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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

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探索30日目
「すなすなさばーく、ずぶずぶ沈むよどこまでもォ~♪」
シャルが歌っている。
しかし、それに突っ込む者はいない。いつものことだからだ。
「そろそろね」
フェイテルが足を止める。
「そろそろ?」
エリアスが聞き返す。先頭を歩いていたフェイテルは足を止め、振り返った。
そこにあったのは、いつもの笑顔。
「そうよ。同行者さんとまだ一緒にいたのはここのため」
フェイテルは同行者の名を呼ばない。
なんか寂しいなーとシャルは思っていた。
だが、呼ばないということは、呼ぶことによってなにか弊害が生じるのが
彼女には見えているということなのだろうと、邪心たちは理解して黙っている。
「こことは?」
カルニアが問う。するとフェイテルはククっと小さく笑い声を出すと、
笑顔を深くした。
「貴方が問うの? 貴方にならわかるはずよ」
言われ、カルニアは辺りを見回した。
辺りは砂漠がどこまでも広がっている。あちこちに廃棄されたと思われる箱が
点在していた。
「それにしても殺風景だな。いや、箱があるだけマシかぁ?」
ガンマが、辺りを観察しているカルニアの頭の上に腕を乗せ
さらにその上に顎を乗せてつぶやく。
「そうですよ!」
カルニアはガンマの土台にされていたので、するりとしゃがんで抜け出すと、
ある箱を指差した。
「あの箱。見た目はただの箱ですが――」
「オバケだぞー!」
シャルが唐突に声を上げる。
もう、驚かさないでください、とカルニアはシャルに言う。無駄なことだが。
案の定シャルはあっはっはーと笑って回るだけだ。
「そうね。シャルはその敏感な感性、カルニアは命を作り出す力、
エリアスには真実を見抜く力がある。誰が気が付いてもおかしくなかったわね」
すごい集団ねー。のほほんと言うフェイテルに、一同はぐったりする。
(言いたい。すごく言いたい)
(お前が一番おかしい)
(というかチートでしょう、存在自体が!)
邪心たちの心がひとつになり、テレパシーが可能となった!
「それどころじゃねーだろ」
ガンマが言う。
その目の前で、先程カルニアが指摘しようとしていた箱が動き出す。
「そして、これだけじゃないの。もっと問題なのは――」
足元がぐらりと揺れると、砂が持ち上がっていく。
「どひゃあ!」
「すげぇ…砂の集合体に命が宿っているのか……」
さらさらと砂を撒き散らしながら、持ち上がった砂場のある部分から集中的に
砂が落ちる。それは、『彼ら』の目と口になった。
「サンドゴーレムと、チープゴーレム」
ぽつりとつぶやくフェイテル。
「いや、サンドはいいんですけど、チープって箱に失礼じゃないですか!」
カルニアが突っ込む。しかしフェイテルは
「仕方がないじゃない。そういう名前なんだから」
と、さらっと言った。
「最初の2~3発を往なしてくれりゃ後は何とかなる …頼んだぜっ」
同行者の声を聞いて、邪心たちは、はっと顔を上げた。

「破壊の精霊よ!」
エリアスが叫ぶ。一般人には見えない、青く、とがった楕円形の存在が主と、
その上位の存在の武器に宿る。
フェイテルはそれらをくるくるとまとめながら呟く。
「――おいで」
すると、ひらりと刃をまとった存在が現れた。
その後ろに控えるはカルニア。
「生命の息吹よ我に従え、フェイテル様の影となってその御身を守りたまえ!」
いつになく真剣な瞳と声で。
しかしそれは次の瞬間には崩れる。
「さ、さ、さ。さあ、どうぞ~」
カバンから赤い液体の入ったポーション瓶を取り出し、貴重な砂漠の草にさっと、
中身を振りかけた。
「あ…」
「それは! むっさいの!」
エリアスが思わず声を漏らし、シャルが嫌そうな声を出す。
「はい♪ 歩行雑草さんです~」
「やめれ!」
「やめろ!」
ブーイングが鳴り響くが、カルニアは涼しい顔。
「もうやっちゃいましたー☆」
「モッサァァァァァァァッ!!」
「いーやー!!!」
シャルは対抗したのか、いつも以上に大きな声を出して地団駄を踏んだ。
するとフェイテルに落ちる不吉な色をした光。
「こ、これは…?」
「仮初の活力! マ…じゃなかった、同行者さん、なんてものを!」
これは自滅を誘う危険な技。それを知るカルニアは真っ青になって叫んだ。
しかし、技を受けた当の本人はけろりとしている。
「いいじゃないの。体力も増えるのよ?」
「で、でも…自滅は恐ろしいものですよ」
フェイテルはにこりと笑う。
「大丈夫。直に治るわ」
「いいじゃねえかカルニア。本人がいいって言ってるんだからよ」
ガンマが口を挟む。
「うう…」
「もういい。俺は先に行く」
沈黙を保っていたエリアスはそう言うと、さっと前に出た。
そしてチープと呼ばれるゴーレムに、ざっくりと剣を突き立てる。
「…音が……」
なんというか、バリバリ、みたいな音がした。
エリアスが戸惑っている間に、刃を携えた召喚獣がひらりとゴーレムに襲い掛かる。反撃を受けるも、たいていは踊るかのように、見事に回避した。
「…ッ、続ける……」
それを見て、われに返ったエリアスは、剣を手にゴーレム1体に狙いを定め、
走りぬく!

「今回は昨日ほどうまくは行きそうにないね!」
シャルが高テンションで独り言を言う。
あっという間にフェイテルとカルニアが召喚した者たちは倒れてしまったのだ。
「ならば、ショーを始めましょう!」
カルニアはそう言うと、魔力を一気に収束させた。
「さあ、行きますよ」
4色の光弾が4つの属性を帯びてチープゴーレムに襲い掛かる。
「うまくいったようね。でも次はないわよ」
静かに言うフェイテル。
「え?」
「魔力、ほとんど切れたわ」
その瞬間、カルニアのデッサンが、がくーんと砕け散った。
「そ、そんなぁ~」
事実上の退場命令である。
カルニアはしょんぼりすると、とぼとぼと歩いて消えた。
「消えることはねーのにな」
「ねー」
なにもしていないガンマはそう言ってケタケタ笑う。
同じくなにもしていないシャルも同意してにこにこぱあっと笑う。

その頃、前線ではチープゴーレム2体が倒れたので、もう動かないかエリアスが
つんつんして確かめていた。
その背後に、影。
言うまでも無くサンドゴーレムだが、エリアスはその体に剣を向け斬りつけてみた。
砂がさらさらと舞うが、意外なことに手ごたえがあった。
(これなら、いける…)
とはいうものの、同行者の技、マリスの威力があってこそ、なのだが。

それから互いに殴り合いという名の消耗戦になった。
エリアスがひとり、剣を振り、フェイテルを守っている。
シャルとガンマはヤーヤーと応援をするのみ。
いつ頃まで続いただろうか…
ある瞬間、自滅の呪いが発動したのだ。が。
フェイテルの持つ の回復の力でほぼ無傷で済んだ。
「仮初めの力と言うけれど。便利なものよね」
フェイテルはのんびりと言う。人間だったら茶でも飲んでいそうな勢いだ。
「少しは、自分で、避ける努力を、してくれないか…
それに大変なのは俺だけではない」
肩で息をするエリアスは、同行者のことを気にかけた。
彼女も働きっぱなしなのだ。
「そっか! じゃあ元気になるおまじないをしてあげよう!」
「いや…そういうことではなくてだな……」
エリアスは眉をひそめて言う。しかしこれ以上、彼の語彙では自分たちの苦労を
表現することができなかった。
仕方なく、剣を構えなおすと、再び戦いに向かうエリアスであった。

そして長い長いマリス合戦が終わり、サンドゴーレムは砂へと化した。
「白い砂だったのね」
フェイテルはそう言い、砂をすくい上げる。
「…おつかれ。おまえのおかげで助かった」
エリアスは同行者に頭を下げた。その後ろで起こる拍手。
「おっつかれー!」
「フェイテルサマも追い詰められなくてよかったね! 
カルの復活技のお世話にもならなかったし!」
ガンマとシャルだ。
「本当になにもしないとはな…」
恨みがましくエリアスが言う。
「まあ。エリーらしくないワ!」
シャルが茶化す。
「………」
エリアスは沈黙した後、はあ、と息を吐いた。
「さあ。この先に行きましょう。シャル、私は疲れたわ。背負って頂戴」
「えー! このもやしっ子にそういうこと言うの?!」
「でも普通の子に比べたら丈夫じゃないの」
フェイテルは涼しい顔である。
言われたら逆らえない宿命のシャルはしぶしぶフェイテルを背負う。
ガンマは同行者に手を差し出そうとしたが、断られた。
「ここでお別れのようね」
フェイテルは水晶を覗いてぽつりとつぶやいた。
「そうなのか。じゃあねー! アナタの旅路にいいことがありますよーにー!」
シャルはぶんぶんとフェイテルを背負ったまま手を振り回した。
やはりフェイテルの言うとおり、問題はなにも無かったようである。
それから各自、別れの言葉を言い、別々の道を歩き出した。
「にーらー出会う、ストーリー♪」
シャルは再び歌いだす…

――はじまりはいつから――

ペア、どうもありがとうございました。
おかげさまでヘッドルーツ採り放題です。(たぶん)
14隊を撃破できたおかげで、行く道が増えました。
これからは、そのあたりをうろうろしようと思っています。

今日のランキング☆
第21位 (1911)

やった、ついにやったぞー!
それにしても首位は同得点内で熾烈な争いです。すげぇ。

やっぱりわかりにくいところがあるらしいので、
今週はわかりやすい文章にしてみようかと思います。
レッサーに勝てたけど内容は無いようですし。
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