定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。
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イベント敵の突破、PTのお誘いのお話しが来ました。
今期はここ回るだけかなーと諦めかけていたので
大げさでなく、涙腺緩みました。
器用しかなくてごめんね! 今回は体格上げよう…
今期はここ回るだけかなーと諦めかけていたので
大げさでなく、涙腺緩みました。
器用しかなくてごめんね! 今回は体格上げよう…
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プラストスの相手が終わったら、夕飯の時間になってる。
というか、夕飯の時間まで解放してもらえねぇ。
それから風呂に入って、さっさと寝る。
気が向けば、夜間訓練っていうのもあるが、今日は眠いからパス。
オレサマの夢が、繋がっているのが気になるんだ。
つまり、今度寝たら、なにを見るのかも予想がつく。
これって、オレサマ、寝てるまんまってことかね?
--------------
「ろ」
そう鳴く、目の前の生き物。
オレは、この小動物と一緒に行動していたことがあった。
それは、オレサマがガンマになる前の話。
そう、オレサマもベータたちと同じように、元になった人間の魂があったんだ。
そいつの名は、トパーズ=ラシダス、という。
トパーズは、ある世界の風の一族に生まれた。
だけど、持っているのは地の力だった。
そのために忌み子と言われ、一族には迫害されていた。
でも、家族はそんな彼を守ってくれていた。
だけど妹が生まれてしばらくしてから、父親は一族の厳しい仕事に駆り出され、
母親は心労で倒れた。
オレは母親の面倒を見ながら、近くの森で狩りをしながら生きた。
しかし、森にバケモノが出て、それがオレのせいということになるのには
時間がかからなかった。その結果、オレは処刑されることになる。
体がボロボロの母親と、まだ幼い妹が、声を枯らしてオレのことを呼んでいたのが
今ではありありと思い出せる。
それからどれくらい経ったかは知らねぇ。
けど、さほど時間は経っていないはずだ。
ある女が、オレを蘇らせた。
目的は、その女が完全に力を取り戻すために必要な、
オーブの力をオレに解放させること。
ヒトを憎んでいるはずだということで選ばれたらしい。
しかし、オレサマからすれば、利用するためにオレサマを蘇らせた
その女のほうが気に入らなかった。
なんとかそいつの邪魔をしてやろう。そう、思った。
しばらくその方法はわからなかった。
だけどしばらくして知る。
オーブの力を解放させる者は、9人必要なのだと。
ならそれを揃わなくさせればいい。
でもどうやって?
考え付いた恐ろしい考えは――その候補者を殺すこと。
けれどひとつ、心配なことがあった。
たとえ殺したとしても、オレのように蘇らされる可能性もある。
困っていると、オレに渡されたオーブが言った。
「我の力で復活の阻止をする」と。つまり、オレが手にかければオーブの呪いで
あの女の復活が無効になるということらしい。
それからオレの戦いが始まった。
ナイフを仕込み、候補者や、目的を隠すために無関係な者も手にかけた。
殺戮狂だと思わせれば成功だった。
そしてそれはうまくいく。
――だから、オレはヒトを殺すことにあまり抵抗が無かったのか。
今、そう思う。
それから50年ほど経ったころだろうか。
タウチ、という動物が生息しているところをたまたま通りがかった。
タウチは地属性の生き物なんだが、その中に風属性の力を持つヤツが1匹いた。
そしてそれが他のタウチの頭の角で攻撃されていた。
オレは気が付いたらその1匹を助けていた。
自分と姿が重なったからだと思う。甘いなぁ。
それが「ろ」と鳴く、後にロイと名付けられる生き物だった。
こいつはオレにすっかり懐き、オレの左肩の上に座っている。
戦闘の邪魔だ、と言えば離れるのだが、しばらくすると戻ってくる。
困ったものだった。
そして80年ほど経ってから、9人のオーブ解放者が揃わぬまま、
女の復活作戦が遂行された。
それは完全に予想外。
オレは焦って、まだ解放を行っていない顔見知り共に見境なく
襲い掛かるようになる。
だが、あちらも考えていたようで、オレの手では倒せないものたちが
候補者になっていた。
竜だったり、妖精だったり、呪歌使いだったり、な。
そして女は復活してしまい、人の世は本格的に荒れ始めた。
オレは、世界の平和とやらのためにがんばっていた、
脳内お花畑の連中と協力することになった。
あいつの目的をぶっつぶすだけの力をそいつらがいつの間にか備えていたからだ。
オレの目的もあちらにはバレ、そいつらと組むしか道が無かったとも言える。
そしてついに、あの女を倒した。
あの女は、生き物の負の感情を食って、力を発揮する存在だった。
そのため、人々に恐怖を与えるのが生きる手段だった。
生きるためならば、怪物を生み出し、人々を追い込む組織を作り上げたのは
仕方が無かったのかもしれない。
恨むべくは、そのような存在を造った者。
それが――フェイテルだったんだ。
--------------
「フェイテル様」
「フェイテルサマー」
邪心たちは奴に様付けをして呼ぶ。
それが気に入らない。シャルは半分おちょくっている気もするが。
だからオレはフェイテル、と呼び捨てにしていた。
それも昔の経験のせい。今になってわかった。
目を覚ましたオレは、ゆっくり夢の続きを考える。
戦いが終わり、トパーズは蘇らせた女を殺したことで仮初めの命を失った。
だがそれで終わりではなかったんだ。
たくさんの命を奪った罪は許されず、トパーズの魂は彷徨うことになる。
そして彷徨っている先で、偶然ヴァイザの部下生成の儀式に巻き込まれ、
オレサマになったようだ。
リアルに、トパーズの経験はオレサマの経験として「思い出した」。
これもきっとフェイテルには筒抜けなのだろう。
それが非常に、悔しい。
というか、夕飯の時間まで解放してもらえねぇ。
それから風呂に入って、さっさと寝る。
気が向けば、夜間訓練っていうのもあるが、今日は眠いからパス。
オレサマの夢が、繋がっているのが気になるんだ。
つまり、今度寝たら、なにを見るのかも予想がつく。
これって、オレサマ、寝てるまんまってことかね?
--------------
「ろ」
そう鳴く、目の前の生き物。
オレは、この小動物と一緒に行動していたことがあった。
それは、オレサマがガンマになる前の話。
そう、オレサマもベータたちと同じように、元になった人間の魂があったんだ。
そいつの名は、トパーズ=ラシダス、という。
トパーズは、ある世界の風の一族に生まれた。
だけど、持っているのは地の力だった。
そのために忌み子と言われ、一族には迫害されていた。
でも、家族はそんな彼を守ってくれていた。
だけど妹が生まれてしばらくしてから、父親は一族の厳しい仕事に駆り出され、
母親は心労で倒れた。
オレは母親の面倒を見ながら、近くの森で狩りをしながら生きた。
しかし、森にバケモノが出て、それがオレのせいということになるのには
時間がかからなかった。その結果、オレは処刑されることになる。
体がボロボロの母親と、まだ幼い妹が、声を枯らしてオレのことを呼んでいたのが
今ではありありと思い出せる。
それからどれくらい経ったかは知らねぇ。
けど、さほど時間は経っていないはずだ。
ある女が、オレを蘇らせた。
目的は、その女が完全に力を取り戻すために必要な、
オーブの力をオレに解放させること。
ヒトを憎んでいるはずだということで選ばれたらしい。
しかし、オレサマからすれば、利用するためにオレサマを蘇らせた
その女のほうが気に入らなかった。
なんとかそいつの邪魔をしてやろう。そう、思った。
しばらくその方法はわからなかった。
だけどしばらくして知る。
オーブの力を解放させる者は、9人必要なのだと。
ならそれを揃わなくさせればいい。
でもどうやって?
考え付いた恐ろしい考えは――その候補者を殺すこと。
けれどひとつ、心配なことがあった。
たとえ殺したとしても、オレのように蘇らされる可能性もある。
困っていると、オレに渡されたオーブが言った。
「我の力で復活の阻止をする」と。つまり、オレが手にかければオーブの呪いで
あの女の復活が無効になるということらしい。
それからオレの戦いが始まった。
ナイフを仕込み、候補者や、目的を隠すために無関係な者も手にかけた。
殺戮狂だと思わせれば成功だった。
そしてそれはうまくいく。
――だから、オレはヒトを殺すことにあまり抵抗が無かったのか。
今、そう思う。
それから50年ほど経ったころだろうか。
タウチ、という動物が生息しているところをたまたま通りがかった。
タウチは地属性の生き物なんだが、その中に風属性の力を持つヤツが1匹いた。
そしてそれが他のタウチの頭の角で攻撃されていた。
オレは気が付いたらその1匹を助けていた。
自分と姿が重なったからだと思う。甘いなぁ。
それが「ろ」と鳴く、後にロイと名付けられる生き物だった。
こいつはオレにすっかり懐き、オレの左肩の上に座っている。
戦闘の邪魔だ、と言えば離れるのだが、しばらくすると戻ってくる。
困ったものだった。
そして80年ほど経ってから、9人のオーブ解放者が揃わぬまま、
女の復活作戦が遂行された。
それは完全に予想外。
オレは焦って、まだ解放を行っていない顔見知り共に見境なく
襲い掛かるようになる。
だが、あちらも考えていたようで、オレの手では倒せないものたちが
候補者になっていた。
竜だったり、妖精だったり、呪歌使いだったり、な。
そして女は復活してしまい、人の世は本格的に荒れ始めた。
オレは、世界の平和とやらのためにがんばっていた、
脳内お花畑の連中と協力することになった。
あいつの目的をぶっつぶすだけの力をそいつらがいつの間にか備えていたからだ。
オレの目的もあちらにはバレ、そいつらと組むしか道が無かったとも言える。
そしてついに、あの女を倒した。
あの女は、生き物の負の感情を食って、力を発揮する存在だった。
そのため、人々に恐怖を与えるのが生きる手段だった。
生きるためならば、怪物を生み出し、人々を追い込む組織を作り上げたのは
仕方が無かったのかもしれない。
恨むべくは、そのような存在を造った者。
それが――フェイテルだったんだ。
--------------
「フェイテル様」
「フェイテルサマー」
邪心たちは奴に様付けをして呼ぶ。
それが気に入らない。シャルは半分おちょくっている気もするが。
だからオレはフェイテル、と呼び捨てにしていた。
それも昔の経験のせい。今になってわかった。
目を覚ましたオレは、ゆっくり夢の続きを考える。
戦いが終わり、トパーズは蘇らせた女を殺したことで仮初めの命を失った。
だがそれで終わりではなかったんだ。
たくさんの命を奪った罪は許されず、トパーズの魂は彷徨うことになる。
そして彷徨っている先で、偶然ヴァイザの部下生成の儀式に巻き込まれ、
オレサマになったようだ。
リアルに、トパーズの経験はオレサマの経験として「思い出した」。
これもきっとフェイテルには筒抜けなのだろう。
それが非常に、悔しい。
朝飯を食って、軽く運動がてら、街に出る。
そこの闘技場で金を稼ぐのがオレの日課だ。
はっきり言って、そこらへんのモンスターじゃ相手にならねぇ。
そんなわけで、主催者涙目だな、と思っていたがそうでもないらしい。
なんでも、オレサマが暴れているのを見に来る客が多いんだと。
変わり者だなァ。
昼に帰って、遅い昼飯を食う。
それから、またベッドにもぐりこんで、昼寝の時間だ。
-------------
亡国の王女サマご一行に倒されて、きっとオレサマ、無様な姿で消えたんだ。
そのはずなのに意識が続いているとはどういうことだ?
目を開けると、デジャヴを感じた。
視界に入るのは、ヴァイザと冷たい色の天井。
ただ、ヴァイザは以前のような冷たい笑みではなくて、
なにか吹きだしそうな笑いを浮かべていた。
「……ンだよ」
一瞬で意識と記憶が集約して、ソイツに悪態をつく。
いえいえ、とヴァイザは手をひらひらさせてオレを覗き込むのをやめた。
すぐにオレは上体を起こし、状況を確認する。
ベータがいた。
ストレッチ運動なんかしていやがる。
オメガもいた。
弓を磨いていやがる。
デルタは…
オレの隣のベッドで寝息をたてていた。
なんだこれ。
「おい。これはどういうことだよ」
オレは思ったままを不満の声色で言ってみた。
「不思議なものですね…」
ヴァイザがつぶやく。
「私がやったのは、簡単なこと。一度滅びた部下をまた1から作り直したのですよ。
なのに、同じ魂を宿すとは…」
そう言って、目を閉じやがった。
人間くせぇ…
そこが思いっきり不満だったが、コイツ、元は人間だったんだもんな。
王女サマとどうなったとか、今のオマエはなんなんだとか突っ込みどころは
満載だったが、その反面、どうでもいいや、そんなのオレサマには関係ねぇ、
という気持ちもあった。
だから黙っておく。
寝かされていたベッドと呼ぶにもお粗末な石の台から飛び降りると、
オレはストレッチをしているベータの背後に回りこんだ。
そして、黙って薙刀を召喚すると、そこに突き立てようとした。
するとベータはくるりと上半身をねじって、左腕でそれを受け止めた。
「随分な挨拶だな」
「よお。オレサマらしいだろ?」
ひゃはは。そう笑う。
…ん?
またなにかデジャヴを感じた。しかもこれは、やった相手が
ベータじゃないような気がしてならない。
この笑い方。誰だ。
まあ…いいか。
デルタが目覚めてから、ヴァイザは説明を始めた。
自分が王女サマ一行に負けたこと。王女サマの術で思い出した、
もともと自分は人間だったのだと。その意識が強くなったことで、
邪心というものになったということ。
(これは後に間違いだということがわかるんだが)
邪心になり、世界を見守る立場に立たされたこと。
「で? オレサマたちを復活させた理由にはこれっぽっちもなっていないんだが」
「一人は寂しいではないですか」
「は?」
かつてのヴァイザからは全く予想できない、感情丸出しの答えに、
オレは変な声をあげることしかできなかった。
「それに、やはり自分で動くより、あなた方に命を下しているほうが
性にあっているのですよ。
今、私たちは自分たちの世界ではない世界に飛ばされてきています。
原因はわかりません。
しかし安心なさい。疲れますが、あなた方にも時空を飛ぶことができる能力を
付与しておきました。
ついでに、もう不要な魔法が弱点というものも消してあります。
もう、好き勝手に生きていいんですよ」
「へーぇ」
勝手に自己満足に浸っているようにしか見えないヴァイザに、
オレの心はグッと冷たくなった。
「じゃあ、まずはお前を消し去ってやるよ!」
「なんでそうなりますかねぇ…?」
ヴァイザはにこりと微笑んだ。
すでに飛び掛っていたオレは、その笑みに冷や汗をかく。
やべぇ。
気がつくとオレは、見慣れぬ森の中に落ちていた。
「なんだ…? 転移魔法でぶっとばされたか?」
辺りを見回す。するとなにかの気配を感じた。
「そこのヤツ、出て来い!」
気配に対し、怒鳴りつける。すると草むらががさがさと動いて、
小動物がちまりと顔を出した。
茶色で、2足歩行をしている。頭には小さな角。それがギュルル、と動いた。
そしてぽつり、とそいつはつぶやいた。
「ろ」
その瞬間、オレは、全てを思い出した。
-------------
「がんまー、がんまー」
ぽわん、ぽわん。
オレの腹の上でなにかが跳ねている。
いや、なにが跳ねているのかはわかっているんだが。
プラストス。
この合同宿舎の主、オルドビスの実の妹だ。
ファランディになる可能性を持ち、その結界の力は、ヴァイザ…つーか
カルニアの脅威になるため、ファランディにならないように
オレが徹底的に甘やかし、子供のままにしている存在だ。
そのおかげでオレサマも徹底的に懐かれている。
「がんまー、がんまー」
ぽわん、ぽわん。
「寝ているヤツの上で跳ねるな!」
オレが言うと、プラストスのジャンプは止まった。
しかし嬉しそうにひょこひょことオレの顔のほうに寄ってきて、
「がんま、起きたー! ねえ、遊んでー」
と、来たもんだ。
「しょうがねぇなぁ…」
これは演技。演技なんだと自分に言い聞かせながら、甘やかしにかかる。
「なにをしたいんだ?」
こういうときのオレサマは、すっげぇ優しい顔をしていると
以前、ベータに言われた。
冗談じゃねぇ。
そこの闘技場で金を稼ぐのがオレの日課だ。
はっきり言って、そこらへんのモンスターじゃ相手にならねぇ。
そんなわけで、主催者涙目だな、と思っていたがそうでもないらしい。
なんでも、オレサマが暴れているのを見に来る客が多いんだと。
変わり者だなァ。
昼に帰って、遅い昼飯を食う。
それから、またベッドにもぐりこんで、昼寝の時間だ。
-------------
亡国の王女サマご一行に倒されて、きっとオレサマ、無様な姿で消えたんだ。
そのはずなのに意識が続いているとはどういうことだ?
目を開けると、デジャヴを感じた。
視界に入るのは、ヴァイザと冷たい色の天井。
ただ、ヴァイザは以前のような冷たい笑みではなくて、
なにか吹きだしそうな笑いを浮かべていた。
「……ンだよ」
一瞬で意識と記憶が集約して、ソイツに悪態をつく。
いえいえ、とヴァイザは手をひらひらさせてオレを覗き込むのをやめた。
すぐにオレは上体を起こし、状況を確認する。
ベータがいた。
ストレッチ運動なんかしていやがる。
オメガもいた。
弓を磨いていやがる。
デルタは…
オレの隣のベッドで寝息をたてていた。
なんだこれ。
「おい。これはどういうことだよ」
オレは思ったままを不満の声色で言ってみた。
「不思議なものですね…」
ヴァイザがつぶやく。
「私がやったのは、簡単なこと。一度滅びた部下をまた1から作り直したのですよ。
なのに、同じ魂を宿すとは…」
そう言って、目を閉じやがった。
人間くせぇ…
そこが思いっきり不満だったが、コイツ、元は人間だったんだもんな。
王女サマとどうなったとか、今のオマエはなんなんだとか突っ込みどころは
満載だったが、その反面、どうでもいいや、そんなのオレサマには関係ねぇ、
という気持ちもあった。
だから黙っておく。
寝かされていたベッドと呼ぶにもお粗末な石の台から飛び降りると、
オレはストレッチをしているベータの背後に回りこんだ。
そして、黙って薙刀を召喚すると、そこに突き立てようとした。
するとベータはくるりと上半身をねじって、左腕でそれを受け止めた。
「随分な挨拶だな」
「よお。オレサマらしいだろ?」
ひゃはは。そう笑う。
…ん?
またなにかデジャヴを感じた。しかもこれは、やった相手が
ベータじゃないような気がしてならない。
この笑い方。誰だ。
まあ…いいか。
デルタが目覚めてから、ヴァイザは説明を始めた。
自分が王女サマ一行に負けたこと。王女サマの術で思い出した、
もともと自分は人間だったのだと。その意識が強くなったことで、
邪心というものになったということ。
(これは後に間違いだということがわかるんだが)
邪心になり、世界を見守る立場に立たされたこと。
「で? オレサマたちを復活させた理由にはこれっぽっちもなっていないんだが」
「一人は寂しいではないですか」
「は?」
かつてのヴァイザからは全く予想できない、感情丸出しの答えに、
オレは変な声をあげることしかできなかった。
「それに、やはり自分で動くより、あなた方に命を下しているほうが
性にあっているのですよ。
今、私たちは自分たちの世界ではない世界に飛ばされてきています。
原因はわかりません。
しかし安心なさい。疲れますが、あなた方にも時空を飛ぶことができる能力を
付与しておきました。
ついでに、もう不要な魔法が弱点というものも消してあります。
もう、好き勝手に生きていいんですよ」
「へーぇ」
勝手に自己満足に浸っているようにしか見えないヴァイザに、
オレの心はグッと冷たくなった。
「じゃあ、まずはお前を消し去ってやるよ!」
「なんでそうなりますかねぇ…?」
ヴァイザはにこりと微笑んだ。
すでに飛び掛っていたオレは、その笑みに冷や汗をかく。
やべぇ。
気がつくとオレは、見慣れぬ森の中に落ちていた。
「なんだ…? 転移魔法でぶっとばされたか?」
辺りを見回す。するとなにかの気配を感じた。
「そこのヤツ、出て来い!」
気配に対し、怒鳴りつける。すると草むらががさがさと動いて、
小動物がちまりと顔を出した。
茶色で、2足歩行をしている。頭には小さな角。それがギュルル、と動いた。
そしてぽつり、とそいつはつぶやいた。
「ろ」
その瞬間、オレは、全てを思い出した。
-------------
「がんまー、がんまー」
ぽわん、ぽわん。
オレの腹の上でなにかが跳ねている。
いや、なにが跳ねているのかはわかっているんだが。
プラストス。
この合同宿舎の主、オルドビスの実の妹だ。
ファランディになる可能性を持ち、その結界の力は、ヴァイザ…つーか
カルニアの脅威になるため、ファランディにならないように
オレが徹底的に甘やかし、子供のままにしている存在だ。
そのおかげでオレサマも徹底的に懐かれている。
「がんまー、がんまー」
ぽわん、ぽわん。
「寝ているヤツの上で跳ねるな!」
オレが言うと、プラストスのジャンプは止まった。
しかし嬉しそうにひょこひょことオレの顔のほうに寄ってきて、
「がんま、起きたー! ねえ、遊んでー」
と、来たもんだ。
「しょうがねぇなぁ…」
これは演技。演技なんだと自分に言い聞かせながら、甘やかしにかかる。
「なにをしたいんだ?」
こういうときのオレサマは、すっげぇ優しい顔をしていると
以前、ベータに言われた。
冗談じゃねぇ。
それは、暗い嵐の夜だった。
長い長い夢を見ていたような気がする。
しかしその夢の内容は全く覚えていない。
意識がふつりと生まれ、ゆっくりと大きくなってくる。
「……オレは、なんだ?」
目が覚めて、初めて口にした言葉はこれだった。
どうしてそのようなことを口にしたのかもわからない。
でも確かに、自分はなんなのかわからなかった。
「おはようございます」
冷たい声がした。
声のほうを向く。体は自然と身構えていた。
そこには赤い髪の男がいて、笑っているようだった。
「貴方は私に作り出された存在ですよ。名前はそうですねぇ…
3番目に作られたから、ガンマ、としましょうか」
ツクラレシモノ?
自分は普通の存在ではなく、作られたものなのか。
…普通の存在って、なんだ?
…なぜそんな考えに至った?
これだけではない、さまざまな違和感が、頭の中でぐるりぐるりと回る。
「それで…」
オレは混乱する頭を押さえて、尋ねる。
「お前はなんだ? どうしてオレサマを作った?」
クスリ、と笑いの息が聞こえたような気がした。
「私の名はヴァイザ。この世界の人間に罰を与えるもの。
あなたは、人間と接触するためのツール(道具)です」
赤い髪の男はそう言う。
赤と黒の服に金のラインが入った動きづらそうな服が気になった。
ふと自分を見ると、小さな胸当てはしていたが、
自分を作り出したという男のような重苦しい服ではなかった。
それに安堵する。
安堵。なぜ?
その答えを探してみるも、頭の中はほとんど真っ白で、
なにも見つかりそうに無かった。
「――で? 具体的にオレサマに、なにをしろと?」
クスクス、とまた笑い声が聞こえた。
「そうですね。まずは、」
地図らしきものを取り出し、そこに指を当てる。
「ここを滅ぼしてきなさい」
言われたときに、反抗心がむくりと起きた。
やなこった、と言いたくなったのだ。
だけど、それを実行には移さなかった。なぜだろう。
自分は作られた存在。その作り出した存在に、
逆らえないようにされているのかもなと、薙刀を手にひた走りながらオレは考える。
そう、薙刀。
それがオレの武器だ。
それと隕石を呼ぶ魔法も頭の中に入っていた。
ヴァイザ、が言うには、戦いに体がなじんでくれば、鉱石を使い、
創造する力も手に入るという。
イマイチ、実感がわかないのだが。
そして薙刀。言われたときは違和感を感じたものの、手にしてみれば、
軽々と扱うことができた。
なんなのだろう。
真っ白のはずのオレの頭の中。
ヴァイザが入れた情報しか、入っていないはずの頭の中。
それなのに、それ以外の何かがあるような気がして、ざわざわと落ち着かずにいる。
ヴァイザに指示されたのは、小さな訓練所だった。
現在人間は、ヴァイザに対抗すべく、各地で人材を育てているのだという。
魔法には気をつけろ、と言われた。
それがオレの弱点なのだと。
そんなモン、つけるな。と言ったのだが、
自分の弱点なのだから仕方がないでしょうと言われ、黙るしかなかった。
軽く建物の上に飛び乗り、下を見下ろす。
人々が剣を振るい、槍を振り回し、弓で的を射る。
魔法使いはいないようだった。
「さてと。お仕事始めましょうかね」
なぜか、人を殺めるということは仕事なのだと、
自分のなかにすっきりと収まっていた。
あっさりと終わってしまった。
たくさんの横たわる人々。
ああ、ますます自分は赤く染まっていく――
そんな感傷が心を埋め尽くす。
そのあとも言われるまま、たくさんの人々を殺めていった。
そう、辺境の地の、王女サマに出会うまでは。
ヴァイザがひとつ、国を滅ぼした。
正確には、ヴァイザの影武者であるオメガが、なんだが。
その頃から、オレ達、ヴァイザの側近は、オメガをヴァイザとして扱うようにと
命令されていた。
ちなみにヴァイザの側近は、オレと、そのオメガと、ベータとデルタと言った。
別に他の側近には興味は無い。けれど、隙あらば攻撃して、相手の力量を見るのが
オレは好きらしかった。
興味が無いということと、相手に攻撃をすること。
思いっきり矛盾しているのに、それがオレの中では当たり前のことだった。
話を戻す。
オメガが滅ぼした国。辺境にあるとはいえ、魔法国家。
よくそんなところを滅ぼせたなと感心して言えば、王女に乗り移り王をはじめとした
国の者たちにヴァイザの血を盛ったと言う。
それを聞いてオレは吐いた。汚い話だが、戻した。
ヴァイザの血。
それは、ヴァイザの一部として、自律的に活動するもの。それを使えば操り人形を
作ることも動作もない。
ヴァイザが使っている様子を見たことは無いが、その力を与えられたデルタが散々
えげつないことをしているのをオレは見ていた。
そんなわけで、えげつない方法で国が1つ滅びたのだが、利用された王女と、
生き残った一人の従者がヴァイザから城を取り戻そうとしていると聞いた。
そのあまりの無謀さにオレは笑うしかなかった。
そして、生き残りの殲滅役を求められたとき、オレは真っ先に手を上げた。
本当に小さな存在に見えた。
魔法の力は感じるが、自分なら耐える、避ける、そんな自信が持てるほど
小さな存在だった。
薙刀を振り回し、接近すれば、魔法の詠唱も止めて、王女をかばって
従者が前に出る。
その従者を軽くいなして、王女へと薙刀を突き立てる。
それで終わったはずだった。
だが、その一瞬手前で、オレの背中に巨大な魔法力がぶち当たった。
後で知ったことだが、それは魔法の力を込めたアイテムだったらしい。
人間たちも、オレ達の弱点を魔法と知って、研究を重ねているのだった。
任務に失敗したのは、これが初めてだった。
めんどくせぇ。
次に王女達と出会ったのは、ヴァイザ研究所と呼ばれるところだった。
名前の通り、ヴァイザを研究しているところだ。
研究員を刺し殺し、飛び出してきた王女達のほうを振り向いたとき、
光がオレの視野を奪った。
そして、謎の武器が現れ、そこに王女達が生命力と魔法力を込めると、
強大な光となってオレの身を焦がした。
転移魔法が使えなかったら、死んでいたと思う。
いよいよ、人間どものほうでオレら対策が進んでいるぞとオメガに言ったとき、
普段は無表情の奴が、冷たい笑みを浮かべたことだけが
しっかりと脳裏に焼きついている。
それからオレとベータはできる限りの破壊を尽くした。
最初、複雑な感情――あえて言うなら悲しい、か。と思っていた殺戮も
なにも思わなくなっていた。
オメガはヴァイザの影武者として最後の段階に入っていると言うし、
デルタは勝手に行動していて、なにを考えているのかよくわからなくなっていた。
体を血に染めて、本拠地に帰ってきたとき、偶然ベータとオレは顔を合わせた。
そしてその口から、どうしてオレが作られたのか、本当の理由を聞かされた。
「自分達は、ヴァイザの完全復活のために作り出された」
からくりはこうだ。
オレ達についている、魔法が弱点という特性は、ヴァイザが復活するために
必要なものだったのだ。
ヴァイザの復活に必要なものは、強大な、大量の魔法力。
ヴァイザの部下であるオレ達が魔法を弱点としているのならば、
魔法を強くする研究を人間達は上げてくるだろう。そしてそれをヴァイザに当てて
復活させようというものだった。
つまり、オレ達のしてきたことは、ヴァイザ復活のための駒。
気に入らなかった。
しかしそれを知りながら、ヴァイザへ仕えてきたベータのことは
もっと気に入らなかった。
「こっちは、魔法に何度も殺されかかってる!
それが奴の復活のために必要だったから?
それは奴に生み出されたから文句は言えねえ。
けどよ、何故それを知りながらお前はあんな奴に仕えてきた?!
いいことなんか1個もありゃしねぇよ!」
頭が熱くなっていた。後で考えてみれば、一番倒しやすい状態で
オレはベータに飛び掛っていったのだと思う。
だがベータは反撃ばかりか、回避すらしなかった。
「自分達は、昔からあの方にお仕えしているのです。
そう、あの方がヴァイザとなるより昔から」
昔から? 仕えている期間なんか関係ねぇ! そう言おうと思ったオレが
それをやめたのは、興味深い言葉が続いてきたからだった。
「ヴァイザとなる、前?」
そこでオレは知る。ベータとオメガの強い意志と覚悟を。
彼らはただ、ヴァイザに作られたものではなかった。
それからしばらくしてベータは王女達の前に行き、散った。
オレは考えた。
ヴァイザは気に入らないが、ベータのためになにかしてやれることは無いのか、と。
なにも無い自分。それができるのは、共に戦ってきた奴の意思を継ぐことぐらいしか
ないじゃないか。
そう思ってオレは。あれほど忌み嫌っていた、ヴァイザに
言われるがままに奴の血を飲んで意識が消えそうになりながらも、王女達と戦った。
それでも、結局奴らには、勝てなかった。
そこでオレの記憶は、一度途切れている。
-----------
「ガンマー! 朝ごはんですよー」
「オメーの言うことなんか聞きたくねぇ!」
反射的にそう言って、オレは我に返る。
ああ、また昔の夢か。
ヴァイザ、つまり今のカルニアがへそを曲げる前に、食事にありつこうとオレは
感傷を振り切って、1階ダイニングへ向かったのだった。
長い長い夢を見ていたような気がする。
しかしその夢の内容は全く覚えていない。
意識がふつりと生まれ、ゆっくりと大きくなってくる。
「……オレは、なんだ?」
目が覚めて、初めて口にした言葉はこれだった。
どうしてそのようなことを口にしたのかもわからない。
でも確かに、自分はなんなのかわからなかった。
「おはようございます」
冷たい声がした。
声のほうを向く。体は自然と身構えていた。
そこには赤い髪の男がいて、笑っているようだった。
「貴方は私に作り出された存在ですよ。名前はそうですねぇ…
3番目に作られたから、ガンマ、としましょうか」
ツクラレシモノ?
自分は普通の存在ではなく、作られたものなのか。
…普通の存在って、なんだ?
…なぜそんな考えに至った?
これだけではない、さまざまな違和感が、頭の中でぐるりぐるりと回る。
「それで…」
オレは混乱する頭を押さえて、尋ねる。
「お前はなんだ? どうしてオレサマを作った?」
クスリ、と笑いの息が聞こえたような気がした。
「私の名はヴァイザ。この世界の人間に罰を与えるもの。
あなたは、人間と接触するためのツール(道具)です」
赤い髪の男はそう言う。
赤と黒の服に金のラインが入った動きづらそうな服が気になった。
ふと自分を見ると、小さな胸当てはしていたが、
自分を作り出したという男のような重苦しい服ではなかった。
それに安堵する。
安堵。なぜ?
その答えを探してみるも、頭の中はほとんど真っ白で、
なにも見つかりそうに無かった。
「――で? 具体的にオレサマに、なにをしろと?」
クスクス、とまた笑い声が聞こえた。
「そうですね。まずは、」
地図らしきものを取り出し、そこに指を当てる。
「ここを滅ぼしてきなさい」
言われたときに、反抗心がむくりと起きた。
やなこった、と言いたくなったのだ。
だけど、それを実行には移さなかった。なぜだろう。
自分は作られた存在。その作り出した存在に、
逆らえないようにされているのかもなと、薙刀を手にひた走りながらオレは考える。
そう、薙刀。
それがオレの武器だ。
それと隕石を呼ぶ魔法も頭の中に入っていた。
ヴァイザ、が言うには、戦いに体がなじんでくれば、鉱石を使い、
創造する力も手に入るという。
イマイチ、実感がわかないのだが。
そして薙刀。言われたときは違和感を感じたものの、手にしてみれば、
軽々と扱うことができた。
なんなのだろう。
真っ白のはずのオレの頭の中。
ヴァイザが入れた情報しか、入っていないはずの頭の中。
それなのに、それ以外の何かがあるような気がして、ざわざわと落ち着かずにいる。
ヴァイザに指示されたのは、小さな訓練所だった。
現在人間は、ヴァイザに対抗すべく、各地で人材を育てているのだという。
魔法には気をつけろ、と言われた。
それがオレの弱点なのだと。
そんなモン、つけるな。と言ったのだが、
自分の弱点なのだから仕方がないでしょうと言われ、黙るしかなかった。
軽く建物の上に飛び乗り、下を見下ろす。
人々が剣を振るい、槍を振り回し、弓で的を射る。
魔法使いはいないようだった。
「さてと。お仕事始めましょうかね」
なぜか、人を殺めるということは仕事なのだと、
自分のなかにすっきりと収まっていた。
あっさりと終わってしまった。
たくさんの横たわる人々。
ああ、ますます自分は赤く染まっていく――
そんな感傷が心を埋め尽くす。
そのあとも言われるまま、たくさんの人々を殺めていった。
そう、辺境の地の、王女サマに出会うまでは。
ヴァイザがひとつ、国を滅ぼした。
正確には、ヴァイザの影武者であるオメガが、なんだが。
その頃から、オレ達、ヴァイザの側近は、オメガをヴァイザとして扱うようにと
命令されていた。
ちなみにヴァイザの側近は、オレと、そのオメガと、ベータとデルタと言った。
別に他の側近には興味は無い。けれど、隙あらば攻撃して、相手の力量を見るのが
オレは好きらしかった。
興味が無いということと、相手に攻撃をすること。
思いっきり矛盾しているのに、それがオレの中では当たり前のことだった。
話を戻す。
オメガが滅ぼした国。辺境にあるとはいえ、魔法国家。
よくそんなところを滅ぼせたなと感心して言えば、王女に乗り移り王をはじめとした
国の者たちにヴァイザの血を盛ったと言う。
それを聞いてオレは吐いた。汚い話だが、戻した。
ヴァイザの血。
それは、ヴァイザの一部として、自律的に活動するもの。それを使えば操り人形を
作ることも動作もない。
ヴァイザが使っている様子を見たことは無いが、その力を与えられたデルタが散々
えげつないことをしているのをオレは見ていた。
そんなわけで、えげつない方法で国が1つ滅びたのだが、利用された王女と、
生き残った一人の従者がヴァイザから城を取り戻そうとしていると聞いた。
そのあまりの無謀さにオレは笑うしかなかった。
そして、生き残りの殲滅役を求められたとき、オレは真っ先に手を上げた。
本当に小さな存在に見えた。
魔法の力は感じるが、自分なら耐える、避ける、そんな自信が持てるほど
小さな存在だった。
薙刀を振り回し、接近すれば、魔法の詠唱も止めて、王女をかばって
従者が前に出る。
その従者を軽くいなして、王女へと薙刀を突き立てる。
それで終わったはずだった。
だが、その一瞬手前で、オレの背中に巨大な魔法力がぶち当たった。
後で知ったことだが、それは魔法の力を込めたアイテムだったらしい。
人間たちも、オレ達の弱点を魔法と知って、研究を重ねているのだった。
任務に失敗したのは、これが初めてだった。
めんどくせぇ。
次に王女達と出会ったのは、ヴァイザ研究所と呼ばれるところだった。
名前の通り、ヴァイザを研究しているところだ。
研究員を刺し殺し、飛び出してきた王女達のほうを振り向いたとき、
光がオレの視野を奪った。
そして、謎の武器が現れ、そこに王女達が生命力と魔法力を込めると、
強大な光となってオレの身を焦がした。
転移魔法が使えなかったら、死んでいたと思う。
いよいよ、人間どものほうでオレら対策が進んでいるぞとオメガに言ったとき、
普段は無表情の奴が、冷たい笑みを浮かべたことだけが
しっかりと脳裏に焼きついている。
それからオレとベータはできる限りの破壊を尽くした。
最初、複雑な感情――あえて言うなら悲しい、か。と思っていた殺戮も
なにも思わなくなっていた。
オメガはヴァイザの影武者として最後の段階に入っていると言うし、
デルタは勝手に行動していて、なにを考えているのかよくわからなくなっていた。
体を血に染めて、本拠地に帰ってきたとき、偶然ベータとオレは顔を合わせた。
そしてその口から、どうしてオレが作られたのか、本当の理由を聞かされた。
「自分達は、ヴァイザの完全復活のために作り出された」
からくりはこうだ。
オレ達についている、魔法が弱点という特性は、ヴァイザが復活するために
必要なものだったのだ。
ヴァイザの復活に必要なものは、強大な、大量の魔法力。
ヴァイザの部下であるオレ達が魔法を弱点としているのならば、
魔法を強くする研究を人間達は上げてくるだろう。そしてそれをヴァイザに当てて
復活させようというものだった。
つまり、オレ達のしてきたことは、ヴァイザ復活のための駒。
気に入らなかった。
しかしそれを知りながら、ヴァイザへ仕えてきたベータのことは
もっと気に入らなかった。
「こっちは、魔法に何度も殺されかかってる!
それが奴の復活のために必要だったから?
それは奴に生み出されたから文句は言えねえ。
けどよ、何故それを知りながらお前はあんな奴に仕えてきた?!
いいことなんか1個もありゃしねぇよ!」
頭が熱くなっていた。後で考えてみれば、一番倒しやすい状態で
オレはベータに飛び掛っていったのだと思う。
だがベータは反撃ばかりか、回避すらしなかった。
「自分達は、昔からあの方にお仕えしているのです。
そう、あの方がヴァイザとなるより昔から」
昔から? 仕えている期間なんか関係ねぇ! そう言おうと思ったオレが
それをやめたのは、興味深い言葉が続いてきたからだった。
「ヴァイザとなる、前?」
そこでオレは知る。ベータとオメガの強い意志と覚悟を。
彼らはただ、ヴァイザに作られたものではなかった。
それからしばらくしてベータは王女達の前に行き、散った。
オレは考えた。
ヴァイザは気に入らないが、ベータのためになにかしてやれることは無いのか、と。
なにも無い自分。それができるのは、共に戦ってきた奴の意思を継ぐことぐらいしか
ないじゃないか。
そう思ってオレは。あれほど忌み嫌っていた、ヴァイザに
言われるがままに奴の血を飲んで意識が消えそうになりながらも、王女達と戦った。
それでも、結局奴らには、勝てなかった。
そこでオレの記憶は、一度途切れている。
-----------
「ガンマー! 朝ごはんですよー」
「オメーの言うことなんか聞きたくねぇ!」
反射的にそう言って、オレは我に返る。
ああ、また昔の夢か。
ヴァイザ、つまり今のカルニアがへそを曲げる前に、食事にありつこうとオレは
感傷を振り切って、1階ダイニングへ向かったのだった。
蛸。
タコ。
タコが、フェイテルの前に立ちはだかった。
見上げるほどのそのタコに、可愛らしい顔立ちねと、
フェイテルは感想を抱いていた。
「みんなよろしくね」
その言葉と共に、邪心が召喚される。
シャル、カルニア、エリアス、フォーゼ。
彼らも敵対する相手を見て、呆然とした。
「大きいなー」
「今にはじまったことじゃないですけど」
「立ちはだかるなら、斬る」
「これはとてもおいしそうだ!」
4者4様。
勝手なことを言いつつ、それぞれ準備をはじめる。
臨戦態勢、などという立派なものは、彼らには無かった。
「ボクの華麗な踊りを見るがいい!」
最初に動いたのは、シャルだ。
普段、皆の前で披露している、カリスマ全壊のほにゃらら笑顔は無く、
真剣な顔で踊りつづける。
銀の長い髪が厳しい太陽の光を浴びて煌めく。
その様子を見て、フェイテルは、にっこりと笑った。
そこにタコの触手がビュンと音を立てて向かっていった。
「!」
エリアスがフェイテルの前に躍り出ると、触手を切り払いにかかった。
しかし、全てを防ぐことはできず、フェイテルに1発当たってしまう。
「ちっ…!」
エリアスは悔しげに言うが、フェイテルは一言も発しない。
そのフェイテルの横にフォーゼが歩み出て、にこりと笑って小さく呟いた。
「……、さあ、どれがフェイテル様かわかるかな?」
すると、フェイテルの周りに鏡が出現し、光を放った。
その次の瞬間にはフェイテルの姿が3人になっていた。
「ワォ!」
シャルが言う。タコがうろたえたのがわかったからだ。
---------------結果上はココまで----------------
だがタコは怯むことなく、墨を噴出した。
「…ハズレ、だね」
フォーゼがニヤリと笑った。
狙われたフェイテルが鏡に変わると、攻撃を反射する。だが――
「あれあれー? フェイテルサマも黒くなってるよ」
「あらま」
シャルの指摘どおり、フェイテルも墨まみれだ。
「大丈夫よ」
にこりと笑うフェイテルだが、黒くなっているため、なんだか痛々しい。
このままではいけないと思ったのか、シャルが飛び出した。
「あーはっはっはっは! 行け、ボクの人形たちよ!」
そして現れるたくさんのシャルの人形Aタイプ。シャルを幼くし、
さらにデフォルメされたその人形は、杖を振り振り、タコの周りを飛び回った。
その隙に、エリアスが剣を構えると、タコの触手の合間に見えた、
体、そのものらしきものに突撃した。
「?!」
直撃した、とエリアスは思っていたため、驚きの表情になる。タコの体は軟体で、
思うように剣が突き刺さらなかったのだ。
思い思いに動いた反動だろう、次に攻勢になったのはタコのほうだった。墨が飛び、
触手がフェイテルを襲う。
「くっ、フェイテルばかり狙って…!」
なんとか触手の合間を縫ってフェイテルに接近したエリアスは、フェイテルへの
4撃目を抱えてかわした。
「さあ、ショーの始まりです!」
今までなにもしていなかったカルニアが突如言う。
天まで立ち昇る炎。
足元をすくう水飛沫。
吹き飛ばさんばかりの嵐。
そして、降り注ぐ岩の群れ。
しかし、タコは器用に魔法を避けてみせたのだ。
「ばかな…」
素を出してカルニアは呆然とつぶやく。
「もう、しっかりなさい」
フェイテルはそう言うと、再び飛んできたタコの触手を半歩だけ歩いてかわした。
「好きにはさせん!」
満身創痍のカルニアの横からエリアスが飛び出して、タコに二連撃を喰らわせる。
しかしタコは怯まない。再び襲い掛かる墨。もともと真っ黒なエリアスだが、
わずかな肌色の部分まで真っ黒だ。
ここからは殴り合いになった。
シャルは爪を、カルニアはワイヤーを、エリアスはもちろん剣を、
フォーゼは杖を持ち、それぞれ、各方面からタコに攻撃を加え、翻弄する。
しかしそれでもフェイテルへのダメージは蓄積していった。
「厳しいわ」
笑顔のまま、フェイテルは呟く。
そこへシャルが空中から剣を作り出すと、タコに向けて突き刺した。
魔の力によって作られたそれは、タコにしっかりと食い込む。
「よくやったわね、いい子」
満足そうなフェイテル。悠長に構える彼女をエリアスは抱え、逃げ回った。
「うまく攻撃が通らないね。このままじゃ、僕たちが押し負ける」
フォーゼが淡々と言う。
「随分と冷静なんですね? 私はもういっぱいいっぱいですよぅ~」
小さなワイヤーの先端につく針で
果たしてどれだけ相手にダメージを与えているのだろうか。
カルニアは疑問だった。そしてそれがそのまま精神的なダメージとなり、
彼の力を落としていく。そして――
「恥じることはないぜ、相手が悪かっただけだ」
タコの声を聞いた。
はっとして邪心たちは自分の主に視線を送る。
一度倒れた彼女はゆっくりと立ち上がった。
「この島の守護者への信仰――私には無いも同然。みんな、二度目は無くてよ」
フェイテルはそれでも笑顔だった。
「まったく!」
シャルはそう叱責した。それはフェイテルへか、皆へか、それとも自分へか。
再び魔法剣を作り出し、タコに突き刺す。
「あの攻撃は通っている…なのに何故」
何故、相手は倒れぬのだ? エリアスは苛立ちを隠せなくなってきた。
「落ち着きなよ。慌ててもどうにもならないよ」
フォーゼはお茶でも飲みだしそうな勢いのマイペースである。
「そこ! 話している暇があったら手を動かす!」
シャルが声を飛ばす。その間にもシャルは魔法剣で攻撃、
フェイテルへの攻撃の切り払いを行っている。
カルニアは、大呪文を打ち切って倒れている。
「また来な、遊んでやるぜ」
そして、この声である。
「防御が…体力が万全なら、タコなんかに、はっ!」
と、カルニアが悔しそうに言う。
「タコ食べたかったな…」
フォーゼは倒れたまま呟く。
魔法使い組がまだ何か言う元気があるのに対して、
前衛二人は完全に黙り込んでいた。
肩で息をしている。
「……」
「………」
シャルとエリアスがアイコンタクトでなにか話している。
ああ、混ぜてくださいよぅ。
そう言おうとして、カルニアの中でなにかが切れ、ぱたりと倒れこんだ。
こうして、人間のようで人間でないなにか5人組は、全滅という事態に
あいまったのであった。
タコ。
タコが、フェイテルの前に立ちはだかった。
見上げるほどのそのタコに、可愛らしい顔立ちねと、
フェイテルは感想を抱いていた。
「みんなよろしくね」
その言葉と共に、邪心が召喚される。
シャル、カルニア、エリアス、フォーゼ。
彼らも敵対する相手を見て、呆然とした。
「大きいなー」
「今にはじまったことじゃないですけど」
「立ちはだかるなら、斬る」
「これはとてもおいしそうだ!」
4者4様。
勝手なことを言いつつ、それぞれ準備をはじめる。
臨戦態勢、などという立派なものは、彼らには無かった。
「ボクの華麗な踊りを見るがいい!」
最初に動いたのは、シャルだ。
普段、皆の前で披露している、カリスマ全壊のほにゃらら笑顔は無く、
真剣な顔で踊りつづける。
銀の長い髪が厳しい太陽の光を浴びて煌めく。
その様子を見て、フェイテルは、にっこりと笑った。
そこにタコの触手がビュンと音を立てて向かっていった。
「!」
エリアスがフェイテルの前に躍り出ると、触手を切り払いにかかった。
しかし、全てを防ぐことはできず、フェイテルに1発当たってしまう。
「ちっ…!」
エリアスは悔しげに言うが、フェイテルは一言も発しない。
そのフェイテルの横にフォーゼが歩み出て、にこりと笑って小さく呟いた。
「……、さあ、どれがフェイテル様かわかるかな?」
すると、フェイテルの周りに鏡が出現し、光を放った。
その次の瞬間にはフェイテルの姿が3人になっていた。
「ワォ!」
シャルが言う。タコがうろたえたのがわかったからだ。
---------------結果上はココまで----------------
だがタコは怯むことなく、墨を噴出した。
「…ハズレ、だね」
フォーゼがニヤリと笑った。
狙われたフェイテルが鏡に変わると、攻撃を反射する。だが――
「あれあれー? フェイテルサマも黒くなってるよ」
「あらま」
シャルの指摘どおり、フェイテルも墨まみれだ。
「大丈夫よ」
にこりと笑うフェイテルだが、黒くなっているため、なんだか痛々しい。
このままではいけないと思ったのか、シャルが飛び出した。
「あーはっはっはっは! 行け、ボクの人形たちよ!」
そして現れるたくさんのシャルの人形Aタイプ。シャルを幼くし、
さらにデフォルメされたその人形は、杖を振り振り、タコの周りを飛び回った。
その隙に、エリアスが剣を構えると、タコの触手の合間に見えた、
体、そのものらしきものに突撃した。
「?!」
直撃した、とエリアスは思っていたため、驚きの表情になる。タコの体は軟体で、
思うように剣が突き刺さらなかったのだ。
思い思いに動いた反動だろう、次に攻勢になったのはタコのほうだった。墨が飛び、
触手がフェイテルを襲う。
「くっ、フェイテルばかり狙って…!」
なんとか触手の合間を縫ってフェイテルに接近したエリアスは、フェイテルへの
4撃目を抱えてかわした。
「さあ、ショーの始まりです!」
今までなにもしていなかったカルニアが突如言う。
天まで立ち昇る炎。
足元をすくう水飛沫。
吹き飛ばさんばかりの嵐。
そして、降り注ぐ岩の群れ。
しかし、タコは器用に魔法を避けてみせたのだ。
「ばかな…」
素を出してカルニアは呆然とつぶやく。
「もう、しっかりなさい」
フェイテルはそう言うと、再び飛んできたタコの触手を半歩だけ歩いてかわした。
「好きにはさせん!」
満身創痍のカルニアの横からエリアスが飛び出して、タコに二連撃を喰らわせる。
しかしタコは怯まない。再び襲い掛かる墨。もともと真っ黒なエリアスだが、
わずかな肌色の部分まで真っ黒だ。
ここからは殴り合いになった。
シャルは爪を、カルニアはワイヤーを、エリアスはもちろん剣を、
フォーゼは杖を持ち、それぞれ、各方面からタコに攻撃を加え、翻弄する。
しかしそれでもフェイテルへのダメージは蓄積していった。
「厳しいわ」
笑顔のまま、フェイテルは呟く。
そこへシャルが空中から剣を作り出すと、タコに向けて突き刺した。
魔の力によって作られたそれは、タコにしっかりと食い込む。
「よくやったわね、いい子」
満足そうなフェイテル。悠長に構える彼女をエリアスは抱え、逃げ回った。
「うまく攻撃が通らないね。このままじゃ、僕たちが押し負ける」
フォーゼが淡々と言う。
「随分と冷静なんですね? 私はもういっぱいいっぱいですよぅ~」
小さなワイヤーの先端につく針で
果たしてどれだけ相手にダメージを与えているのだろうか。
カルニアは疑問だった。そしてそれがそのまま精神的なダメージとなり、
彼の力を落としていく。そして――
「恥じることはないぜ、相手が悪かっただけだ」
タコの声を聞いた。
はっとして邪心たちは自分の主に視線を送る。
一度倒れた彼女はゆっくりと立ち上がった。
「この島の守護者への信仰――私には無いも同然。みんな、二度目は無くてよ」
フェイテルはそれでも笑顔だった。
「まったく!」
シャルはそう叱責した。それはフェイテルへか、皆へか、それとも自分へか。
再び魔法剣を作り出し、タコに突き刺す。
「あの攻撃は通っている…なのに何故」
何故、相手は倒れぬのだ? エリアスは苛立ちを隠せなくなってきた。
「落ち着きなよ。慌ててもどうにもならないよ」
フォーゼはお茶でも飲みだしそうな勢いのマイペースである。
「そこ! 話している暇があったら手を動かす!」
シャルが声を飛ばす。その間にもシャルは魔法剣で攻撃、
フェイテルへの攻撃の切り払いを行っている。
カルニアは、大呪文を打ち切って倒れている。
「また来な、遊んでやるぜ」
そして、この声である。
「防御が…体力が万全なら、タコなんかに、はっ!」
と、カルニアが悔しそうに言う。
「タコ食べたかったな…」
フォーゼは倒れたまま呟く。
魔法使い組がまだ何か言う元気があるのに対して、
前衛二人は完全に黙り込んでいた。
肩で息をしている。
「……」
「………」
シャルとエリアスがアイコンタクトでなにか話している。
ああ、混ぜてくださいよぅ。
そう言おうとして、カルニアの中でなにかが切れ、ぱたりと倒れこんだ。
こうして、人間のようで人間でないなにか5人組は、全滅という事態に
あいまったのであった。