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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

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探索32日目
ある世界の合同宿舎。そこからずっと北上すると、大きな砂漠地帯が広がっている。
その中に悠々とそびえ立つ城があった。
不思議なことに、その周りは豊かな緑と泉があるのだ。
それが、ゲイル・ナーディアである。

「ちょっと! ちょっと放してよ!」
城の門のところで、兵士達に捕らえられている少女がいる。
「…なんの、騒ぎだ?」
「あ、8番隊隊長」
真っ黒の青年――エリアスが騒ぎに気付いて、城から出てきた。
彼は、フェイテルに召喚されるだけでなく、自分の世界を守るだけでなく、
この城に勤めているのである。
シャルは邪心教を立ち上げ、その寄付金+教団関係品代で金を作っている。
カルニアはまさに様々なものを製作し、生活している
(主にエレアのグッツだったりする)。
フォーゼは王様なので全く困らない。
そんなことができないエリアスは、傭兵をやろうとしたのだが、
ゲイル・ナーディアの女王に気に入られ、部隊の隊長に抜擢されたのだ。
その話は、また別の機会に語るとする。

「8番隊隊長。侵入者です」
端的に告げられる言葉。エリアスは眉をひそめた。
「ここは入り口ではないか。普通の謁見者ではないのか?」
そう言いながらエリアスは何気なく少女を見て、ぎょっとした。
(この娘は…!?)
「いいえ。壁をよじ登っているところを発見。捕獲しました」
「そ、そうか…」
明らかに動揺するエリアス。
「どうされました? 8番隊隊長」
「…彼女は……俺の父親の知り合いだ。不法侵入未遂もあわせて注意しておくので、
身柄を渡してもらっても構わないか?」
エリアスはそう言うと、頭を下げた。頼む、と。
「……8番隊隊長がおっしゃるなら、わかりました」
「ありがとう」
そして、少女の手を取り、城壁の中にある8番隊の兵舎に向かう。

赤茶色の髪の少女は冒険者のような格好をしていた。髪をまとめる帽子、
革製の鎧とブーツ、そして背中には巨大な漆黒の剣。
ちりちりと、エリアスの背中の剣が騒ぎ出す。
それに少女も気がついたのだろう。
「あの…さっきはありがとう。でも貴方、いったい何者? 
あたしの剣が反応しているわ。この剣はね――」
「その話はここではできない。俺たちの使っている部屋で説明をするから
少し黙っていてくれ」
少女からすれば、ぶっきらぼうに聞こえたかもしれない。しかしそれ以上の言葉を
紡げないエリアスは特になにも思わず、
ただ、城壁内の通路を歩いているだけだった。

「さて」
8番隊の兵舎にたどり着き、部屋のドアを開ける。
中には誰もいなかった。
「案の定…皆出ているな」
エリアスは呟きながら少女を部屋に招きいれ、さらに奥のドアをあけた。
「ここは会議室だ。ここでゆっくり話そう。歓迎する、ロンド=ファイナルロード」
「へ?」
少女――ロンドは驚きで妙な声を出した。
「どうして、あたしの名を? …しかもよりによって、そっちを」
しばしエリアスは沈黙した。その間に身振り手振りでロンドを会議室へ案内し、
席につくように指示した。
そうされている間も、ロンドは不思議に思い、彼の顔を覗き込む。
やや長い沈黙の後、彼は口を開いた。
「あの方に聞いたんだ」
するとロンドの目が大きく見開かれる。
「あの方って、もしかして、デスティニー様?」
こくり。エリアスが頷いた。
「どうして? あの方はほとんど言葉を語らないと言うのに」
「城の前で言っただろう。お前は父親の知り合いだ、と」
「う…そ…」
エリアスの言葉の意味を汲み取ったロンドは絶句した。
つまりその『デスティニー様』がエリアスの父親だということだ。
「嘘は好かん」
ぷい、とそっぽを向くエリアス。
するとロンドは目をきらきらとさせて
「教えて! どういうこと!? 司に子供がいるなんて、そんなこと考えづらいわ」
興味しんしんでテーブルに身を乗り出した。
「その前に…お前のことを教えてくれ。あの方に繋がる邪心のひとり、
憤怒と誠意の邪心、最終帝。それしか俺は知らないのだ」
それからバツの悪そうに頭をかきながら、
「それから、城に用があるのなら、正面から城に入ってくれ。城壁を登っていたら
不法侵入者と思われても仕方がないだろう」
と付け足した。
ロンドは固まる。
「あは、ははっ、そうよね。でもたかが冒険者が女王に謁見を求めても
受け入れられないと思ったのよ」
エリアスは沈黙した。
なんの用事があったのかはだいたい想像がつく。
「だからといって不法侵入すればすぐに捕まる。ここは兵がとても多い城だ。
8部隊も囲っている」
まあ最も、第8部隊はおまけのようなものだが、と付け足した。
「8部隊? 普通の城はもっともっといるわよ?」
「いや、この世界ではとても珍しいことだ。仮初めの平和がこの世界を包んでいる
からな。だが…」
エリアスは遠い目をして言った。
「あの方がフェイテルと決着をつける気でいるのがわかった。そのときは、
この世界は混乱に陥るのだろうな…」
思いがけない言葉にロンドの声が大きくなる。
「デスティニー様とフェイテル様が? あのお二人、そんなに仲が悪いの?」
エリアスは頷いた。
「もともと司という存在はたくさんいた。しかしフェイテルがそれを全て滅ぼした。
あの方はそれは自分の責任だと思い込んでいる。だから、いつかフェイテルを倒し、
自分も消えようと考えているんだ」
ロンドは立ち上がっていたのだが、急に力が抜けるように座り込んだ。
ぼうっとした顔をしている。
「そんなことが…。デスティニー様はそんなこと、全くあたし達に話したことが
無かったわ。貴方、相当信頼されているのね」
エリアスはふるふると首を振る。
「違う。あの方は、フェイテルに司を全て消されたのは、
自分が感情的になってしまったからと考えた。だから感情を捨てた。
その感情は他の人間と同じように、何度も何度も人生を繰り返し――
そして、今は俺になっただけなんだ」
「だから…デスティニー様の、子供…」
「つまり、デスティニー様の記憶をちょっと知ってるんだね」
子供の声がした。
エリアスは驚いて視線を上に上げる。
いつの間にか、ロンドの横に小さな少年が現れていた。
「こら、オーザイン!」
ロンドが叱り付ける。エリアスはロンドの周りをくるりと見回して、言った。
「お前の剣はその少年になるのか。俺は、剣そのものだからな。
他人のような気がしない」
ロンドの背負っていた大剣が無くなって少年の背中に移動していたため、
そう判断したのだ。ただ、少年の背には大きすぎて、柄が地面についている。
すると、オーザインと呼ばれた少年は顔をぱあっと明るくして、
トコトコとエリアスのところへやってきた。
「僕と一緒なの? ねぇ。剣見せてー!」
「駄目だ」
即答。するとオーザインの頬がぷうと膨れた。
「どうして?」
エリアスは困ったような、ジトッとしたような顔になった。
「……恥ずかしい」
「そうなのかー」
そう言うと、今度は座っているエリアスの脚を上り始めた。
大剣がこれでもかというくらい邪魔している。
「ん…?」
そして彼のふとももを制圧する。キャッキャッキャとオーザインは嬉しそうに
笑い声を上げた。
「ごめんなさい。その子、あたしもどう扱っていいのか
いまいちわかっていなくて…」
ロンドが謝る。エリアスは首を振ると
「ここにいてもあまり困らないからいい」
と気を使ってか、言った。それからなにも言わず、自分の視野内に入る
大剣を傾けて、ロンドと目が合うようにする。
「好きー」
しかし、ふとももの上で方向転換したちびっ子はエリアスに抱きつく。
そんなことをされたことがないエリアスは、困ったように眉をひそめた。
「ほら…」
ロンドはため息をついた。
「………」
エリアスはしばし沈黙した。が、ふと顔を上げて、言った。
「話すことが多すぎて、なにか肝心なことを言いそびれているような気がする。
なんだろう」
「貴方…自分は剣だって言ったわね。人間に生まれ変わっていたんじゃないの、
デスティニー様の『感情』、いえ『心』って言ったほうがよさそうな、それは」
エリアスは首をかしげた。そして、再び沈黙する。
沈黙をやめ、エリアスはまたボソボソと話し始めたのは
1分くらい経ってからであろうか。
「このあたりは話すと脱線するだけだから簡潔に言う。
俺は邪心だ。人間に生まれ変わった、邪心なんだ」
ロンドの目が点になる。
「じゃあ、もしかして、フェイテル様の配下?」
「配下という言葉が適切かはわからんが、フェイテルに使われる立場なのは
確かだな」
エリアスは静かに言った。
「複雑な立場なのね。あたしはただ、デスティニー様にこの世界に呼ばれて、
他の二人と連絡をとるように言われただけなのに」

フェイテルが自由に呼べる邪心はもともと3人。
シャル、カルニア、エリアス。
最近フォーゼが加わったが、基本的には3人が直接彼女を守る
使命を持っているのである。
それと同じように、デスティニーが自由に呼べる邪心も3人。
そのひとりが、今、エリアスの前にいるロンドという少女のようだ。

「そうか…いよいよ…本当に…」
エリアスは視線を落とした。すると見事にオーザインと目が合う。
「どうしてそんなに悲しそうな顔をするの?」
ぺたぺたと手を伸ばし、エリアスの頬を触る。彼なりに慰めているのだろう。
エリアスはそんなちびっ子を撫でた。今までしたこともないしぐさが
自然に出てきたことにエリアスは驚く。
「?」
驚いた顔を目撃したオーザインは首をかしげた。
エリアスはオーザインを抱えると、下に下ろし、立ち上がった。
「では、ロンド。ここに来たのは女王と会うためだろう? 
案内するからついて来い」
「え? ええ…」
ロンドは面食らう。なぜそこまでわかったのだろうか、と。
しかしエリアスの難しい立場はなんとなくだが理解できた。
彼についていくことに反対する理由など無い。
続いて立ち上がると、オーザインを捕まえて、手を繋いだ。

「では行こう。冷酷と秩序の邪心にして、この国の女王、メリアルトの元へ」

――久々の容量オーバー――

フェイテルがやってしまったことをさらりと書いてみた。
予定より早いですけど、間に合わないよりいいですから。

この後に、鬼畜なフェイテルの話が続いていたのですが、891文字オーバーだったので
あえなくカット。
次回の日記に入れば入れます。

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