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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

カテゴリー「~story~」の記事一覧
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ヴィテスとガランの二人が行動するようになって3日目である。
変わらず旅は続けているものの、沈黙が二人を支配することが多い。

「なんで私、旅を続けてるんだろ…」
夕食時に、ガランが言った。
「……」
ヴィテスはなにも返さない。
「………」
ガランはなにか言いたげにヴィテスを見るも、また視線をおろし食事を再開する。
そのときだった。
突然ヴィテスが弓を手に取り立ち上がる。
「敏感では、あるのか」
声がした。聞きなれない、男の声。
両手を挙げながら姿を現したのは、茶色の鳥の翼を背に持った男だった。
「休息中にすまない。私はナイトフィール。イヴスメルを知るものだ」
その静かな声の調子にヴィテスは若干弓を下ろす。
「そうしてもらうと助かる。敵ではない。イヴスメルの情報をそちらが少し知っていると聞いて、接触を図ろうとした」
「ナイトフィール様!!」
イヴのコピーが嬉しそうに声をあげたため、ヴィテスとガランは彼を食事の間に受け入れることにした。
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「おかえりなさい、ウイング」
機嫌よく息子を出迎えるミーミル。
「そのお姿は…」
ウイングは怪訝な表情でそれに応えた。
「タインはよくやってくれたわ。もう使い物にならないかもしれないけれど、優秀な子たちが残れば充分」
にたり、と目の前でミーミルは笑う。しかし特段反応がないとわかると話を再開させた。
「それで…学園内では見つかったのかしら。パレドン様の魂は」
「いいえ。残念ながら」
即答され、本当に残念と少女は呟き。
「無駄な苦労をさせたわね。でも大丈夫、他人の心を読める者が人間社会で普通に生活していられるわけがないもの」
ウイングは顔を曇らせる。
「私が信じられないの?」
「いえ、そういうわけでは。ただ、次はどこに潜入調査をすればよろしいでしょうか」
次の任務を求めた息子に対しミーミルは満足そうに微笑み
「本当にいい子ね、ウイングは」
そっと抱きしめた。

抱きしめられたウイングがそっと瞳を閉じたのを、ミーミルは知らない。

深い
深い
闇の中

横たわる少女を見つめる
別の少女

やがて別の少女は闇となり
横たわる少女に溶け込んで…
「おい…ロゼ…なにを言っているんだ…?!」
一番最初に反応したのはヴィテスだった。
ヴィテスの言葉でわれに返ったのか、気がついたのか。ガランもはっとロゼのほうを見る。
「…どういうことだ。説明しろ、ロゼ!」
ヴィテスは続ける。低い声で、静かに。だが確実に感情がこもった声だった。
「先輩を犠牲にした? 聞き捨てならない言葉が聞こえたわよ、ロゼ!!」
対してガランは叫ぶかのように言葉を発しながらロゼに詰め寄り、
「はぐらかしたりなんかさせない。私の目を見て答えなさい!」
ぐるぐるメガネを奪い取った。
「……!!」
ヴィテスは息を呑んだ。
その釣りあがった瞳は先ほどの声色以上に冷たい輝きを放っていたからだ。
「そのままです。僕は彼を知っている。本来はリッシュ=フリシーヌという、一人の超能力者にすぎないということも含めてです」
「どういう、こと、よ……」
詰まりつつも尋ねるガランにふう、とロゼは息をついた。
「理解はしているのに、尋ねるのですか」
「っ……」
ガランは返答に詰まる。
「まあ、僕は表だって動きはしていませんでしたからね」
そう続けるロゼの横にはウィスプ。ゆっくりと浮かび上がったそのエンブリオからは
『待ちわびたぞ、きょうだい』
そんな声が放たれた。

「一応、ウイングという名を持っています。母上ミーミルの命によりカシーア会に潜入していました。簡単に言えば、ダブルスパイですね」
淡々と語られる言葉。ウィスプに触れたロゼ、いや、ウイングは、光の翼を持った妖精のような姿に変化する。
「魔属に対抗する組織、ハイザー学園。その究極の姿がこれですよ。対抗するにはそれに近くなるのも仕方がない」
「アンタの目的はなに?! カシーア会の情報を抜き出すことだけじゃないわよね」
ガランが噛みついた。ただ茫然とするヴィテスは放置で。
「………答えると思っているんですか?」
それだけ言うとウイングは羽ばたき、二人から離れていく。
――ヴィテスとガランはそれを見ているしかなかった。
翌朝、ガランが再びバタバタしている間に、ヴィテスはロゼに長老とは何かを尋ねた。
それに対するロゼの答えは淡々としたもので、カシーア会の指導者だとのこと。

しばらくして、ガランが声をかけてきた。彼女の足元には鏡が向かい合わせに置いてあるだけのように見える。
「これは?」
「難しい理論は省略するけどね、貴方たち二人の超能力を共鳴させてほんの少し門を開くの。そうすると長老と会話ができるのよ」
「省略しまくりですね」
ぼそりと言うロゼ。
「だって私も詳しい理屈はわからないんだもの。貴方たち二人の超能力を共鳴させると、どうして・どうやって門が開くのか、とか。そもそもロゼの超能力っていつの間に開花したの、とか、まあいろいろ? それに説明聞いている時間も惜しかったし」
堂々と言うガランにロゼは貴女らしいと苦笑いを返す。
「じゃあ、会話できる準備を始めるわよ」

会話させる道具に対して、ヴィテスもロゼも特段することは無かった。ただ繋がっている紐の先端を握っているだけでいいという。
『……ン。……では…か』
しばらくの間の後、低い男の声が響いてきた。

声が明瞭になってから、ガランは長老にミーミルの部下である魔属を封印したら、ハイザー学園の生徒になったことを伝えた。
しかし長老はミーミルがパレドン=ソヌスの巫女で危険だということは変わらないと言い、最後にこう締めた。
『引き続きカードを使い、ミーミルの部下を封印するのだ。彼らが人間であろうと関係ない。堕ちた者を導くのも我らの仕事だ』
「……」
「………」
「嫌気がさしますね。本質を確認するためだったとはいえ、これではボンバーが無駄死にではないですか」

沈黙を破った冷たい声にヴィテスは硬直した。
その声は間違いなく、隣のロゼが放ったものだったからだ。
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