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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

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探索23日目
それは、暗い嵐の夜だった。

長い長い夢を見ていたような気がする。
しかしその夢の内容は全く覚えていない。
意識がふつりと生まれ、ゆっくりと大きくなってくる。
「……オレは、なんだ?」
目が覚めて、初めて口にした言葉はこれだった。
どうしてそのようなことを口にしたのかもわからない。
でも確かに、自分はなんなのかわからなかった。

「おはようございます」
冷たい声がした。
声のほうを向く。体は自然と身構えていた。
そこには赤い髪の男がいて、笑っているようだった。
「貴方は私に作り出された存在ですよ。名前はそうですねぇ…
3番目に作られたから、ガンマ、としましょうか」

ツクラレシモノ?

自分は普通の存在ではなく、作られたものなのか。
…普通の存在って、なんだ?
…なぜそんな考えに至った?
これだけではない、さまざまな違和感が、頭の中でぐるりぐるりと回る。
「それで…」
オレは混乱する頭を押さえて、尋ねる。
「お前はなんだ? どうしてオレサマを作った?」
クスリ、と笑いの息が聞こえたような気がした。
「私の名はヴァイザ。この世界の人間に罰を与えるもの。
あなたは、人間と接触するためのツール(道具)です」
赤い髪の男はそう言う。
赤と黒の服に金のラインが入った動きづらそうな服が気になった。
ふと自分を見ると、小さな胸当てはしていたが、
自分を作り出したという男のような重苦しい服ではなかった。
それに安堵する。
安堵。なぜ?
その答えを探してみるも、頭の中はほとんど真っ白で、
なにも見つかりそうに無かった。
「――で? 具体的にオレサマに、なにをしろと?」
クスクス、とまた笑い声が聞こえた。
「そうですね。まずは、」
地図らしきものを取り出し、そこに指を当てる。
「ここを滅ぼしてきなさい」

言われたときに、反抗心がむくりと起きた。
やなこった、と言いたくなったのだ。
だけど、それを実行には移さなかった。なぜだろう。
自分は作られた存在。その作り出した存在に、
逆らえないようにされているのかもなと、薙刀を手にひた走りながらオレは考える。
そう、薙刀。
それがオレの武器だ。
それと隕石を呼ぶ魔法も頭の中に入っていた。
ヴァイザ、が言うには、戦いに体がなじんでくれば、鉱石を使い、
創造する力も手に入るという。
イマイチ、実感がわかないのだが。
そして薙刀。言われたときは違和感を感じたものの、手にしてみれば、
軽々と扱うことができた。
なんなのだろう。
真っ白のはずのオレの頭の中。
ヴァイザが入れた情報しか、入っていないはずの頭の中。
それなのに、それ以外の何かがあるような気がして、ざわざわと落ち着かずにいる。

ヴァイザに指示されたのは、小さな訓練所だった。
現在人間は、ヴァイザに対抗すべく、各地で人材を育てているのだという。
魔法には気をつけろ、と言われた。
それがオレの弱点なのだと。
そんなモン、つけるな。と言ったのだが、
自分の弱点なのだから仕方がないでしょうと言われ、黙るしかなかった。
軽く建物の上に飛び乗り、下を見下ろす。
人々が剣を振るい、槍を振り回し、弓で的を射る。
魔法使いはいないようだった。
「さてと。お仕事始めましょうかね」
なぜか、人を殺めるということは仕事なのだと、
自分のなかにすっきりと収まっていた。

あっさりと終わってしまった。
たくさんの横たわる人々。
ああ、ますます自分は赤く染まっていく――
そんな感傷が心を埋め尽くす。

そのあとも言われるまま、たくさんの人々を殺めていった。
そう、辺境の地の、王女サマに出会うまでは。

ヴァイザがひとつ、国を滅ぼした。
正確には、ヴァイザの影武者であるオメガが、なんだが。
その頃から、オレ達、ヴァイザの側近は、オメガをヴァイザとして扱うようにと
命令されていた。
ちなみにヴァイザの側近は、オレと、そのオメガと、ベータとデルタと言った。
別に他の側近には興味は無い。けれど、隙あらば攻撃して、相手の力量を見るのが
オレは好きらしかった。
興味が無いということと、相手に攻撃をすること。
思いっきり矛盾しているのに、それがオレの中では当たり前のことだった。

話を戻す。
オメガが滅ぼした国。辺境にあるとはいえ、魔法国家。
よくそんなところを滅ぼせたなと感心して言えば、王女に乗り移り王をはじめとした
国の者たちにヴァイザの血を盛ったと言う。
それを聞いてオレは吐いた。汚い話だが、戻した。
ヴァイザの血。
それは、ヴァイザの一部として、自律的に活動するもの。それを使えば操り人形を
作ることも動作もない。
ヴァイザが使っている様子を見たことは無いが、その力を与えられたデルタが散々
えげつないことをしているのをオレは見ていた。

そんなわけで、えげつない方法で国が1つ滅びたのだが、利用された王女と、
生き残った一人の従者がヴァイザから城を取り戻そうとしていると聞いた。
そのあまりの無謀さにオレは笑うしかなかった。
そして、生き残りの殲滅役を求められたとき、オレは真っ先に手を上げた。

本当に小さな存在に見えた。
魔法の力は感じるが、自分なら耐える、避ける、そんな自信が持てるほど
小さな存在だった。
薙刀を振り回し、接近すれば、魔法の詠唱も止めて、王女をかばって
従者が前に出る。
その従者を軽くいなして、王女へと薙刀を突き立てる。
それで終わったはずだった。
だが、その一瞬手前で、オレの背中に巨大な魔法力がぶち当たった。
後で知ったことだが、それは魔法の力を込めたアイテムだったらしい。
人間たちも、オレ達の弱点を魔法と知って、研究を重ねているのだった。
任務に失敗したのは、これが初めてだった。
めんどくせぇ。

次に王女達と出会ったのは、ヴァイザ研究所と呼ばれるところだった。
名前の通り、ヴァイザを研究しているところだ。
研究員を刺し殺し、飛び出してきた王女達のほうを振り向いたとき、
光がオレの視野を奪った。
そして、謎の武器が現れ、そこに王女達が生命力と魔法力を込めると、
強大な光となってオレの身を焦がした。
転移魔法が使えなかったら、死んでいたと思う。
いよいよ、人間どものほうでオレら対策が進んでいるぞとオメガに言ったとき、
普段は無表情の奴が、冷たい笑みを浮かべたことだけが
しっかりと脳裏に焼きついている。

それからオレとベータはできる限りの破壊を尽くした。
最初、複雑な感情――あえて言うなら悲しい、か。と思っていた殺戮も
なにも思わなくなっていた。
オメガはヴァイザの影武者として最後の段階に入っていると言うし、
デルタは勝手に行動していて、なにを考えているのかよくわからなくなっていた。
体を血に染めて、本拠地に帰ってきたとき、偶然ベータとオレは顔を合わせた。
そしてその口から、どうしてオレが作られたのか、本当の理由を聞かされた。

「自分達は、ヴァイザの完全復活のために作り出された」
からくりはこうだ。
オレ達についている、魔法が弱点という特性は、ヴァイザが復活するために
必要なものだったのだ。
ヴァイザの復活に必要なものは、強大な、大量の魔法力。
ヴァイザの部下であるオレ達が魔法を弱点としているのならば、
魔法を強くする研究を人間達は上げてくるだろう。そしてそれをヴァイザに当てて
復活させようというものだった。
つまり、オレ達のしてきたことは、ヴァイザ復活のための駒。
気に入らなかった。
しかしそれを知りながら、ヴァイザへ仕えてきたベータのことは
もっと気に入らなかった。
「こっちは、魔法に何度も殺されかかってる! 
それが奴の復活のために必要だったから?
それは奴に生み出されたから文句は言えねえ。
けどよ、何故それを知りながらお前はあんな奴に仕えてきた?! 
いいことなんか1個もありゃしねぇよ!」
頭が熱くなっていた。後で考えてみれば、一番倒しやすい状態で
オレはベータに飛び掛っていったのだと思う。
だがベータは反撃ばかりか、回避すらしなかった。
「自分達は、昔からあの方にお仕えしているのです。
そう、あの方がヴァイザとなるより昔から」
昔から? 仕えている期間なんか関係ねぇ! そう言おうと思ったオレが
それをやめたのは、興味深い言葉が続いてきたからだった。
「ヴァイザとなる、前?」
そこでオレは知る。ベータとオメガの強い意志と覚悟を。
彼らはただ、ヴァイザに作られたものではなかった。
それからしばらくしてベータは王女達の前に行き、散った。
オレは考えた。
ヴァイザは気に入らないが、ベータのためになにかしてやれることは無いのか、と。
なにも無い自分。それができるのは、共に戦ってきた奴の意思を継ぐことぐらいしか
ないじゃないか。
そう思ってオレは。あれほど忌み嫌っていた、ヴァイザに
言われるがままに奴の血を飲んで意識が消えそうになりながらも、王女達と戦った。
それでも、結局奴らには、勝てなかった。
そこでオレの記憶は、一度途切れている。

-----------
「ガンマー! 朝ごはんですよー」
「オメーの言うことなんか聞きたくねぇ!」
反射的にそう言って、オレは我に返る。
ああ、また昔の夢か。
ヴァイザ、つまり今のカルニアがへそを曲げる前に、食事にありつこうとオレは
感傷を振り切って、1階ダイニングへ向かったのだった。

――フェイテル空気です――

ガンマの日記。
某所で、ガンマ本書きてー! と言っていたのですが
今回どうしてもネタが無く、こっちに簡単に書いてしまいました。
一応続きます。
考えてみればエイプリルフールの更新。
そっちに走ればよかったなぁ。

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読んでいて面白い文章ならいいんだけど。
最近はそればかりが心配です。
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