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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

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探索33日目
「知ってたの?! この国の女王が邪心だって」
ロンドは大きな声を上げた。
「…声が大きい」
それに対して、ぼそりとつぶやくエリアス。
するとロンドははっとしたかのような目つきになり、口を塞いで辺りを見回した。
誰もいる様子は無い。
ほっとして、今度は胸を両手で押さえ、ロンドは大きく息を吐き出した。
「もともと…俺は仕事を求めて…この世界の4つの国を回った。温暖な気候と、
魔法の力に守られている南の国には、傭兵の需要は無かった。複雑な森林に守られ、
格闘を国技としている西の国では、剣士の俺の出番は無かった。
ここも…王が邪霊だったというのもある」
エリアスは一度言葉を切った。
「どうしたの?」
「いや…ただ、一度に話すことに慣れていなく…疲れた」
ロンドはそんなエリアスの返答を聞いて、クスクスと笑いを漏らした。
「なんだか、あなた、見た目で損しているわよ。
とても近寄りがたい雰囲気をかもし出しているのに。話してみると面白いのね」
そう言われ、エリアスは悲しそうな目をして、ロンドのほうを振り向いた。
「え?」
「まるで… フェイテルみたいなことを、言うんだな…」
突如、彼の上司の名が飛び出したので、ロンドは焦る。
「どういうこと? どうしてそんな悲しそうに…」
途中まで口に出したが、ずっとエリアスがフェイテルの名を呼び捨てで
呼んでいることと、フェイテルのしたこと、それに傷ついたデスティニーの意識が
彼なのだということを思い出し、言葉を中断した。
「フェ、フェイテル様ってそんなこと言うんだ~」
明らかに不自然な声色になってしまうロンド。だが、エリアスはそれを
指摘することもせず、気を悪くした様子も無く、またすたすたと歩き出す。
ロンドは立ち止まったままになってしまった。次になんと声をかければいいか
わからなかったからだ。
すると、トコトコとオーザインがロンドの手を離れ、エリアスの元へ向かう。
ゴリゴリゴリと、剣の鞘が廊下を削る。
「元気出して、ね?」
「…元気だぞ?」
エリアスはそう答え、再びオーザインの頭を撫でた。
それを見て、ロンドはほっとした。なぜかはわからないが、ほっとした。
「変なこと言ってごめんなさい。えっと、あと、東の国にも行ったの?」
そして話を元の路線に戻す。離れてしまった距離を縮めるため、小走りをしながら。
「ああ。だが、あそこは…極寒の地。たくさんの傭兵がいた。
そこに勤めることも考えたが…あそこには憎しみの邪霊がたくさん漂っていた…
憎しみが破壊の力を手に入れたら恐ろしいことになる。
そう思って、その地も去った。そして、最後に着いたのが、ここ、
砂漠に囲まれた北の国、ゲイル・ナーディアだったのだ」
ロンドはこの世界に転送されて、まっすぐに突入したゲイル・ナーディアの姿を
思い出す。
先が見えない砂漠、突如現れる巨大な森。それがゲイル・ナーディア。
「ここも、兵士がたくさんいるわよね」
「そうだ」
こくりとエリアスは頷く。
「この国には、7本の聖剣の伝説が――いや、実在しているから伝説とは言わんか。
7本の聖剣を守っている部隊が存在している。それが、1番隊から7番隊。
各、部隊長はその聖剣を預かり、守っているのだ」
そう言われて、ロンドは首をかしげた。
「あら?でもあなたは8番隊隊長だって言われていたような記憶があるんだけど…」
「そうだ」
再び、淡々とエリアスは頷く。
「この国について、部隊に志願した際、女王も俺の正体を見抜き、
この国の各地を偵察して回る8番隊を新設したのだ。
聖剣が無い部隊だ、一部の者は8番隊を末端と考え、
俺や、俺についてきてくれている傭兵たちを侮蔑の意味で8番隊と呼ぶ」
「ひどいのー」
エリアスと今度は手を繋いでいるオーザインが言う。
「あら、オーザイン。話についてきてるの?」
「うん。わかるよ」
「すごいじゃない」
ロンドが褒めると、にこーっと笑い、トトトとロンドの元へ戻ってきた。
「そんなことは、関係ないと俺は思っている。皆にも言っている。俺たちはただ、
国のために働く。それを誇りに思うようにと」
「真面目なのね…あたしだったら、怒って斬りかかってるわよ」
エリアスは首を振った。
「さすが憤怒の邪心…俺がそんなことをしたら…大変なことになるから、
自制、しているんだ」
「自制は自分に嘘をつくことですよー」
急に聞こえた声。
それに即座に反応して、背中の魔剣を引き抜くとエリアスは宙を斬った。
「痛い! 本当のことを言って差し上げただけなのに~」
赤毛の少年が現れ、倒れこむ。そして黒い煙を立てて消えた。
唖然とするロンド。
エリアスはパンパンと手を叩き、剣を鞘に収めようとして、眉をひそめた。
オーザインが目をきらっきらと輝かせ、剣を見ていたからだ。
「きれーい」
するとエリアスは真っ赤になって、鞘に早く収めようとし、失敗を繰り返した。
なんとか剣を収めた彼に、ロンドは問いかける。
「今の、なに?」
「偽りの邪心の分身だ。俺の天敵。消し飛ばしてもなんの問題も無い。
俺は、嘘が大嫌いだ。だから天敵。しかし嘘をつかねばならぬときがある。
そのときに俺をからかいに現れるのだ」
さらっと恐ろしいことを言ったエリアス。
ロンドはやっぱり破壊の邪心なのねと思うのだった。
「そろそろ…城に入るぞ。正体のこと、ばれぬよう、こんな感じの話はこれまでだ」
「正体を隠すって、みなさんに嘘をつくことですよ~」
以下省略。

城は純白の壁を使って造られた、木々よりやや低いしかし巨大なものだった。
エリアスは門番と話している。
ロンドは入れてもらえるか緊張して横で棒立ち。
オーザインは城が珍しいのか、きょろきょろと辺りを見回している。
(難航しているようね…。なにが原因かしら)
ロンドは会話に耳をすましてみる。
「だから、この剣は彼女たちにとってとても大切なものなんだ。
どうしても置いていかなくては駄目か?」
「はい、申し訳ありませんが。女王陛下の身の安全のためには」
「むう…」
オーザインの持つ剣、正確に言えばオーザインそのものの持ちこみについて
もめているようだった。
(エリアス…自分と同じだから、
オーザインと剣を引き離すことが辛いってわかるんだわ。……優しいんだ)
ロンドとしても、剣を手放すことは不安である。
口下手だというエリアスにとってこの交渉は大変だろうが、
自分が口を出すのもおかしな話なので黙っているしかなかった。
すると、オーザインがトコトコとエリアスのところへ向かう。
「いいよ。僕、ここで待ってる」
くいくい、とエリアスの服のすそをひっぱり、そう言った。
「お前…」
「お兄さん。剣と僕とここで待っているのはだめ?」
門番にそう言って小首をかしげる。
「む…それは問題ありません」
子供にも敬語の門番。するとオーザインはロンドのほうを振り返り、
にこーっと笑った。
「僕、待ってる。待ってるからますたー、行ってきて」
ロンドは驚く。ちびっ子が状況を理解し、どうすればいいかを思いついたことにだ。
「…すまないな」
エリアスは門番に言ったのか、オーザインに言ったのか不明だが、ぼそりと呟いた。
「ではその子をよろしく頼む」
そして会釈する。門番も会釈し返した。
「さあ、行こう、ロンド」
淡々とした口調。
「ちょ、ちょっと待って」
ロンドは自分だけ黙っていたことに気がついて、慌ててオーザインの元に向かう。
そして、彼の両手をつかむと、腰を下ろし、視線を合わせる。
「ありがとね。できるだけ早く帰ってくるわ」
「お仕事がんばってね、ますたー」
そしてまたちびっ子は、にこにこと笑うのだった。
いざ、目指すは謁見の間。

---------------
その頃。合同宿舎は大変なことになっていた。
「やー! やー! やー! やー!」
以下省略。
合同宿舎の主、オルドビスの妹、プラストス。
彼女がずっと泣き声を上げているのだ。カルニアがなんとかなだめようと、
永遠のお別れと決まったわけではないんですよ、などと言っているが、
聞こえていないのか、彼女は泣き叫び続ける。
「やだよう…ガンマ…」
ガンマに異常に懐いていた彼女にとって、彼の消滅は耐え切れないものだった。
「いいですか、プラストスさん。ガンマは言っていました。
私が彼を再生成したときに、同じ魂は宿る可能性は高いと」
そう言ったとき、テレビから非情な言葉が聞こえてきた。
「それは無いわ」
フェイテルだ。
「私の攻撃で、彼は魂ごと粉々になったでしょうね」
「やー!」
どんよりと絶望を抱え、プラストスは泣き叫ぶ。
それを背後からシャルが抱きしめた。
すると、彼女の絶望はあっという間に彼に吸収され、
プラストスは泣き疲れていたのか、眠ってしまった。
「応急処置完了。それにしてもフェイテルサマ、やってることが鬼畜。
こんな小さな子に意地悪して楽しいの?」
「意地悪ではないわ。ただ、事実を言っただけ」
それに対してシャルはため息をつく。
「もう… フェイテルサマの価値観、わかんない」
「私の感想を言わせて頂くと、ただ、彼女を刺激したかっただけに
見えるのですけれどね。フェイテル様にはそういうところが見受けられます」
カルニアが淡々と言う。いつもの笑顔もエセ敬語も無い。
「貴方達は邪心でしょう? そうとは思えない優しさね。
人々の負の感情を刺激し、それを吸収しないと生きていけない存在から
非難の言葉をもらうなんて、私、驚いたわ」
「確かにそういう面もあります。ですが、同時に正の感情も持っている。
だから邪霊ではなく邪心なんですよ。それを知らぬフェイテル様でもあるまいに」
カルニアは即座に反論した。
いつもは「まったくもう~」と笑って済ませるところを、である。
「あら。カルニア。もしかして怒っているのかしら。そうね。
自分の子供が消されたも同然だもの。不思議なことではないわ」
シャルはカルニアを見た。ちらほらと怒りの邪霊が漂っている。
「いっただき♪」
そしてそれを食べる。
「ちょっと、人が真剣になっているときに!」
カルニアは不満をあらわにするが、シャルはどこ吹く風。さらにカルニアが
言葉をかけようと彼に近づいたとき、すれ違い様にそっとシャルは言った。
(気持ちはわかる気がするよ。でも落ち着いて)
沈黙がその場を支配した。
「そうですね。そうでした。私はフェイテル様の配下。貴方に呼ばれたら戦い、
製作を行う。それを変えることはできません」
「あら。それでいいの?」
フェイテルは満面の笑みで尋ねてきた。
腹の底にあるドロドロしたものをカルニアは隠し、にっこりと笑って返した。
「はい。魔力がいただけるのなら♪」
「まあ。いい子」
「そろそろ行く時間かな? ちょっとこの子、部屋に置いてくる」
落ち着いたのを確認したシャルはプラストスを担いで、合同宿舎の3階にふらりと
飛んでいった。
ガンマと生活した思い出がたくさんある部屋に、
彼女を置いていくのに不安が無いわけではなかったが。


――もぐもぐ。――

今日のランキング★
第19位  1972
ついに…台に乗っちゃった…

ともあれ、フェイテル鬼畜シリーズ、はじめました。
フェイテルが交流を嫌ってメッセをほとんど邪心に任せているのは
彼女の性格が破綻しているからです。
実際、彼女が交流している人たちとは、どこかおかしなところを混ぜている…
つもりです。

某日記ランカーさんには直接、話がしたいと説得されていましたが
大丈夫かな、この女で。
某お方もクライマックス入ったようなので、見守っております。
交流が無事、できることを祈って。
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