定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。
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自粛してます。
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しばらく、偽島の日誌をとりやめたいと考えています。
理由は地震ですね。
それで中身が参っているというのもありますが、中身が元気でも自粛を考えています。
ぶっちゃけ、「天災とはなにか」を考えたとき「自然の摂理」とかじゃないですか。
その「摂理」の人たちのお話を書いているので、すごく進めるのが申し訳ないのです。
今は摂理の話はほとんど出てきませんけれど、メインの連中の根底にはある訳です。
別の定期更新型ネットゲーム…深淵回廊なのですが、
そのチームの中で、摂理が云々の話をしています。
それを定めているのが、一番無害そうなエリアスで、元を正せばフェイテルな訳で。
気がついちゃったんですよ、今、話しちゃいけないことだって。
そんなわけでお休みです。
以上、ご報告でした。
理由は地震ですね。
それで中身が参っているというのもありますが、中身が元気でも自粛を考えています。
ぶっちゃけ、「天災とはなにか」を考えたとき「自然の摂理」とかじゃないですか。
その「摂理」の人たちのお話を書いているので、すごく進めるのが申し訳ないのです。
今は摂理の話はほとんど出てきませんけれど、メインの連中の根底にはある訳です。
別の定期更新型ネットゲーム…深淵回廊なのですが、
そのチームの中で、摂理が云々の話をしています。
それを定めているのが、一番無害そうなエリアスで、元を正せばフェイテルな訳で。
気がついちゃったんですよ、今、話しちゃいけないことだって。
そんなわけでお休みです。
以上、ご報告でした。
ガンマがフェイテルをじっと見ている。
ひたすら見ている。
また、壁の陰からデルタもじっとフェイテルを見ていた。
「どうしました?」
視線に気がついて、フェイテルが問いかけた。
「いんや」
ガンマは否定の言葉を発した。
しかし、心中は穏やかではないのだ。なぜなら過去のフェイテルは
ガンマの前世をめちゃくちゃにした犯人なのだから。
そしてデルタも例外ではない。
普段は動揺など等、負の感情に傾くことのない彼女も、フェイテルによって
過酷な宿命を背負わされ、狂って2度も死んだ。
だからいくら
「転生したんだ。作り直されたんだ。キレイになったんだ」
と言われたところで、はいそうですかと受け入れられませんとデルタは考えていた。
もっとも、ガンマの場合はもっと憎しみ深く、こいつに昔のことを教えて
自分に反省の気持ちを抱いてほしいと思っている。
ただ、それを教えて昔のフェイテルに戻るのではないかという恐怖心もあった。
だから心中穏やかでないまま、彼女をじっと見つめていることしかできないのだ。
「なにか言いたそうな顔ですよ?」
彼らの苦しみなど知らないフェイテルは、純粋な瞳でガンマに言う。
それがガンマのイライラを加速させた。
「なんでもねーって言ってるだろ!」
言葉を思わず荒げ、我に返る。
「悪ィ、悪ィ、オレサマとあろうものが。とにかくなんでもねーよ。おいデルタ。
ちょっとそこらへんに狩りに行こうぜ」
デルタが素で感情の起伏が鈍いのに対し、ガンマは感情の起伏は豊かなのだ。
しかし最近の彼はそれを抑制する。
最近――前世の記憶が戻ってから。
前世の彼は、自分の本心を隠して120年生き抜き、死んだのだから。
それが癖になってしまっているのだ。
「あら。私の存在に気が付いていましたの?」
のんびりとデルタは返す。
「あったりめーだろ。オレサマを誰だと思ってやがる。
神経とがらせるのが職業のガンマサマだぜ」
デルタの返答を待たずにガンマは言い切った。
「まあ」
対してデルタは手を口元に運び、のんびりと感想を漏らす。
「その代わり力はあまり無いガンマ様ですわね」
「うるせーぞ」
ちょっと拗ねた声色にくすくすとデルタは笑う。
「大丈夫ですわ。力も魔力も、私ありますから。おまかせくださいませ」
「それで怪我したら、血を操って回復するんだろ? 気分悪いぜ」
デルタは血の魔女。敵の血液を操り爆破させたり、操ったりすることができる。
以前は相手の血を一度啜らなければいけなかったが、
ヴァイザの邪心化と部下の再構成に伴い、その制約もない。
また、血液を操ることで、肉体の再生を早めることもできるのだ。
「あら。貴方は突っ込むのがお好きでしょう? ならば回復役は必須ですわ」
「避けるからいらねー。お前も暴れていいんだぜ」
これはガンマなりの気遣いだった。フェイテルに対する苛立ちを、
発散してもらいたい、と。
「まあ。それではお言葉に甘えて、敵を切り裂きますわね」
デルタは1本のナイフを取り出して、にこりと微笑んだ。
ヴァイザをはじめとする、邪心無しで遺跡に入るのは初めてのこと。
「それでも、私たちは負けませんわ」
デルタは強気だった。自分の実力が100%出せれば、敵などほとんどいない。
それはガンマも同様だった。
鉱石を自在に操り、命すら与えてしまうことができる彼。
本人の身体能力と相まって、敵なしである。
ただし、100%出せれば、の話だ。
この島は特殊で、遺跡内では自分の力を出すことができないと言われていた。
その代わり、自分が知らなかった技を覚えることもできるのだが。
そこがいいと、カルニアもフェイテルも言ってこの島にやってきた。
しかし振り回されるほうにしてみればいい迷惑である。
「さあて…オレサマ、どれだけ弱体化してるかなァ?」
皮肉を言いつつ、ガンマは持ち歩いているウエストポーチから鉱石を取り出した。
それはあっという間に彼愛用の薙刀型になる。
「大丈夫ですわ。私ほどではないはず」
デルタは言いながら、そっと目を閉じた。隙だらけである。
「………」
それを見て、ガンマも真似をすることにした。
二人は、草原に立ち尽くして、隙を見せ、弱い獣でも自分のほうが強いと
錯覚される状態になっていた。
そのころ。
「ガンマとデルタがいません! ベータ、がお、なにか知りませんか!?」
カルニアは大騒ぎしていた。
その横でシャルがぷうと頬を膨らませる。
「なんでがおに聞くの?! がおよりはよっぽどボクのほうが情報知っている感じが
しない?」
「がおがお」
がおも頷く。
「あなたはご存知でも教えてくれないじゃないですか! あるいは嘘を言うか!」
「やだなー。カワイイ弟に、そんなことするわけないじゃない!」
あははははは!
シャルは普通に笑った。(いつもは呪いの効果がある笑いをするのだ)
しかしカルニアは疑いの眼差しを向けるだけだ。
「とにかく! この島ではなにがあるかわかりません! この島で覚えたことしか
できませんし、あの二人が壊れたら、修理するのは私なんですよ!」
「なんだ自己中」
不機嫌になるシャル。
相変わらず自分の部下をそんな風にしか見ていないカルニアを
軽蔑している感じである。
「私は事実を言ったまでです」
しかし全く反省の色が見えないカルニア。
「とにかく探します! 島の中を探すの、手伝ってくださいませんか!?」
そして協力を求める。
「しょうがないなぁ~」
それなのに、しぶしぶながらも応じるシャルは、やはりカルニアのことが
かわいいのだろうか。
そのとき、声が聞こえた。
「大丈夫だ。奴らは今、血みどろになって弱い者いじめをしている」
デスティニーだ。
彼と同じ大きさぐらいの歯車を体の正面に浮かべ、
それを見ながらデスティニーは話す。
「わお。運命を見守ることがもうできるようになってる!」
シャルは感激したのか、素っ頓狂な声を上げつつ言った。
「楽しそうよ」
フェイテルも小さな水晶を抱え、弟に続く。
「進化してるねぇ~」
シャルはウンウンと頷くと、小さな司二人をわしわしと撫でた。
「そうですか…ストレス発散していたんですか」
ほっとしたように、カルニアも言った。
「迎えに行きましょう!」
そう提案するが、シャルはふるふると首を振った。
「放っておいてあげようよ。それにキミ、商売あるんでしょ?」
「そうでした~!」
商売を引き合いに出されて、ころっと態度を変えるカルニア。
なんだ、やっぱりお金優先か、とシャルが言う前に、彼はこう続けた。
「シャル、お暇でしょう? 探してきてくださいよぅ」
「だーっ!」
シャルは頭を振って叫んだ。
「立っている者は兄でも使うのか! もういい! カルなんか知らない!
呪いかけちゃう!」
そう言って呪文を唱えだす。カルニアは涙目で逃げ回る。
その様子を見て、デスティニーは呟いた。
「呪い好きを利用しようとする。呪い好きと知っていて。
それはすなわち自ら望んだ運命。放置だな」
「ええ。放置しましょう。あれも兄弟のコミュニケーションよ」
フェイテルはそう答え、にっこりと微笑んだ。
ひたすら見ている。
また、壁の陰からデルタもじっとフェイテルを見ていた。
「どうしました?」
視線に気がついて、フェイテルが問いかけた。
「いんや」
ガンマは否定の言葉を発した。
しかし、心中は穏やかではないのだ。なぜなら過去のフェイテルは
ガンマの前世をめちゃくちゃにした犯人なのだから。
そしてデルタも例外ではない。
普段は動揺など等、負の感情に傾くことのない彼女も、フェイテルによって
過酷な宿命を背負わされ、狂って2度も死んだ。
だからいくら
「転生したんだ。作り直されたんだ。キレイになったんだ」
と言われたところで、はいそうですかと受け入れられませんとデルタは考えていた。
もっとも、ガンマの場合はもっと憎しみ深く、こいつに昔のことを教えて
自分に反省の気持ちを抱いてほしいと思っている。
ただ、それを教えて昔のフェイテルに戻るのではないかという恐怖心もあった。
だから心中穏やかでないまま、彼女をじっと見つめていることしかできないのだ。
「なにか言いたそうな顔ですよ?」
彼らの苦しみなど知らないフェイテルは、純粋な瞳でガンマに言う。
それがガンマのイライラを加速させた。
「なんでもねーって言ってるだろ!」
言葉を思わず荒げ、我に返る。
「悪ィ、悪ィ、オレサマとあろうものが。とにかくなんでもねーよ。おいデルタ。
ちょっとそこらへんに狩りに行こうぜ」
デルタが素で感情の起伏が鈍いのに対し、ガンマは感情の起伏は豊かなのだ。
しかし最近の彼はそれを抑制する。
最近――前世の記憶が戻ってから。
前世の彼は、自分の本心を隠して120年生き抜き、死んだのだから。
それが癖になってしまっているのだ。
「あら。私の存在に気が付いていましたの?」
のんびりとデルタは返す。
「あったりめーだろ。オレサマを誰だと思ってやがる。
神経とがらせるのが職業のガンマサマだぜ」
デルタの返答を待たずにガンマは言い切った。
「まあ」
対してデルタは手を口元に運び、のんびりと感想を漏らす。
「その代わり力はあまり無いガンマ様ですわね」
「うるせーぞ」
ちょっと拗ねた声色にくすくすとデルタは笑う。
「大丈夫ですわ。力も魔力も、私ありますから。おまかせくださいませ」
「それで怪我したら、血を操って回復するんだろ? 気分悪いぜ」
デルタは血の魔女。敵の血液を操り爆破させたり、操ったりすることができる。
以前は相手の血を一度啜らなければいけなかったが、
ヴァイザの邪心化と部下の再構成に伴い、その制約もない。
また、血液を操ることで、肉体の再生を早めることもできるのだ。
「あら。貴方は突っ込むのがお好きでしょう? ならば回復役は必須ですわ」
「避けるからいらねー。お前も暴れていいんだぜ」
これはガンマなりの気遣いだった。フェイテルに対する苛立ちを、
発散してもらいたい、と。
「まあ。それではお言葉に甘えて、敵を切り裂きますわね」
デルタは1本のナイフを取り出して、にこりと微笑んだ。
ヴァイザをはじめとする、邪心無しで遺跡に入るのは初めてのこと。
「それでも、私たちは負けませんわ」
デルタは強気だった。自分の実力が100%出せれば、敵などほとんどいない。
それはガンマも同様だった。
鉱石を自在に操り、命すら与えてしまうことができる彼。
本人の身体能力と相まって、敵なしである。
ただし、100%出せれば、の話だ。
この島は特殊で、遺跡内では自分の力を出すことができないと言われていた。
その代わり、自分が知らなかった技を覚えることもできるのだが。
そこがいいと、カルニアもフェイテルも言ってこの島にやってきた。
しかし振り回されるほうにしてみればいい迷惑である。
「さあて…オレサマ、どれだけ弱体化してるかなァ?」
皮肉を言いつつ、ガンマは持ち歩いているウエストポーチから鉱石を取り出した。
それはあっという間に彼愛用の薙刀型になる。
「大丈夫ですわ。私ほどではないはず」
デルタは言いながら、そっと目を閉じた。隙だらけである。
「………」
それを見て、ガンマも真似をすることにした。
二人は、草原に立ち尽くして、隙を見せ、弱い獣でも自分のほうが強いと
錯覚される状態になっていた。
そのころ。
「ガンマとデルタがいません! ベータ、がお、なにか知りませんか!?」
カルニアは大騒ぎしていた。
その横でシャルがぷうと頬を膨らませる。
「なんでがおに聞くの?! がおよりはよっぽどボクのほうが情報知っている感じが
しない?」
「がおがお」
がおも頷く。
「あなたはご存知でも教えてくれないじゃないですか! あるいは嘘を言うか!」
「やだなー。カワイイ弟に、そんなことするわけないじゃない!」
あははははは!
シャルは普通に笑った。(いつもは呪いの効果がある笑いをするのだ)
しかしカルニアは疑いの眼差しを向けるだけだ。
「とにかく! この島ではなにがあるかわかりません! この島で覚えたことしか
できませんし、あの二人が壊れたら、修理するのは私なんですよ!」
「なんだ自己中」
不機嫌になるシャル。
相変わらず自分の部下をそんな風にしか見ていないカルニアを
軽蔑している感じである。
「私は事実を言ったまでです」
しかし全く反省の色が見えないカルニア。
「とにかく探します! 島の中を探すの、手伝ってくださいませんか!?」
そして協力を求める。
「しょうがないなぁ~」
それなのに、しぶしぶながらも応じるシャルは、やはりカルニアのことが
かわいいのだろうか。
そのとき、声が聞こえた。
「大丈夫だ。奴らは今、血みどろになって弱い者いじめをしている」
デスティニーだ。
彼と同じ大きさぐらいの歯車を体の正面に浮かべ、
それを見ながらデスティニーは話す。
「わお。運命を見守ることがもうできるようになってる!」
シャルは感激したのか、素っ頓狂な声を上げつつ言った。
「楽しそうよ」
フェイテルも小さな水晶を抱え、弟に続く。
「進化してるねぇ~」
シャルはウンウンと頷くと、小さな司二人をわしわしと撫でた。
「そうですか…ストレス発散していたんですか」
ほっとしたように、カルニアも言った。
「迎えに行きましょう!」
そう提案するが、シャルはふるふると首を振った。
「放っておいてあげようよ。それにキミ、商売あるんでしょ?」
「そうでした~!」
商売を引き合いに出されて、ころっと態度を変えるカルニア。
なんだ、やっぱりお金優先か、とシャルが言う前に、彼はこう続けた。
「シャル、お暇でしょう? 探してきてくださいよぅ」
「だーっ!」
シャルは頭を振って叫んだ。
「立っている者は兄でも使うのか! もういい! カルなんか知らない!
呪いかけちゃう!」
そう言って呪文を唱えだす。カルニアは涙目で逃げ回る。
その様子を見て、デスティニーは呟いた。
「呪い好きを利用しようとする。呪い好きと知っていて。
それはすなわち自ら望んだ運命。放置だな」
「ええ。放置しましょう。あれも兄弟のコミュニケーションよ」
フェイテルはそう答え、にっこりと微笑んだ。
「ボクの♪ 名前は宝石商人♪ 世界で♪ 一番強いオトコノコ♪」
「………なんですかそれは」
シャルの音楽講座は続いていた。
「ん~? これはね、むかーしむかし、ボクがある世界で遊んだときに名乗った
『マーシャン=ジュエル』にちなんで、歌っていた歌だよ!」
宝石=ジュエル。
商人=マーチャント、もしくはマーシャン。
あまりにそのまますぎる名前に、くらりとカルニアは頭を抑えた。
「それ…偽名ってバレバレでしょう?!」
あーはっはっはっはっは。
いつもの呪いをばらまく笑い声を立てると、シャルは指を立ててちっちっち、
と言った。
「言葉が違うんだ。だからバレなかったよ」
「自分で『ボクの名前は宝石商人』と言っているだろう。馬鹿が」
いつの間にか寄ってきていたデスティニーが毒を吐く。
シャルはそっちを見てしばらくぱたぱた動くデスティニーの翼を見ていた。そして。
あーはっはっはっはっは!
また笑った。
「気付かなかったー! ボク、1万年前のことだけどびっくり!」
サバを読んでいるが、そこは無視しよう。
「そうかー。空気を読んで仲間は突っ込まなかったんだね!
そんな器用なことできるような子たちだったとは! びっくり!」
「仲間…?」
デスティニーが問う。
それにくるりと振り向いて、シャルはにこーっと笑った。
「そう、仲間! 一緒に旅をしたんだよ。
でもボク、その子たちを誘導していただけなんだー。最後には裏切っちゃった!」
「裏切っ…た…?」
ふらふら…とデスティニーは下に転落していく。それをさっとフェイテルが支えた。
「だいじょうぶ?」
「あ、ああ…」
「どうしたの?」
「わからない。アイツの話を聞いていたら、なにか僕は誰かにとんでもないことを
押し付けたような気がしてきたんだ…」
――貴様に役目を与える。
――簡単なことだ。貴様は僕と連なる者。
苦しそうなデスティニーを見ていたフェイテルは歌いだした。
「闇をつらぬくものよ~♪ 汝、何を求む~? 真実はどこにもないと~♪
彼は囁いた~♪」
デスティニーは驚いた顔をして、フェイテルのほうを見る。
「歌…歌えるようになったのか?」
「ええ――まだ、意味はよくわからないけれど」
ぱたぱた。ぱたぱた。
双翼は羽ばたく。お互いに見つめあいながら。
(ふーん。フツーに仲いいじゃん)
シャルはそう思いながら見守っていた。
「データゲットですよー!」
そこへ空気を読まないカルニアが襲い掛かる。
とっさに結界を張るデスティニー。遅れるフェイテル。
「フェイテル!」
自分の結界を広げ、フェイテルをカバーしようとするも、
一足遅く、彼女はカルニアにすくい上げられていた。
「…………」
しかしそこでカルニアは沈黙する。
「血が…無い!?」
その言葉と同時にフェイテルは逃げ出す。デスティニーの横にわざわざ並んで、
自分で結界を張った。
くすくすくす…
笑い声が聞こえる。
振り返るカルニア。
デルタが、壁の影から覗き込んで、笑っていた。
「――知ってたんですね!」
怒り、カルニアはデルタのほうへ走っていく。
その後頭部に、デスティニーが呼び出した氷塊が突き刺さった。
どうやら転生司たちは順調に成長しているようだ。
「………なんですかそれは」
シャルの音楽講座は続いていた。
「ん~? これはね、むかーしむかし、ボクがある世界で遊んだときに名乗った
『マーシャン=ジュエル』にちなんで、歌っていた歌だよ!」
宝石=ジュエル。
商人=マーチャント、もしくはマーシャン。
あまりにそのまますぎる名前に、くらりとカルニアは頭を抑えた。
「それ…偽名ってバレバレでしょう?!」
あーはっはっはっはっは。
いつもの呪いをばらまく笑い声を立てると、シャルは指を立ててちっちっち、
と言った。
「言葉が違うんだ。だからバレなかったよ」
「自分で『ボクの名前は宝石商人』と言っているだろう。馬鹿が」
いつの間にか寄ってきていたデスティニーが毒を吐く。
シャルはそっちを見てしばらくぱたぱた動くデスティニーの翼を見ていた。そして。
あーはっはっはっはっは!
また笑った。
「気付かなかったー! ボク、1万年前のことだけどびっくり!」
サバを読んでいるが、そこは無視しよう。
「そうかー。空気を読んで仲間は突っ込まなかったんだね!
そんな器用なことできるような子たちだったとは! びっくり!」
「仲間…?」
デスティニーが問う。
それにくるりと振り向いて、シャルはにこーっと笑った。
「そう、仲間! 一緒に旅をしたんだよ。
でもボク、その子たちを誘導していただけなんだー。最後には裏切っちゃった!」
「裏切っ…た…?」
ふらふら…とデスティニーは下に転落していく。それをさっとフェイテルが支えた。
「だいじょうぶ?」
「あ、ああ…」
「どうしたの?」
「わからない。アイツの話を聞いていたら、なにか僕は誰かにとんでもないことを
押し付けたような気がしてきたんだ…」
――貴様に役目を与える。
――簡単なことだ。貴様は僕と連なる者。
苦しそうなデスティニーを見ていたフェイテルは歌いだした。
「闇をつらぬくものよ~♪ 汝、何を求む~? 真実はどこにもないと~♪
彼は囁いた~♪」
デスティニーは驚いた顔をして、フェイテルのほうを見る。
「歌…歌えるようになったのか?」
「ええ――まだ、意味はよくわからないけれど」
ぱたぱた。ぱたぱた。
双翼は羽ばたく。お互いに見つめあいながら。
(ふーん。フツーに仲いいじゃん)
シャルはそう思いながら見守っていた。
「データゲットですよー!」
そこへ空気を読まないカルニアが襲い掛かる。
とっさに結界を張るデスティニー。遅れるフェイテル。
「フェイテル!」
自分の結界を広げ、フェイテルをカバーしようとするも、
一足遅く、彼女はカルニアにすくい上げられていた。
「…………」
しかしそこでカルニアは沈黙する。
「血が…無い!?」
その言葉と同時にフェイテルは逃げ出す。デスティニーの横にわざわざ並んで、
自分で結界を張った。
くすくすくす…
笑い声が聞こえる。
振り返るカルニア。
デルタが、壁の影から覗き込んで、笑っていた。
「――知ってたんですね!」
怒り、カルニアはデルタのほうへ走っていく。
その後頭部に、デスティニーが呼び出した氷塊が突き刺さった。
どうやら転生司たちは順調に成長しているようだ。
「ドミソ♪」
「ド、ミ、ソ」
「うん、上手上手~♪」
シャルは歌っている。
フェイテルがそのあとをゆっくり練習する。
「うん、じょうず、じょうず」
「そこまではやらなくていいから!」
和やかな空気だ。しかしそれ以外の場所の空気は殺伐としている。
「うう…どうして近寄らせてもらえないのでしょうね…それだけなら
まだ我慢もできますが、子供用の食事作りを押し付けられるなんて…」
涙をちょちょぎらせながら、カルニアは鍋で食事を作っている。
その後ろで、きらきらとがおが食事を狙っている。
ベータが木材を運んできた。そして木材を置くと、静かにがおを運搬、
エリアスの横まで持っていく。
エリアスは固まっている。頭の上にいるデスティニーを落とさないための配慮だが、
気を使われているなど、頭上の生き物は考えていない。
彼は今、必死に抵抗しているのである。
ガンマがつんつんと薙刀で突こうとするので結界を張る。しかし昔は無敵の威力を
持っていた結界も、ガンマが数回突くとパリンと割れる。そして張りなおす。
最初から機嫌の悪い顔をしているデスティニーの顔がどんどん赤くなっていく。
そして――
「貴様っ、いい加減にしろ!」
叫んだ。
「ひゃはははははっ! 簡単にキレるなぁ」
その言葉に、はっと気がつく。おもちゃにされていたことに。
そして怒りだす。
ちゃきっと杖を構えると、ぶつぶつと詠唱をはじめた。
「おっと、これはまずいぜ?」
そう言いながらも微動だにしないガンマ。
デスティニーの黒槍が現れると、ひらりひらりとかわした。
「――っ!」
「残念だったな。この世界でも魔法は避けられるんだぜ?」
こつん。
笑うガンマの頭にデスティニーの杖が飛んできた。
唐突すぎてそれには当たるガンマ。
「八つ当たりか?」
たいしたダメージにもならない。そう言いながらガンマが杖を手に取り、
「ちっちぇー杖だなぁ」などと言っていると、デスティニーは再び杖を振っていた。
「いくつ持ってるんだよ…」
デルタはその様子をにこにこと見ていた。
そこにフォーゼがやってくる。
「おや。カルニア君は料理を作りながらでも自分の目的を果たそうとしているのに、
キミは手伝わないのかな?」
声に反応して、デルタはそちらを見る。
「あら、フォーゼ様。私は血の魔女。血が無い相手にはなにもできませんわ」
「ほう」
デルタはそこまで調査していたのだ。その抜け目の無さにフォーゼは最初感心した
声を上げたが、やがてくすくす笑い出した。
「どうかいたしましたの?」
「いやね、主人のカルニア君より調査が進んでいるなんてキミは優秀だなと
思ってね」
「まあ」
にこ、とデルタは笑う。
「そして、カルニア君にはそれを教えない。意地悪だなぁ」
そう言って横に並ぶ。デルタの手が伸びない範囲に。
「マスターも私と同じ努力をすればいいのですわ。そして絶望すればいいのですわ」
「おやおや」
「お話しは変わりますが、フォーゼ様は、完全な人型にもなれますの?」
唐突なことを言ってきたデルタ。それに少々驚いて、フォーゼの瞳が見開かれる。
「なれるけれど。どうしたんだい?」
「……ごめんなさい。無かったことにしてくださいまし。
シャル様で我慢しなくては」
珍しく弱気になったデルタに、フォーゼは首をかしげて、一歩踏み出した。
きらり。
デルタの目が光る。
「近寄りましたわね!」
「残念、それは残像さ!」
フォーゼの残した鏡も光る。
「まあ。参りましたわ。それにしても鏡を使うとはいえ、分身も作れるなんて、
ほとほとマスターと似てらっしゃいますのね」
フォーゼは苦笑する。
「油断も隙もないんだから…カルニア君はだいぶ性格が丸くなったけれど、
キミは変わらないね」
それを褒め言葉ととったのか。デルタは満面の笑みを浮かべ、
「ありがとうございます。マスターがころころ感化されるので、
元のマスターの記録をするのも、私たち部下の仕事なのですわ」
少々胸を張りながら言った。
「ほう…変わってもいいと思うのだけれどね」
「それは人間のお話。マスターはもともと人間だから仕方がないのかも
しれませんけれど」
ふむ。
フォーゼは考えながら、自分を思って死んだ親友のことを思い出す。
デルタから遠ざかりながら。
「ああ、行ってしまいますの?」
「キミの近くだと考え事もできないからね」
「そうですか…」
フォーゼは立ち去り、デルタはシャルのほうに視線をやった。
「シャル様は優しすぎて…やっぱり物足りませんわ」
戻ってシャルとフェイテルである。
「ねえ」
シャルは真面目な顔をして、フェイテルに聞く。
「なにかしら?」
フェイテルはきょとんとして、それに答える。
「キミたちってトイレするの?」
そう言葉が発せられると、小さな翼で顔を隠してしまった。
「恥ずかしいことを言うのね。しないわ」
「よかったー。おむつの心配はいらないね」
こつん。
遠くから杖が飛んできた。
「ド、ミ、ソ」
「うん、上手上手~♪」
シャルは歌っている。
フェイテルがそのあとをゆっくり練習する。
「うん、じょうず、じょうず」
「そこまではやらなくていいから!」
和やかな空気だ。しかしそれ以外の場所の空気は殺伐としている。
「うう…どうして近寄らせてもらえないのでしょうね…それだけなら
まだ我慢もできますが、子供用の食事作りを押し付けられるなんて…」
涙をちょちょぎらせながら、カルニアは鍋で食事を作っている。
その後ろで、きらきらとがおが食事を狙っている。
ベータが木材を運んできた。そして木材を置くと、静かにがおを運搬、
エリアスの横まで持っていく。
エリアスは固まっている。頭の上にいるデスティニーを落とさないための配慮だが、
気を使われているなど、頭上の生き物は考えていない。
彼は今、必死に抵抗しているのである。
ガンマがつんつんと薙刀で突こうとするので結界を張る。しかし昔は無敵の威力を
持っていた結界も、ガンマが数回突くとパリンと割れる。そして張りなおす。
最初から機嫌の悪い顔をしているデスティニーの顔がどんどん赤くなっていく。
そして――
「貴様っ、いい加減にしろ!」
叫んだ。
「ひゃはははははっ! 簡単にキレるなぁ」
その言葉に、はっと気がつく。おもちゃにされていたことに。
そして怒りだす。
ちゃきっと杖を構えると、ぶつぶつと詠唱をはじめた。
「おっと、これはまずいぜ?」
そう言いながらも微動だにしないガンマ。
デスティニーの黒槍が現れると、ひらりひらりとかわした。
「――っ!」
「残念だったな。この世界でも魔法は避けられるんだぜ?」
こつん。
笑うガンマの頭にデスティニーの杖が飛んできた。
唐突すぎてそれには当たるガンマ。
「八つ当たりか?」
たいしたダメージにもならない。そう言いながらガンマが杖を手に取り、
「ちっちぇー杖だなぁ」などと言っていると、デスティニーは再び杖を振っていた。
「いくつ持ってるんだよ…」
デルタはその様子をにこにこと見ていた。
そこにフォーゼがやってくる。
「おや。カルニア君は料理を作りながらでも自分の目的を果たそうとしているのに、
キミは手伝わないのかな?」
声に反応して、デルタはそちらを見る。
「あら、フォーゼ様。私は血の魔女。血が無い相手にはなにもできませんわ」
「ほう」
デルタはそこまで調査していたのだ。その抜け目の無さにフォーゼは最初感心した
声を上げたが、やがてくすくす笑い出した。
「どうかいたしましたの?」
「いやね、主人のカルニア君より調査が進んでいるなんてキミは優秀だなと
思ってね」
「まあ」
にこ、とデルタは笑う。
「そして、カルニア君にはそれを教えない。意地悪だなぁ」
そう言って横に並ぶ。デルタの手が伸びない範囲に。
「マスターも私と同じ努力をすればいいのですわ。そして絶望すればいいのですわ」
「おやおや」
「お話しは変わりますが、フォーゼ様は、完全な人型にもなれますの?」
唐突なことを言ってきたデルタ。それに少々驚いて、フォーゼの瞳が見開かれる。
「なれるけれど。どうしたんだい?」
「……ごめんなさい。無かったことにしてくださいまし。
シャル様で我慢しなくては」
珍しく弱気になったデルタに、フォーゼは首をかしげて、一歩踏み出した。
きらり。
デルタの目が光る。
「近寄りましたわね!」
「残念、それは残像さ!」
フォーゼの残した鏡も光る。
「まあ。参りましたわ。それにしても鏡を使うとはいえ、分身も作れるなんて、
ほとほとマスターと似てらっしゃいますのね」
フォーゼは苦笑する。
「油断も隙もないんだから…カルニア君はだいぶ性格が丸くなったけれど、
キミは変わらないね」
それを褒め言葉ととったのか。デルタは満面の笑みを浮かべ、
「ありがとうございます。マスターがころころ感化されるので、
元のマスターの記録をするのも、私たち部下の仕事なのですわ」
少々胸を張りながら言った。
「ほう…変わってもいいと思うのだけれどね」
「それは人間のお話。マスターはもともと人間だから仕方がないのかも
しれませんけれど」
ふむ。
フォーゼは考えながら、自分を思って死んだ親友のことを思い出す。
デルタから遠ざかりながら。
「ああ、行ってしまいますの?」
「キミの近くだと考え事もできないからね」
「そうですか…」
フォーゼは立ち去り、デルタはシャルのほうに視線をやった。
「シャル様は優しすぎて…やっぱり物足りませんわ」
戻ってシャルとフェイテルである。
「ねえ」
シャルは真面目な顔をして、フェイテルに聞く。
「なにかしら?」
フェイテルはきょとんとして、それに答える。
「キミたちってトイレするの?」
そう言葉が発せられると、小さな翼で顔を隠してしまった。
「恥ずかしいことを言うのね。しないわ」
「よかったー。おむつの心配はいらないね」
こつん。
遠くから杖が飛んできた。