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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

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探索6日目
「疲れたわ…」
そういうとフェイテルは砂地に腰を下ろした。
「カルニア」
「はいっ」
ぽんっと簡単に現れるカルニア。
「私、疲れたわ。休める場所を作りなさい」
それを聞いて固まるカルニア。
物を無から作り出すには相当の力が必要だからだ。
「魔力はあまっているからあげるわ。でも体がボロボロなの」
フェイテルは偽妖精との戦闘で、残り体力がわずかになっていた。
カルニアはその様子を見てため息ひとつ。
「そのお姿はあまりに哀れです。他の人が見れば、少女が一人で倒れそうに
なっているようにしか見えません。わかりました。寝床を用意します」
そう言うとカルニアは目を閉じた。
それに合わせてフェイテルがカルニアに力を渡す。
すると彼は一瞬で青年の姿になり、周りの砂を材料に寝床を構築した。
「ごゆっくり、お休みください」
青年の声でカルニアが言う。…がいなや、すぐに少年の姿に戻り倒れてしまった。
「……」
フェイテルはそれを見て、やけに大きく作られたベッドに彼を載せて
自分も隣に入りゆっくり休憩した。

その様子を合同宿舎のテレビから見ていたシャルは大喜びである。
「エリアスー、エリアスー、見て見て! 
フェイテル…様がカルニアと添い寝してるよ!」
ずずずずと音を立てて、大好物のラーメンをすすっていたエリアスは一度箸を置き、
言われるがままにテレビに視線をうつす。
「フェイテル氏、大丈夫なのか。カルニアはたとえ我らが上の存在であろうとも、
遠慮するような奴ではない」
氏、というのはエリアスの中での最上級の丁寧語である。
様という言葉も知ってはいるのだが、使おうとしないのだ。
「大丈夫なんじゃない? 二人とも満身創痍ってカンジみたいだしさ」
シャルは考える。自分たちの世界から出たフェイテルは、
自分より力がかなり下なのではないかと。
もともと「自由と混沌の邪心」アンジャスティスである彼は、
唯一自分を縛り付ける存在であるフェイテルのことを良く思っていない。
先日クヴィ氏がかけてくれた言葉を思い出す。
「クヴィイさんの手を煩わせなくても、ボクが下克上できるかもしれないねぇ…」
とは言うものの、実行する気は無いのだが。
さすがに本気で倒そうとしたら、自分の世界に戻られて返り討ちにあうのが
オチなのだから。
そんなことを思いながら、今は不自然に砂場にあるベッドで眠る二人に視線を戻す。
「見てる分には子供が二人ほのぼのと寝ているだけに見えるんだけどねぇ。
本性を知っていると恐ろしいよ、ホント」
ずずずずず。
エリアスがまたラーメンを食べ始めた。
「なんだい、そんなに二人に興味はないの?」
「無いね」
答えたのは別の声。合同宿舎の主、オルドビスが現れたのだ。
「あっ、おはよー! 今日もかわいいねぇ!」
シャルはぐりぐりとオルドビスを撫でた。
オルドビスは長身である。だがそれ以上にシャルが長身のため、
いつも捕まえては撫で撫で攻撃を仕掛けるのだ。
ちなみに男性なのだが、年下なので褒め言葉はかわいい、なのだ。
水色のやわらかい髪の彼は、頭をいじられて大層機嫌が悪いようだ。
いつものことなのだが。
「なぜお前はいつもそうなんだ。俺とお前は敵同士だというのに…」
「それを言ったら、この家に居候しているものの3分の2はオルドビスの敵だよ?」

オルドビスはホリレス族という種族であり、
その中でも一番位が高いファランディという存在である。
だが、邪心アンジャスティスには敵わない。
それをいいことにシャルは自分の兄弟と言える邪心や、
その部下たちを大量に彼の家に住まわせているのだ。

「いつか、斬る…」
ボソリとつぶやくオルドビス。
それさえもシャルフィルターを通すと、可愛く見えるらしい。
「ふふっ、元気でいいネ! カルニアは任務でここにいないから、
ボクが代わりに朝ごはんを作ろう」
そそくさと立ち上がるシャル。そして台所で鼻歌を歌いながら調理を始めた。

シャルが朝食を用意して、皆で食べだしたころ、
フェイテルとカルニアも目を覚ました。
「さて、これから会議をはじめるわ。今後の活動はどうするつもり?」
カルニアはフェイテルの体調を見ながら考え込んだ。
「外に出ましょう」
「え? まだ私は魔方陣を手に入れていないわ」
遺跡にもぐる前、カルニアは基本的に新たな魔方陣を見つけて踏むのが目的、
とフェイテルに教えていた。
しかし今回はまだそれを成していない。
「私たちが最初に決めた進行方向には隠し通路の連続があって
まだ魔方陣がある保障がありません。
ですから今回近い魔方陣方面に戻ってきたわけですが、
そこまでフェイテル様の体はおそらく持ちません」
「そういうものなの…」
経験者の言葉だからか、素直に聞くフェイテル。
「まあいいじゃないですか。素敵なアイテムを拾えたわけですし。
あれがあれば、当分先になりそうですけど、エリアスにいい剣を渡せますよ」
しっぽ。
隠し通路を探しながら行き着いた行き止まりに落ちていたものの話である。
「それに作戦の幅が広がりますよ~。今回、ここの中で技を習得しましたからね、
私のマジックミサイルごり押しじゃなくなる分、フェイテル様も楽になるはずです」
そう言って、フェイテルを納得させるカルニア。
「あまり滞在できませんからね。今度もぐるときは草むしりだけじゃなくて、
薬も探しておきましょう」
タダでもらう、ということはプライドが許さない、
とパンくずをもらわなかったフェイテル。
草むしりはプライドが許すのか? と疑問に思ったけれどそれを突っ込まなかった
カルニア。でもほとんどの草は無駄になってしまった。
それを教訓に、薬探しを提案したのだ。
今回のようにボロボロになったときにも対応しやすい。

「それにしても、防具スキル習得を後回しにしたのは痛かったですね…
きっと今度外に出るときは、私たちの目指している衣装、
取っている人がいると思います。ライバルが多くて困っちゃいますね~」
カルニアはのほほんと言う。

(今日はここまで)
「本当ね…付加は後回しにするべきだったわ」
フェイテルはつぶやくと、なにかに手を伸ばしかけ…カルニアに言った。
「のどが渇いたわ。なにか飲み物を用意して頂戴」
不自然な砂場の真ん中のベッドの上で困った注文をされる。
「それならば、一度私を家に戻してくださいませんか?
家から茶葉とお湯を持ってきます」
「いいわよ」
フェイテルがそう言うと、あっという間にカルニアは合同宿舎に戻ってきていた。

「ふー、緊張しますねぇ」
カルニアはそう言いながら、辺りを見回す。
「あ、食事の用意忘れていました、ごめんなさい」
「全くだ」
オルドビスは言う。
「シャルの料理もまずくは無い。だが、あいつに作ってもらうというのが癪に障る」
それに笑顔をカルニアは返すと、せっせとお茶の準備をし始めた。
「やっぱり私の料理が一番なんですね~ 引く手数多で困っちゃいますー」
「お前は便利な使用人だからな。金さえ渡せば変なこともしない。
それに比べてシャルは無料でやる代わりになにを仕込んでくるかわからない」
「あーhごふっ」
再び高笑いを始めようとしたシャルの口に、エリアスの剣の柄が突っ込まれた。
「黙っていてくれ…」
力なく言うエリアス。
「本当はこんなことはしたくないのだが…」
エリアスは口に突っ込んだだけでは、シャルが柄を取り出してまで
また笑い出すだろうと判断、剣を手にしたまま言う。
「くあ、ぐるしいい…」
「自業自得だ」
オルドビスは冷たく言うと、テレビを覗き込んだ。
フェイテルがカルニアを早く呼び戻そうと水晶を覗き込んで、
こちらの様子を伺っているのが映し出されている。
「…お前らはあいつに好きに呼ばれる。それに関してだけは同情してやるよ」

そんなことを言われながら、今日もまたゆっくりと時が流れていく…


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