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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

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ボクはシャル。
ボクはシャル・ウェスター・ヨタ・スカイ。
――そして、アンジャスティス。
普通の人間じゃないんだ。
むしろ力あるものなんだ。
力を振るうときは気をつけなくちゃいけないんだ。
そんな存在なんだ。

なのに。
ボクをいつしか支配する意識がある。
いや、それこそがボク?
わからない。わからないよ。

-------------
「お前さ、どうして街中にいるときは人間のフリをしてるわけ?」
オルドビスがボクに尋ねる。
そう、ボクは街中にいるときは『風波飛翔』と名乗っている。
そして『不正義教』を布教している。
つまり、自分で自分を布教しているんだ。別人のフリをして。
滑稽なことだけど、なぜかみんなはそこをツッコまない。
なんでだろう。
そしてボクは、どうしてそんな滑稽なことをしているんだろう。
「おい、聞いてるか?」
オルドビスの声。
そうだよね。ボク、よく人の話、聞いてないもん。
「聞いてるよ~。ただどうしてか、よくわからなかったから考えてただけ」
「お前がわからないなら、俺は余計にわからん」
ボクは、解釈を彼に求めたのだろうか? そんなつもりは無かったんだけどなー。
「ただわかることはね、街にいるボクはただの人間だよ。
オルドビスには敵わない、ひしょー、なの」
「ほぅ…」
オルドビスの顔に影が落ちる。
「ならそのうちに邪心教本部を燃やしてやろうか」
ボクは全身の血が凍って、それから一気に頭に上った。
「やめて! お願いやめて!」
懇願する。
するとオルドビスはにやりと笑って
「ふぅん…嫌がることをするってこんなに楽しいものなんだな」
と言った。
そりゃさ、ボクの趣味はオルドビスに嫌がらせすることだよ?
でもこんなところまでボクに似なくてもさぁ…
あ、オルドビスはね、ボクが卵から育てた子なんだー。

いや、それどころじゃなかった。
邪心教本部が燃やされるのはホントに困る。
あそこにはボクなんかを頼ってきてくれるヒトや、
ボクを信じてくれるヒトが生活しているところなんだ。
それに、あそこには…
『オモイデ』があるんだ。なにがなんでも守らなくちゃ。

「もう、オルドビスったら。そんなことしたら、ボク、オルドビスに
一生付いてまわっちゃうゾ☆」
「憑く、の間違いだろ。第一しなくてもお前、憑いてくる気だろ」
超必死なのを隠して、ボクは言ってみる。
オルドビスは冷ややかにツッこんできた。その言葉からすれば、
どうせ同じならやってしまえ、とも受け取れなくもないけど、
ぷいとそっぽを向いて、冷めた目に戻っていたからダイジョウブだと思う。
「うん! だってオルドビス、かわいいもん!」
そう言って、スキンシップしようとしたら、鎌で刺された。
「ギャン!」
「見苦しい…」
そう言ってオルドビスは立ち去っていく。どこ行くの~? 
というボクの問いも無視して。

ひとりになったボクは、自分の部屋に帰る。
そこのイスに腰掛けて、脚をプラプラさせながら続きを考える。
「ねえ飛翔。キミは一体なんなの?」
声に出して聞いてみた。
答えはもちろん無い、だって飛翔はボクだもの。
飛翔はボク。
そのことすら、本当はよくわからない。

ゆっくり考えることにする。客観的に。
主体で考えると、ボクはボクでボクとはこうで…というボクループに
なってしまいそうだから。


飛翔は、アンジャスティスが人間を試すために人間の赤子に化けた姿。
もちろんアンジャスティスがいなくなると困るため、力だけを分離し、
邪悪な力を吸収する存在としていた。
それから飛翔は19年間、幽閉に近い状態で成長する。
そして最後に、アンジャスティスを崇める者たちの手で殺された。
そこもアンジャスティスの想定範囲内。
あとは元の状態に戻り、アンジャスティスがまた世界で邪悪な力を吸収するだけの
生活に戻るはずだった。

しかし、想定外の出来事が起こる。
飛翔は死んだはずなのに、アンジャスティスに戻らず、
異世界に飛ばされてしまったのだ。
人間:風波飛翔として。力も無く。
しかしアンジャスティスとしての自覚や記憶や心は持っていた。
だからいつか世界に戻れれば問題は無い。はずだった。

だが、飛翔は変わっていく。
そこに住む人々と接するにつれ、今まで持っていなかった感情を次々と習得した。
人にはあまり近づかなかったのに、気がつけば環の中にいた。
起こる事件に自ら足をつっこみまくった。
人々のため、毎日歩きながら、アンジャスティスの布教をし、邪悪な力を吸収した。
布教の中で、負の感情の回収を拒まれ、心の底から驚いたこともあった。
死にそうな人を助けるために走り回った。
壊れてしまいそうな関係を守るため、毎日のように足を運んだりもした。
たくさん話した。
知らないことがいっぱいあることを思い知った。
その延長上で、恋もした。

そうして、風波飛翔とアンジャスティスは乖離を始めていた。
しかし、その世界から戻ったとき、アンジャスティスは本来の状態に戻った。
つまり、飛翔は消えた。
消えたはずだ。

しかし、アンジャスティスはそこでの出来事を自分の体験だと思っている。
つまり、アンジャスティスは飛翔に支配されてしまったのではないか?


「ふにー」
一度、思考を止める。
「もう! 難しすぎてボクわかんない~!」
足をじたばたと動かす。
「待て落ち着こう。一度に考えると脳みそがとろけて
ヨーグルトになってしまいそうだ」
独り言を呟きながら、部屋の冷蔵庫の戸を開き、作り溜めてある青汁を取り出す。
グラスになみなみと注ぎ、手を合わせてイタダキマスの挨拶をすると、
ぐっと飲み干した。
「うまーい!」
嬉しくて声を出す。
青汁は大好きなのでおいしいと感じるのはいつものことだったが、
今日はなお一層美味しく感じる。
なぜだろう? 考えてからあることに気がついて驚いた。
「ボ、ボク…泣いてた?!」
慌てて目元を拭う。そして机の引き出しから鏡を取り出し、
自分の顔をしげしげと見た。
「目が白ウサギさんだー」
あははっ。
自分の無意識下の行動がおかしくて、笑いを漏らす。
「そうだよ。やっぱりあそこの生活は、『ボク』の大切な、大切な、
『オモイデ』。」
そう再認識するように、ゆっくりと、噛み締めて言う。
「よーし、がんばっちゃうぞ! ボクが一体なんなのか、
はっきりさせちゃうんだもんね!」
気合を入れて、ベッドにダイビングした。


思い出してみれば、もともと自分がアンジャスティス=邪悪な存在となったのは、
兄弟喧嘩が発端だった。
シャルの本当の兄弟たちは、それぞれが属性と方角を司る竜。
そして、あるときある世界に腰を下ろし、そこを護っていた。
しかし、世界の人々が生み出す負の感情に嫌気がさした者がいた。
そして彼は言った。
「負の感情が世界を汚している。その原因は人々の自由な考え方だ。
よってそれを規制し、正の感情だけを持つように指導する」
それにコンマ0.1秒以下で反対したのがシャルだった。
「人が自由に考えるから面白いんじゃん!」
と。
考えを規制されている不自然な状態が、いいとはどうしても思えなかったのだ。
そして口論の末、自分が負の感情によって世界が汚れないよう、
それを回収する役をすることになった。
そして次第に白銀だった体は灰色へ変わり、考え方も変わっていってしまったのだ。


「そうだよ」
思い出した。
「ボクはヒトが好きで。自由な考え方が好きで、羨ましくて。
ヒトになりたいとすら思ったことがあったんじゃないか」
そしてその願いはアンジャスティスとなり、忘れてしまったころ
叶った夢だったのだ。
「そっかぁ…」
つまり、飛翔はシャルの願いだった、「人間のボク」だったのだ。
それを体験して、人々の中で生きて、たくさんのものをもらって。
「飛翔はウェスター=ヨタ=スカイだったんだ。だから元のアンジャスティスに
戻っても、飛翔としての意思と記憶のほうが強かったんだ」
なーんだ。
謎が解けて、口元が自然に緩む。
自由を愛したウェスター=ヨタ=スカイ。それが一番最初の自分なのだから、
自由だった世界にいたときのことが全ての原動力になっていてもおかしくない。
そして人間の自分が好きだから、普段は人間並みに力を落として、
人間だったときの名前を名乗っているのだ。
「だけど、ボクは力ある存在。守護することを義務付けられた存在。
だからいつも飛翔でいるわけにはいかないんだ」
守護することはもう、嫌ではない。
大好きな、人たちを、護る、ということだから。


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····· 実はコレ…

また 塔の地下を みんなで 旅 はじめた
今日の 相手は むきむき

トパーズ ナイフで 暴れてた
すごい さすが だね

でも 暗殺者 やめて 忍者に なるんだって
それで 分身 覚えるんだって
トパーズ ふたり ?
うれしい な
トパーズ たち ずっと アルカナと 戦ってた
それは その次の ごはんが 強かった から

ウェイユ きて
ウェイユ 強いから 挑みに いったの

勝てたよ
それに おいしかった

また 先に 進むんだって
今度は なにが いるのかな
フェイテルがじきにわかると言っていた出来事。
それはなんと、同行者の登場であった。

俺たちは、フェイテルの気まぐれな散歩に付き合っていた。
彼女はこの島の遺跡に調査に行ったカルニアの性格変更が起きたのに
興味を持っただけなので、適当に歩いているだけで満足だと言っていた。
だが、この島では、歩いている限り戦闘は避けられぬ。
いや、歩いていなくても避けられぬ。
遺跡に滞在すれば戦わねばならぬ、そういう仕組みのようだ。
そこで、ほぼ攻撃手段を持たぬフェイテルは、棒立ちをしたまま
俺たち邪心を召喚して戦うのであった。
棒立ちだから、相手の攻撃を避けることもほとんど無い。
仕方がないので俺が担いで逃げることにしている。
自分が倒れたら終わりだと、こいつに自覚はないみたいだからだ。
遺跡の外に出れば、カルニアが自分の才能を生かして、作成を受けていた。
奴が無料で受けているというのが大変胡散臭いのだが、今のところトラブルは無い。
ただコイツに料理をさせてはいかんのは確かだ。
そんな感じで今までやってきていたのだが、遺跡の奥に行くには、
待ち受けている者たちを倒さねばいけないらしい。
そんなこと、俺たちにはできない。
なぜならば、この遺跡は集団行動を勧められている(とカルニアが言っていた)。
しかしフェイテルは誰かと組む気は全く無いようだった。
そのため、同じところをトコトコと歩いている今日この頃だった。

そこに、同行者が加わったのだ。どういう状況の変化か。
「その人は、ひとりでも進めるのに、私に声をかけてくれたわ。感謝しないとね」
フェイテルはそう言って、にっこり、と微笑むのだった。
俺は冷や汗をかく。
こんな女を人様に会わせていいものだろうか。
昔、俺も「人様とお話しはさせられないね」と言われたことがあるが、それ以上に
問題があるような気がするのだ。

「わあ、以前作成を承った人ですね。今回も依頼をくださってー。フェイテル様に
お話しがあるとおっしゃっていたのは、そういうことでしたかー」
にこにことカルニアは言う。
なぜそんなに悠長にしていられるのだ。
こいつは…こいつは…
「国が滅びるのを幻視して、喜んじゃうような人だよ?」
シャルがけろりと続ける。まるで俺の心を読んだかのように。
「門外不出のほうがいいと思うんだけどなー」
「でもその人へ害があるわけではないでしょう?」
表情変わらずのフェイテル。そういうところも…嫌いだ。
「まぁまぁ、シャルもエリアスも。同行者さんにはフェイテル様が
なにもしないことをお伝えしておけばそれで大丈夫じゃないですか?」
「むぅ…」
俺はうなる。
シャルは…回転を始めた。
「るるるー♪ るるるるー♪」
ついていけない。
俺は頭を振ると、本来住んでいる世界の扉をくぐった。
「あ、思考停止ですかー? お馬鹿になっちゃいますよー」
後ろからカルニアの声が聞こえたが、無視する。

「ふう…」
俺は息をゆっくりとはき出した。
一人はやはり落ち着く。
「あ…これを持ってきてしまったか」
先日作ってもらった剣を腰から抜く。
冒険をはじめて間もないころ、手に入れたしっぽ。
それを元に作ってもらった、とても強い剣。
しっぽから武器ができるなど、この島の戒律は謎だ。
しかし俺にとってそこまで考えることでもないだろう。
重要なことは、いかに強力な武器を振るうことができるか、だ。
「…しばらくの間、おまえには世話になる…」
剣に語りかける。
おかしいですよ! とカルニアには言われたことがあるが、俺にとっては
剣に語りかけることは自然なことなのだ。
もしかすると、俺が剣に宿る亡霊だからなのかもしれないが。
しかしこの剣はいい。
持っていると、いつも以上に体が軽くなる気がするのだ。
まだ実戦では使っていないが。
そこで俺はその剣を手に、素振りを始める。
「やはりいい…」
ぽつりと感想をもらした。

「む」
ふと、俺は自分が呼ばれていることに気がついた。フェイテルにではなく、
自分の世界の人々に。
剣を鞘に収めるころには、姿がぼやけていた。
そう、俺はこの世界では精霊のようなもの。だから、世界の人々に行使されるときは
実体が無くなる。最初は驚いたが、今では日常茶飯事となっていた。

「トルネード!」
呼び出された場所では、二人の人間が狂った機械と対峙していた。
昔の戦のときに、作り出された大量の狂った機械。何千、何万と
時は過ぎているのだが、未だにその影響は残っているようなのだ。
そこでは、まだ少女と呼べる幼さの残る女性が風の魔法を唱えていた。
なかなかの強さだ。俺は感心する。
その傍らで必死に詠唱する男性。
彼の言葉に自分は引かれてきたのだと、霊体状態で俺は確認した。
そっと彼の組み合わされた手に俺は手を重ねる。
すると破壊の力が凝縮されていくのだ。
汗だくの彼が安堵の表情に変わるのがわかった。
(まだ技は発動していない。安心するのは早い。
むしろ力が高まっている今が一番危険だ。気を抜くな)
聞こえないだろうが、俺はそう声をかけた。
やはり聞こえないようで、彼には特別変化は見られなかったが、目標に向かい、
闇の魔法を解き放つ。
「ブレックネスボム!!」
目標の、狂った機械は崩れ落ちた。
役目が終わった俺は、そのままもとの位置に転送されていく…
ああ、この二人は『あいつら』の子孫だろうな、などと感傷に浸る間も
与えてはくれなかった。

俺の世界は破壊の世界とも呼ばれている。
一般的な人間に一番近いが、心の力を破壊の力に変えることができるのが、
思人(サラピア)族。
精霊のようにマナを原動力とし、マナをとてつもない破壊の力に変えることが
できるのが魔法(マジリア)族。
古代より作成されることにより子孫を増やし、物理的に破壊の力を振るうのが
機械(オウルア)族。
モンスターと契約し、彼らの力を借り、そして増幅させて戦うのが
獣使(ロステア)族。
戦うことが、存在意義の種族ばかりなのだ。
その原因は、世界の守護者たる破壊王シェイド――つまり俺らしいのだが、
未だにピンとこない。
世界の守護者によって、世界の人々は変わる。そう『あの方』に教わったのだが、
自分がそんなに重要な存在だという実感が湧かないのだ。
だから、例えばカルニアが守護をしている世界では、皆日常的に嘘をつき、
調和を図っているそうだ。想像しただけで頭が痛くなる話である。

さて、そのシェイドは人間に転生させられ、俺になった。
普通の家庭の息子として育った俺は、世界を崩壊させると噂されていた
シェイドを倒すべく、冒険者になる。
滑稽なものだ。
そして、冒険を続けていく中で、あるパーティと出会う。
シェイドを転生させた一族の二人組だった。
彼らは攻撃力不足に悩んでいたようだったので、手伝うことにした。
だが、シェイドを復活させようとしているやつらは、スパイを送り込んできた。
子供の姿の。
俺は直感で、その子供が疑わしいと思った。それもシェイドの力によるものだとは
後で知った話だが。
しかし、パーティの二人、いや、特にミクリーは、その子供を
すごく可愛がっていた。現段階ではなにも問題はないだろう。
そう思った俺も黙っていた。
しかし、いざ、その子供が正体を現し、攻撃を仕掛けてきてもミクリーは
その子供は操られているだけだ! と言い、かばい続けた。
俺はミクリーの身を案じ、その子供をたお…殺した。
そこでミクリーに言われる。
「破壊でしか解決できないなら、あなたもシェイドたちと変わらない!」
そうして、俺はパーティを抜けた。
だが、そんな俺を待っていたのは、ラフティというシェイドの部下だった。
そして、俺こそがシェイドの魂だと告げた。

俺は…
世界が平和になるためなら、死んでも構わないと思った。
そこでシェイドに戻り、あえて、倒された。だが。
世界は平和になりました、めでたしめでたし、では全く無かったのだ。
シェイドの姿で倒された存在は、剣に亡霊として宿る。
その姿は俺、エリアスだったのだ。それからずっとこのままの姿だ。
そして大戦(おおいくさ)に俺は亡霊のまま巻き込まれる。
世界の平和など、この世界には訪れぬ。
なぜならこの世界は「破壊の世界」なのだから、と『あの方』は言った。
「おまえにできることは、破壊の精霊としてこの世界を見守ること」
その言葉に従って、俺はまだ、生きている。

「エリアス、こちらへいらっしゃい。同行者さんに挨拶をするのよ」
フェイテルの声が聞こえた。
俺はなにも答えない。別に答えなくとも、勝手に呼び出されるのだから。
そっと目を閉じる。
そして俺はまた、偽と呼ばれる島へ降り立った。


····· 今日のランキング☆

「あれ。フェイテルサマがなんかご機嫌だよ?」
シャルが言い出した。
いつも笑顔の彼女のどこをどう見れば、そう見えるのか、俺にはわからない。
「え、そうですか? いつもとお変わりなく見えるのですが…」
俺の天敵が言う。
しかし、今回に限っては同意見だ。
「うーうん。あのね、今にも歌いだしそう」
シャルはそう言って首をかしげる。
言われたカルニアのほうこそ、首をかしげるほうだと思うのだが。
「歌う…ですか。フェイテル様が歌う? そんな機能、お付きでしたっけ?」
また同意見だ。
俺は黙って、義兄二人の会話を見ていることにする。
「ふっふっふーん。フェイテルサマってばね、最近、
こっそり歌う練習してるんだよ! ボク見ちゃった!」
「えええええっ!」
カルニアが大きな声をあげる。しー、とシャルは言って、カルニアの目線まで
腰を下ろすと、指を口の前で1本立てた。
「一体何故? 得になることなどないだろうに。フェイテルは余計なことをする
存在だとは思わないのだが」
俺は言った。
すると、ぷう、とシャルは頬を膨らませて言う。
「また呼び捨てにするー。ダメだよー。フェイテルサマは偉いんだから」
「知るか」
「うわぁぁぁん! エリーがオルドビスみたいに反抗的だよー! 
反抗的でいいのはオルドビスだけなんだぞぅ!」
オルドビス、か。
俺は時々家を借りる主のことを考える。邪心とは対極の存在なのに邪心に懐かれて
さぞ大変だろう。
しかもどんなに邪険にしても、そこがいいと言われてしまうのだから、
ストレスも溜まるだろう。気の毒である。
泣き叫んでいたシャルだが、誰も相手にしないのに気がついたか、
急にけろりとしてしゃべりだした。
「フェイテルサマはね、変わりつつあるよ。で、こっそり聞いちゃったんだけど、
鼻歌を歌ってた。なんだろうねー!」
「そうなんですかー」
天敵はまだ信じられないといった風に言う。
「嘘言ったってしょうがないじゃない。それに――」
シャルの言葉はそこでさえぎられた。フェイテルがやってきたのだ。
「それに、なにかしら? 続けて頂戴」
平然と言うフェイテル。シャルはオーバーアクションで
手をぶんぶん自分の顔の前で振りながら、
「いや、いやいやいや! なんでもないです!」
と否定した。
「私が歌っているの、聞いていたのね。まだ、歌にすらなっていないものなのに。
困った子ね」
笑顔で言う。だが、普通の人ならば、怒っていてもおかしくないところだ。
その辺りを俺が見抜けるようになると、あの人が言っていたのだが、
俺にはそれができるようになる自信が全くない。
「た、たまたま耳に入っちゃったんだよう!」
シャルが弁明する。すると、彼の頭の上あたりに、赤い、丸い物体が生まれた。
ウィシーと呼ばれるもの。簡単に言えば邪霊である。
赤い邪霊は嘘の邪霊。
嘘をつくと、勝手に生まれてくるものだ。
ちなみにカルニアはこれを食べることができる。嘘の邪心だからだ。
ついでに言うと、あの天敵が嘘をついた場合は邪霊は生まれない。正確に言うと
生まれているのだが、高速でカルニアが食べてしまうからわからないのだ。
「たまたまではないのね。本当に困った子」
フェイテルが笑顔を深くする。軽く閉じられているだけの瞳がぎゅっと閉じられ、
口元の笑みも深くなるのだ。
「はうはうー。ボク、フェイテルサマのストーカーじゃないよ! 
ただ、フェイテルサマが楽器を教えてって言った後、
踊りじゃ満足していないみたいだったから、どうするのかなーって思っただけ!」
「そう」
フェイテルの笑顔はそのままだ。
ここで俺は論点がずれまくっているのに気がつく。そこで口を出した。
「フェイテル。機嫌が良いというのは本当か?」
フェイテルがこちらを向いた。笑顔は、いつもの軽い笑顔に戻っている。
「機嫌が良い? ――ああ、そうね。嬉しいことがあったの」
「嬉しいこと、ですって!?」
カルニアが素っ頓狂な声をあげる。
「そんなに驚くことかしら?」
「はい。フェイテル様が感情的になるなんて、珍しいと思いまして」
そうすると、フェイテルの顔から笑顔が消えた。目を閉じたままだが、
やや、顔を下に傾けて、小さな声で言う。
「私には感情があるわよ。あの子とは違うの」
天敵は大慌てだ。
「すみません! あの事はタブーですものね、忘れてください!」
そうすると、フェイテルは、ふふっと声を出して笑った。
「カルニアはいつも感情的ね。そんなことでよく今まで偽りの邪心が
務まってきたと思うわ」
「そ、そんな~」
カルニアは頬を染めてもじもじしだした。
「褒めていないわよ?」
「え。そ、そんなぁー…」
フェイテルの指摘を受けると、今度は眉をしょんぼりさせて、涙目だ。
嘘か本当かどうかは別として、本当にカルニアは感情を表に出す態度を取る。
「エリアスも、ここまでいきなさいとは言わないけれど、少しは感情を出して
接してごらんなさい。あなたの反応が淡白で、私、少し寂しいわ」
急に俺に振られた。
「そんなことを言われても…。どう表現すればいいかわからぬのだから、
仕方がないだろう」
「こら、エリー!」
シャルがまた、けたたましい声をあげる。おそらく、言葉遣いの注意だろう。
だが、これが俺の口調なのだ。丁寧語など、知らん。

---------結果ではここまで------------

「いいのよ、シャル。私に気を使ってくれているのね。いい子」
フェイテルはそう言って俺のほうを見たまま、にこり、と微笑んだ。
「それで、また脱線しているのだが。嬉しいこととはなんなのだ?」
俺は問う。するとフェイテルは目を開けた。爛々と輝く青の瞳。
それがいたずらっぽく光っていた。
「ふふっ、じきにわかるわ」


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