言葉にカルニアは軽くパニックを起こす。
(フェイテル様が『ありがとう』?! 私なんかに?! 
そもそも司は『ありがとう』なんて言わない存在なのに! 
どうしちゃったんですかフェイテル様!? 
ああ、なにが起ころうとしているんでしょう。
槍が降るのでしょうか。臼が降るのでしょうか。とにかく緊急事態ですよ!)
一瞬でこういう言葉が駆け巡った。
しかしカルニアは運が悪かった。フェイテルがしっかり水晶玉を覗いている。
「あ」
「……」
フェイテルはにっこりと笑った。カルニアは後ずさりをする。
「そ、そもそもその水晶ずるいですよ! 
人の宿命を見ることができるだけのものじゃないんですか! 
邪心の心を読めちゃうなんて用途外のことじゃないですか! 
あ、ああ…おしおきはかんべんしてください!」
「そうね」
フェイテルは短く答える。笑顔は崩れない。
「この水晶は宿命を見るものよ。でも貴方たち邪心と私は契約をしている。
だから心の中をこれで見れるのよ。だから用途外ではないわ。
それにそんなに怯えないで。
貴方の考えたことより、貴方の活躍を私は大きく見たわ」
そう言ってすたすたとフェイテルは距離を縮めると、カルニアの頭を再び撫でた。
「プレゼントの配達もご苦労さま。ひとつは自分で中身がわからないまま
選んだけれど、いいものをもらえたと思っているわ。
もうひとつはまだ開けていないけれど、楽しみね」
「フェイテル様…」
じんわりと涙を浮かべるカルニア。
(え。私、どうして泣いているんでしょう…)
本人にすらわからない謎の涙が、地面に落ちた。
「あら、泣くほど感動したのかしら?」
フェイテルは言う。
自分でもわからない出来事なので、カルニアは、そう、かもしれません…と
答えることしかできなかった。

フェイテルはカルニアを撫で続けている。
「カルニア。貴方はあとどれくらい戦うつもりなの?」
カルニアから説明を受けたことを頭の隅に置いて、フェイテルは尋ねる。
「強化、というものを行うには私はあと3レベル分だけ戦えばいいです。
その後はエリアスと交代ですね」
魔術と剣術。
相反する二つの技。二つの邪心の関係とよくマッチしている。
技の威力を上げるには、ひたすら技を使うしかない。
しかし技を発動させるには特定の装備をしていなくてはいけないのだ。
「できれば…あと5上げれれば私も武器無しで戦闘に参加できるのですけどね」
カルニアはこう付け足した。
「そう…」
フェイテルはつぶやく。いつもの微笑みではなく、目を閉じて、
まるでなにかを考えているかのようだった。
「フェイテル様?」
カルニアがいつもと違うフェイテルの表情に問いかける。
「また…新たな邪心が生まれたわ」
「えっ」
突然の発言にカルニアが驚いて言う。
フェイテルは目を閉じたまま言葉をつむぎ続ける。
「素質は持っていた子なの。ただ、邪心と呼ぶには力が小さすぎたのよ。
その子がついに力を手にいれたみたい。カルニア。命令よ。
その子を合同宿舎と貴方たちが呼んでいるところに連れてきなさい」
フェイテルの言うことはカルニアからすると無茶苦茶である。
「突然そんな…彼にも事情があるかもしれませんし、話し合ってみないことには。
それに、そもそも彼がどこにいるのかわかりませんよ私には」
彼、とカルニアが断定しているのは、フェイテルの使役できる邪心、邪霊の性質に
関係している。
邪心や邪霊は性別をほぼ持っていない。しかし、自我が強くなるにつれ、
どちらかの性別に傾くのだ。
邪心となると、もともと光の部分が性別を持っていることが多い。
そして、フェイテルが管理する世界の邪心は男性なのだ。
何故そう決まっているのかとカルニアは問いかけたことがある。
それも宿命よ、とフェイテルは笑った。
「話には続きがあるわ」
ゆっくり、フェイテルは言葉を紡ぐ。
「あちらの世界に、4つ王国があるわよね。その中の、森の王国を訪ねなさい。
あそこの王として、彼は君臨しているわ」
撫でられているにもかかわらず、カルニアは顔を上げた。
「王様ですか! そんな方を連れ出すわけにはいかないですよ。エリアスだって
合同宿舎には長く留まれずに自分の世界にたびたび戻っているんですよ」
そうすると、フェイテルはにっこりと微笑んだ。
「貴方が昔そうしたように、影武者を準備できるわ、彼は。
そして彼も邪心になったのだから理解したはず。
私に使われる宿命になったのだ、と」
(なんかすごく迷惑ですよね…)
カルニアは相手に心を読まれる危険があるにもかかわらず、
つい本音を考えてしまった。
「貴方が嫌というならば、シャルにやらせるわ」
フェイテルはなにがなんでも彼を連れて来たいらしい。
「…シャルが真面目にやれば、問題なく事柄は進むでしょう。
ですが私が最初に聞いたお仕事です。私にもフェイテル様に使えるものとしての
プロ意識というものがあります。だからやりたいという気持ちもあるのですよ。
少し、時間をいただけますか?」
フェイテルは空を見上げた。微笑んだままだが。
「少しなら待ちましょう」

「熟練度よりも~♪ 生産CPのほうが~♪ 足りない! 足りない!」
カルニアが頭を悩ませているころ、シャルは暢気に歌っていた。

「とりあえずお会いしてみます。ご本人でないとわからないことでしょうし、
邪心に成り立てなら、わからないこともたくさんあるでしょうから。
なので合同宿舎に戻していただけますか?」
「わかったわ」
「あ、それと」
カルニアはフライパンの上のホットケーキをフェイテルに差し出した。
「草ばかりだと大変ですものね。こっそり食べてしまっても
きっと誰にも怒られませんよ」
「冷めているわね」
「こ、これからあっためるんですよぅ~」
カルニアはわざとらしく笑うと、フライパンを火にかけた。

-----------
「寒い」
ある一室で一人の男が呟いた。
すぐ傍に控えていた赤髪の少年がちょこんと立ち上がり、
炎の呪文を唱えようとする。
「いや、そういう寒さではないんだ」
銀髪、そして黒い獣の耳をした男はそう言うと、眉をしかめ部屋の外を見た。
「私の身に変化が起こったのは知っているだろう、チモン。
――なにか良くないものが、私のところへやってくる。そんな予感がするんだ」
「ビスマス様…」
心配そうな声を上げる少年。
「力を得ることによって縛られる。それでも構わないのかと尋ねてきた男の
言うとおりだったらしい。私は…この国を助けてやれないかもしれん」
そう言って、森の国の王は、空を仰いだ。


フェイテルのセリフを書く上で、気をつけていることがあります。
それは「…」を使わない、です。
私は「…」多用人間なので、これがかなり厳しい。ダッシュで誤魔化す事もあります。
フェイテルに迷いはないのです。
あと予想以上にしゃべる機会が増えてきたのでガクブルものですよ。
フェイテル、なに言うかわかんないし! そもそも何考えているかわかんないし!
(なんでだよと思う方もいらっしゃると思いますが、キャラは勝手に動きます)

さて、今週は粘ったんだけど、ここで切ったほうがいいと判断して短めです。
でもね
第37位 1465
なんか上がってるー!

今度もがんばります。
フェイテル、おしゃべりに疲れる。
カルニア、森の国の王を掻っ攫う。
の2本でお送りする予定です。
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