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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

カテゴリー「~story~」の記事一覧
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ヴィテスは呆然としているガランの手元を見る。
カードには、ハイザー学園の制服を着た男性が描かれていた。
「えーっ? なんでカードの絵がボンバーじゃないんだよう?!」
ファミリアが口を挟んだ。どうやら彼女もカードを見ていたらしい。
「この学生は、ガラン、知っているんだな?」
ヴィテスが確認するように言えば、ガランはただこくりと頷くだけだった。

ガランが再び口を開いたのは重い雰囲気で夕食が終わった後、寝る間際になってからだった。
「このままじゃ眠れないから。話すわ」

ハイザー学園でガランは新聞部に所属していた。情報を手に入れるために動いてもなんの問題もないという理由で選んだのだという。
記事に使う写真も自分たちで調達することが主だったが、たまに写真部に協力してもらっていた。その写真部の部員の一人が、リッシュ=フリシーヌ。自信家で雑だが、独特な空の写真を撮るのが印象的な人物だったという。

「見間違いだとか、他人の空似だとか。そう思いたいんだけどね」
でも直感が本人だと告げるのよ。
ガランの気持ちはヴィテスもわかる気がした。自分も直感が鋭いほうだという自覚があるからだ。
「これがどういうことなのか、さっぱりわからない。どうすればいいのかしら」
ガランは疲れ切った顔で呟く。
「……長老に質問できればいいのですがね」
ようやくロゼが口を開いた。ガランの目が見開かれる。
「わがままな話ですが、僕は今、この世界から帰るわけにはいかないんです。乗りかかった船から降りたくないので」
「いいのよ!」
ガランは目を輝かせてロゼのほうを見る。その勢いにロゼがじりっと身を引くほどの目の輝きだ。
「なんせあの門は一方通行だからね、帰る方法はないけれど。門を開ける二人がいれば、長老と連絡はつくわ!」
話についていけない二人をよそに、ガランは自分の荷物をガサガサと探り出した。
「あ、あの。この世界で僕たちの超能力を使うのは大変危険で…」
「知ってる!」
「超能力を使ったことなんてないぞ」
「私が指導する!」
こんな感じできびきびと動いていたガランだが、突然倒れこんだ。咄嗟にヴィテスが支えたので頭を打たずには済む。
「ど、どうしたんだ」
「今まで無理していたのでしょうね」
「無理?」
「ええ。異世界を一人で行動するって大変なんですよ。ヴィテスはよく平気でしたよね」
二人が会話するのがガランにも聞こえていた。だが頭を占めるのは異変の前の綺麗な青空。


――先輩は超能力ってあると思いますか?
――なんだよ、突然。現実味がねえ話。
――ですよね…。
――でもそういうロマンな話は嫌いじゃないぜ? 空みたいに想像が膨らむもんな。
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「大変なことをさせているのは私たち。ロゼを責めないで」
固まっているロゼの後ろから声がした。
「おや」
コロナはくるりと声のほうを見る。ロゼは息を呑んだ。
「えっ。ガランさん…? 本当にガランさんなんですか?」
ガラン=グホン。
以前、ファミリアが語った女性である。

すぐさまロゼは彼女を他のメンバーの所に案内した。
ガランはロゼが所属するカシーア会のメンバーで、彼と同じくハイザー学園に潜入調査をしている、と自己紹介をする。
「どうやってこの世界に来たのです?」
ロゼが首を傾げれば、学年1位はそんなもんなの? と苦笑いし答える。
「あなたたちが開いてしまった門が開きっぱなしだからよ」
「なに…?」
ヴィテスはぽかんと声を出す。
「じゃあ、この世界で魔属を見るのは」
「その門を使っているんでしょうね。でも、カシーア会も打つ手無しってわけじゃないからね」
えへんと胸を張り、ポーチからトランプのようなものを取り出すガラン。
「それは?」
ロゼの問いを受け、ますます自慢げの笑みを浮かべた彼女だったが、
「伏せて!」
突然叫んだ。
一同の上を火の玉が多数通過していく。
「これは…アイツか!」
ヴィテスが臨戦態勢になったのと
「ボンバーだっつってんだろ! 名前で呼べよ、畏怖を込めてな!」
赤の長髪をなびかせた半獣の男、ボンバーが駆け込んできたのはほぼ同時だった。


「ちくしょう、なんでだよ。俺は捨て駒だってのか……ミーミルよぉ!」
憎らしげにこちらを睨むボンバーに向かって、とどめだと言わんばかりにヴィテスが弦を引く。
「当たってやるかよ」
息が切れているというのにその敵意は消える様子は無かった。
だが、それは唐突に終わりを迎える。
「終わりよ。あんたはカシーア会の支配下に置かれるの」
ガランの声と共に、辺りが白に包まれる。そしてそこに残ったのは1枚のカード。
「さっきのカードはこんなふうにあらゆるものを封印し、使役できるようにできるの。こうすれば彼らは脅威じゃない。むしろ、私たちの力にな――」
誇らしげなガランの言葉はそこで途切れた。タイミング的には彼女がカードを拾い上げたところだった。
「どうしたんだ…?」
不思議そうにヴィテスは問う。
ガランはじっとカードの柄を見つめたまま口をぱくぱくさせていたが、やがて、声を絞り出した。
「フリシーヌ、先輩……」
「いやー、お恥ずかしいところをお見せしちゃいました~!
お洋服、ありがとうございますぅ!」
その子供はコロナと名乗った。
「しかし…腹黒猫が急に人型になるとは、迷惑この上ない」
「すみませんです~」
にぱっと笑ったままぺこぺこする子供。
「まあ、服の予備があって助かりましたね」
本当に幸運でしたよ、とロゼは言う。
「そうだな…あのままだったら本当に困った……」
苦い顔のヴィテスと、興味深げに自分を見るロゼを見比べながら、コロナはふふっと笑いをこぼす。
「なにがおかしい」
「いいえ☆」
満面の笑みで否定を返されても、とヴィテスは内心思いながら。
「まあ…いいさ」
と言ってその場を去って行った。

残されたのはロゼとコロナ。
「……エンブリオとは本当に不思議なものですね」
「気が済みました~?」
ぺたぺた触られながら問いかけるコロナに、頷くロゼ。しかし
「私の観察じゃないですよぅ? みなさんを欺くことにです」
問われて、ロゼは凍りついた。
クアールに異変が生じたのは昨日のことだった。
低いうなり声を上げていた猫の近くで、なにか“ゆがみ”が見えた。
「なんだ!?」
ヴィテスはぎょっとして声を上げる。
「異世界との扉です!」
ロゼは以前の世界移動の経験からか、すぐさまそれの正体を見破り叫んだ。
「にゃにゃ…ふ!」
猫が最後に発した言葉が聞こえるか聞こえないかの間、あっという間にゆがみは拡張した。

「う……」
先にもぞりと動いたのはヴィテスだった。そしてそのまま固まる。
自分たち以外に全裸の子供が倒れていたからだ。
強くなりたい

でも

あいつの力を使ってはいけない
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