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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

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探索47日目
フェイテルは一人で遺跡街から外れた崖の上に立っていた。
すい、と水晶を浮かし、それを覗く。
「私の宿命――それは一人で宿命を見守り続けること。コアを守ること。でも」

-------
「お、本当に外にも司がいたのかー。こんなところでひとりぼっちなんて
寂しくないのか?」
ある日、赤髪が目立つ男の司が、満面の笑みでフェイテルの元にやってきた。
はじめて聞いた、片割れ、デスティニー以外の声。
「寂しく? それってどういうことかしら」
フェイテルは、寂しいという感覚を持ち合わせていなかった。
「へっ?」
そんなことは全く知らない赤髪の司は、間抜けな声を出した。
「なあ、どういうことなんだ、ルナ?」
後ろから面倒くさそうな顔をした、淡い紫の髪の司がやってきた。
「あんたねぇ…知らないことを確かめに行く!とか言って
予習もしてこなかったわけ? 片割れとして情けないわ」
ばさりと髪をかき上げると、彼女はずいっと指を彼に向けて突きつける。
「いーい? あたしたちは、人間とは違うの。それぞれ役割を持ってるでしょ?
例えばあんたは太陽に異常が無いかの管理。あたしは、月に異常が無いかの管理。
で、エンティの世界を見守る他の司と円滑に情報のやり取りができるように、
人間と同じように感情と、一部の感覚が与えられている。でもね!」
つんっ、と眉間に当てた指を押して、赤髪の司を突き放す。
「門番である、フェイテルとデスティニーは、ずっと外で門番をするために存在して
いるの。だから交流する必要もない。感情はあるけれど、感覚はほとんど存在して
いないのよ」
「そうかー。なんか気の毒だな」
くるりと赤髪の司はフェイテルのほうを見ると、再び満面の笑みで手を差し出した。
「俺の名前はシャイン。キミは?」
その差し出された手に触れようとして、手をのばしかけるも、フェイテルは止まる。
「ん?」
不思議そうなシャイン。
それに対して首を振り、フェイテルは手を下ろした。
「私はフェイテル。ここの門番。だから、門の中の司とは交流できないわ。
名乗ったのも、貴方が名前を教えてくれたから」
「そんなことないだろ? 門からこうして、司が出てくることもあるんだ」
シャインはフェイテルにそう言って、一歩踏み出した。
「やめて!」
「うーん…」
困った顔の彼。フェイテルは悪いと思い、自分の立場を伝える。
「私たち門番は公平でなくてはならない。特定の誰かと親しくなると、感情的に
なって、もうひとつの使命を怠ってしまうかもしれないの。だからごめんなさい」
「……ほら」
ルナがシャインを引っ張った。
「わかった。これから司のまとめ役の人のところに行って聞いてみるよ、
番人はそれでなくてはいけないのかって」
「全然わかってないじゃない!」
ルナがどつくが、彼はにこ、と笑って、手を振って去っていった。

-------
数日後。
シャインは再びやってきた。
「いやー、デスティニーにも断られちゃったよ」
そう言って彼はフェイテルのほうを見た。
「まとめ役の人に聞いてきた。番人に会うことは、寂しさを感じさせるから
やめたほうがいいって言われた。でも、俺、思うんだ。毎日来ることだってできる。
番人として生まれたからって、誰とも交流しないなんて、宿命付けられているわけ
じゃないだろ?」
シャインの言葉にフェイテルは首を振る。
「宿命付けられているわ。私はここで門番をしつづけるの。
この子がそう言っている」
この子、と言って、持っている水晶を浮かべた。
それを見て、うーんと彼は唸った。
「宿命を司るフェイテルに言うのは悪いんだけどさ。宿命があっても、
そこから自分で歩き方を変えれば、運命が変わるんだろ?
俺と話すこと、それで何か変わると思うな」
デスティニーに聞いたのか。宿命は変えられないもの。運命は変えられるもの。
でも運命によって、宿命を変えることも不可能ではないということを。
しかしフェイテルはどうしても、シャインの手を取ることはできなかった。自分は
番人だから。宿命を司るものだから、宿命を歪めるようなことはできない、と。

-------
何日も過ぎた。
シャインは発言したとおり、本当に毎日やってくる。
それでもフェイテルは頑として意思を曲げなかった。

そして、何年も過ぎて――

「フェイテル。デスティニーと友達になったよ」
シャインには全く悪気が無かったのだろう。しかしフェイテルにとって、その言葉は
衝撃以外のなにものでもなかった。
「フェイテルがここを動ければいいのにな。あ、そうだ、デスティニーとは
時々しゃべってるんだろ? その方法を使って、みんなで話したりしないか?」
フェイテルは目を閉じた。そしてその場で座り込む。おい、どうしたんだよ、という
シャインの声が聞こえたが、どうでもよかった。ずるずると座り込むと、
さらにシャインが心配そうに駆け寄ってきた。フェイテルは下を向く。
涙がとめどなく流れ落ちる。
その中で、フェイテルは幻聴を聞いた。


「姉さん」
「あら、デスティ。貴方から話しかけてくるなんて珍しい」
「シャインって、知っているだろう? 毎日やってきて鬱陶しくて困る。
姉さんはどうしているんだ?」
「心配してくれているのはありがたいのだけど、宿命を背負っている私が、
もし、判断を誤ることがあったら大変でしょう? だから断りつづけているわ」
「そうか…」

私のデスティ。
出会うことはできないけれど、私とだけは話せるデスティ。
ちょっと生意気で、運命なんて見れるから、外の世界のことを私より知っているから
教えてくれる、本当は優しい子。
でも、永い永い時の中で、デスティは私を姉さんと呼ばなくなっていた。それは。

「姉さん。いや、フェイテル。人々の宿命、変えているだろう」
「気がついたの? ええ、変えているわ。面白いのですもの」
「そんなことを…人を悲しませて、なにが楽しいんだ」
「わからない? 苦しんで、助けを求める姿。立ち向かい、
自分で道を変えていく姿。どれもヒトのヒトらしい姿だわ。素敵なの」
「どうしたんだ、フェイテル。僕たちはただ人々を見守るだけが使命ではないか。
宿命を変えるなんて、僕たちの存在意義から遠く離れている」
「だってね、デスティ…貴方は変わるものを見ていられるでしょう?
でも私にはそれが無いの。ずっとずっと、宿命がおかしな力で狂わないか
見ているだけなの。寂しいわ」
「本末転倒だ。そのおかしな力というのが、今…姉さんがしていることなんだぞ」
「ごめんなさい、デスティ。この面白さ、一度覚えてしまうとやめられないみたい」
「フェイテル。やめてくれ。頼む…」

デスティが私に頼みごとをすることは初めてのこと。
でも、私の中に生まれてしまった欲望を止めることはどうしてもできなかった。
それから、毎日話した。デスティは私を責めるような言い方はしなかった。


「フェイテル。大丈夫かい?」
ようやくフェイテルに意識が戻る。
「いきなり泣き出すから驚いたよ。俺、なにか悪いこといっちゃったかな?」
下を向いたまま、フェイテルはふるふると頭を振った。それから涙を拭いて、
笑顔をシャインに向ける。
「確かにデスティとはやりとりできるわ。あちらにも誰かいるのかしら?」
「ああ。ルナと、慈愛の司アルフォン、それから俺たちのまとめ役、
エンティヌスがいる」
大人数に囲まれては困っているだろう。フェイテルはそう予想して、
水晶に力を込める。すると光があふれ出し、水晶にデスティニーの姿が映った。
――笑って、いた。

心の中にあふれ出す黒い感情。フェイテルにはそれがなんなのか
全くわからなかった。しかしシャインにそれを見せるのは絶対に嫌で
すぐに映像を消してしまった。
シャインはフェイテルの異変に全く気がつかなかったようで、デスティニーしか
映らないのかぁ、などと言っている。フェイテルは無理に笑いながら、
彼に話しかけた。
「ごめんなさいね。周りも映るように調整してみるわ。しばらくかかるので、
今日は、もう」
『今日は、もう』はお決まりの言葉だった。シャインにその気が無いから
帰ってほしい時に使う言葉。
それをわかっているシャインは、わかった、というと、そのまま立ち去っていった。

それから毎日、こっそりフェイテルはデスティニーの様子を見るようになった。
先日のような笑顔を見せることはほとんど無かったが、笑う理由がフェイテルには
わかってしまった。
彼は、ルナという司に、心を許している…
(私のデスティ。私の、私の――)

-------
そして。
デスティニーは何かに悩んでいることを司たちに気付かれてしまった。
内容を話すのは拒んだが、少しでも力になりたいと何度も言われていた。
デスティニーの悩みは、もちろんフェイテルのこと。だが自分だけで解決したい。
しかし、限界を感じた。
「僕だけの力では解決できない。本人を説得していたのだが、譲ってくれない。
だから、貴方から言ってもらえないか、エンティヌス」
まとめ役、ということで適任だと思ったのだろう。
しかし周りには他の司たちもいた。
デスティニーから事情を聞いた、その場の司たちは驚いた。
なんとしても止めなくてはいけない。
それから、毎日やってくるのがシャインと、エンティヌスになった。
そのうち、フェイテルのしていることが噂になり、こんなに長時間説得しているのに
解決しないのでは、少々乱暴な手を使ってでも止めなければという言葉さえ
出てくるようになった。

フェイテルは、笑顔で断り続けていた。
まるで人形のように。まるでただの作業のように。
なぜならそれどころでは無かったのだ。
『私のデスティ』が、私のことを話した。
それがショックだったのだ。そんな感情の名も知らないので、
自分でどうしているのかもよくわからないまま。

全ての終わりは、突然にやってきた。
「今日生まれてきた子たちはどんな宿命なのかしら。あら、この子は幸せすぎだわ。
調整しないと」
そしてそれを実行に移そうとした時。
「やめるんだ、フェイテル! って、うわ、どうしたんだよお前たち!」
シャインが飛び込んできた。が、すぐに他の司たちに踏み潰される。
「フェイテル! 司としてお前は失格だ。お前を審判にかける!」
「おとなしくこちらに来てもらおうか。我々はエンティヌス殿のように
改善をゆっくり待つことなどできない!」
「時間が経てば経つほど、被害は広がっていく!」

そんな、騒動にいきなり巻き込まれて。

今まで少しづつ溜まっていた何かが。

黒い何かが。

名前も知らない何かが。

――弾けた。

何様のつもりなの。何を知っているというの。所詮私のさだめた宿命から逃れられない分際で。司として失格?どうしてそんなことを言うの。デスティのせい?デスティが私のことを話したから?いいえ違う。デスティは私をずっと見てくれた。あの女のせいだわ。あの女さえいなければデスティは私をずっと見てくれた。あの女さえいなければ。あの女さえいなければ。デスティ、デスティ、デスティ!
邪魔スルモノハ全テ消シ飛バシテアゲルカラ!


――文字数不足――

ついにこの日が来ました。
しかしシャインがしゃべりまくって、字数が足りなくなりました。
これで規定数ぴったりです。ダッシュも削りまくりました。
次回はその補完をちょっと。あとお互いの感情も50日までにパラパラ入れます。
あとルナとデスティニーの関係が全く不明なのでそれも入れます。
ああ、全部予定です。
あと、一部の司の元ネタに気がついてしまった人へ。――ゴメンナサイ。

今日のランキング。
第16位  2135
むう。文字数では語れないなにかがある。

今回は更新超速でしたね。いつか来ると思っていたけれど、ここまでとは。
ボクがチキレーサーじゃないって思われるじゃんか!
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