定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。
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フェイテルは めのまえが まっくらになった…
-------------
これは困ったわね。
紙一重で2回負けて、外へ放り出されてしまったわ。
強化習得を狙っているから、戦闘に勝てないのは厳しいわ。
負けても手に入るといえばそうだけど、モノが手に入らないのが致命的ね。
周りを見渡せば、みんなの装備更新がはじまっているわね。
食物を合成してできたものを使った装備更新が。
けれど倒れてばかりの私、お金、無いのよね。
そろそろ外でお仕事しようかしら?
護衛さんをお願いしようかしら?
でも今回で最初のお仕事スキルが手に入るから、
それが育つまで遺跡の中で粘ろうかしらね。
このスキルを伸ばすなら、強化が早く手に入ったとしても伸ばすポイントが
足りないもの。
ふふっ、成長の仕方には慣れてきたみたい。あとは勝利あるのみね。
今回は遺跡の中には長くいても3回。とりあえずあそこの魔方陣は欲しいわ。
3回行動できれば余裕でたどり着けるのに、それに苦戦するって、困るわね。
あらいやだ。私としたことが意地を張っているみたいだわ。
だけど、私はあの子とは違って感情がある。だからいいのよね?
意地を張ったりするのも、悪くない。そう思うの。
この島に来てからよ。そんな人間くさいことを肯定するなんて。
本当に不思議なところね、ここは。
-------------
…昔話でも、しましょうか。
むかし、むかし色々な強大な力を持つ存在が住む城があったの。
存在…というより概念に近いわね。彼らは司(つかさ)、と呼ばれているわ。
そして彼らは…そうね、例えば太陽の司だったならば、太陽が無事1日世界を
照らすように自分の力を駆使するの。管理範囲は私たちの世界集団20個全て。
そんな者たちが集まっている城があったのよ。
そこには門番が2人いたわ。司たちに接触するものが無いよう門を守るのが
使命だった。
でも門番の1人は気がついてしまった。
自分にも力があり、それを使えば、どの司にも勝ててしまうって。
正確には負けることがないと。
だから試してみたくなった、自分の力で司たちを支配できてしまうかもしれない。
その可能性を。
もう1人の門番はその企みに気がついて止めようと説得したわ。
でも、止められなかった。
彼は悩んで、仲の良かった司に相談したの。そうしたらば、聞いた司たちは
企みを止めようと彼に協力した。
それが、司たちの終焉の大戦(おおいくさ)のはじまり。
残ったのは、門番と門番と戦に関与できなかった死の司だけ。
止めようとした門番は後悔したみたいなの。
自分が相談してしまったばかりに、皆が死んでしまったのだと。
気遣ってくれたことに喜び、
企みを止められないんだという弱音を話してしまったのだと。
感情があったから弱音を吐いてしまったのだ。そしてその結果、戦が起きた。
自分に感情さえなければ。
そう考えて、彼は感情を捨てたわ。
私はそれは間違っていると思うのよ。
だってね、彼が相談しなくても、その門番は行動を起こしたわ。
そして結果は同じになったはずよ。
だって
それが
宿命なんですもの。
-------------
これは困ったわね。
紙一重で2回負けて、外へ放り出されてしまったわ。
強化習得を狙っているから、戦闘に勝てないのは厳しいわ。
負けても手に入るといえばそうだけど、モノが手に入らないのが致命的ね。
周りを見渡せば、みんなの装備更新がはじまっているわね。
食物を合成してできたものを使った装備更新が。
けれど倒れてばかりの私、お金、無いのよね。
そろそろ外でお仕事しようかしら?
護衛さんをお願いしようかしら?
でも今回で最初のお仕事スキルが手に入るから、
それが育つまで遺跡の中で粘ろうかしらね。
このスキルを伸ばすなら、強化が早く手に入ったとしても伸ばすポイントが
足りないもの。
ふふっ、成長の仕方には慣れてきたみたい。あとは勝利あるのみね。
今回は遺跡の中には長くいても3回。とりあえずあそこの魔方陣は欲しいわ。
3回行動できれば余裕でたどり着けるのに、それに苦戦するって、困るわね。
あらいやだ。私としたことが意地を張っているみたいだわ。
だけど、私はあの子とは違って感情がある。だからいいのよね?
意地を張ったりするのも、悪くない。そう思うの。
この島に来てからよ。そんな人間くさいことを肯定するなんて。
本当に不思議なところね、ここは。
-------------
…昔話でも、しましょうか。
むかし、むかし色々な強大な力を持つ存在が住む城があったの。
存在…というより概念に近いわね。彼らは司(つかさ)、と呼ばれているわ。
そして彼らは…そうね、例えば太陽の司だったならば、太陽が無事1日世界を
照らすように自分の力を駆使するの。管理範囲は私たちの世界集団20個全て。
そんな者たちが集まっている城があったのよ。
そこには門番が2人いたわ。司たちに接触するものが無いよう門を守るのが
使命だった。
でも門番の1人は気がついてしまった。
自分にも力があり、それを使えば、どの司にも勝ててしまうって。
正確には負けることがないと。
だから試してみたくなった、自分の力で司たちを支配できてしまうかもしれない。
その可能性を。
もう1人の門番はその企みに気がついて止めようと説得したわ。
でも、止められなかった。
彼は悩んで、仲の良かった司に相談したの。そうしたらば、聞いた司たちは
企みを止めようと彼に協力した。
それが、司たちの終焉の大戦(おおいくさ)のはじまり。
残ったのは、門番と門番と戦に関与できなかった死の司だけ。
止めようとした門番は後悔したみたいなの。
自分が相談してしまったばかりに、皆が死んでしまったのだと。
気遣ってくれたことに喜び、
企みを止められないんだという弱音を話してしまったのだと。
感情があったから弱音を吐いてしまったのだ。そしてその結果、戦が起きた。
自分に感情さえなければ。
そう考えて、彼は感情を捨てたわ。
私はそれは間違っていると思うのよ。
だってね、彼が相談しなくても、その門番は行動を起こしたわ。
そして結果は同じになったはずよ。
だって
それが
宿命なんですもの。
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トパーズが アサシンに なった。
アイテム 使って 一気に なった。
1回で 成功するなんて さすが 本職だね。
どう したの?
トパーズ ナイフ見て ため息 ついてる。
「合成当分できねぇぜ…」
トパーズ 装備制限 厳しい ものね。
早く 地属性の ナイフに したいね。
アイテム 使って 一気に なった。
1回で 成功するなんて さすが 本職だね。
どう したの?
トパーズ ナイフ見て ため息 ついてる。
「合成当分できねぇぜ…」
トパーズ 装備制限 厳しい ものね。
早く 地属性の ナイフに したいね。
[星降る夜に]
「星が~降りしきrグハァ!」
シャルがご機嫌で歌いだすと、エリアスの剣の鞘が彼の口の中に突っ込まれた。
「それはアウトだ」
エリアスがきっぱりと言う。
口をもがもがさせていたシャルは鞘をなんとかどけると、
「じゃあ。ボクが~降りしきるペンtがはぁ!」
カルニアのおたまが今度は口に入っている。
「それは怖いし、結局アウトなのには変わりありません! なんか古いですし!」
かぽ。
あっさりとおたまを外すと、シャルはにこりと笑った。
「いやぁ。時々歌いたくなるんだよね、この歌。好きなのさ~♪
さて、それじゃあボクはこの世界に雪を降らせてくるよ」
そう言って、彼は合同宿舎を出て行く。
「やれやれ…今日はフェイテル様も一人にしてくれというし…
静かになりそうですね」
カルニアはため息をついた。しかし、じとーっという視線を感じ、
エリアスの前からそそくさと彼は逃げ出した。
---------------
フェイテルは一人、遺跡内にいた。
ひとり、横になっていた。
(ああ、私、負けたのよね…)
今は邪心を呼び出す力も無い。それほど疲れきっていた。
体を動かす気にもならず、そのままの体勢でいる。
シャンシャンシャン…
なにか音が聞こえてくる。
フェイテルは考えていた。
どうして負けたのかと。
能力的には互角の相手だった。カルニアはよくやってくれたし、
シャルも呼び出すよう手配をしていた。
そのシャルもよく戦った。
なのに何故。
1度倒した。しかし起き上がってきた。
2度倒した。それでも起き上がってきた。
こちらも1度は立ち上がることができたが…
その違いが納得いかない。
(守護者…それに対する想いが力を与えるというけれど…)
そんな者に敬意をはらう気など毛頭ない。なぜなら自分は。
(本当…どうして私自身でここに来たのかしら…)
自分の気まぐれでこのざまである。ここまで来ると、もう笑うしかない。
遠くで音楽が流れ始めた。
気がつけば、辺りは暗くなっており、美しい星が空で瞬いていた。
地平線のほうに目をやれば、ぽつりぽつりと小さな明かりが見えた。
(なにをしているのかしら)
水晶を取り出し、覗き込んでみる。
(クリス、マス…?)
水晶に写しだされたのは、
今日がクリスマスというイベントの日だということだった。
フェイテルは一般的な行事に関しては興味がないため、知識も無い。
そういえば、元の世界の冬はシャルが2日間だけ吹雪を和らげる日が
あった気がする。
人間のイベントのためにご苦労様なこと、と思った記憶がかすかに残っていた。
しかし自分には関係の無いこと。
また空に目をやる。星が綺麗だった。
「こんなことを思うなんてね…」
星をゆっくり見ることもはじめてだった。
なにかを綺麗と思うのも、はじめてだった。
ほう、と息をはいてみる。
白くなったそれは、きらきらと光を帯びていた。
(相当、寒いのね…)
自分に感覚はついていない。それが危ないんですよ、こういう場所に出てくるには!
と、カルニアが言っていた気がする。
仕方が無いだろう。元々自分は世界に降り立つ存在ではないのだ。
そもそも、「存在」ですらないのかもしれない。「概念」なのだ。
しかし弟は自分の使命を放り出して、旅をした。その原因が自分なのは
横に置いておいて、かなり無茶なことをしたわねと笑った記憶がある。
フェイテルがなにかやりそうだ、と判断すると弟は動き出す。
しかしフェイテルにはそんな気は全く無いので、弟の取り越し苦労なのだ。
そこがまた可笑しく、愛おしい。
でも。自分も一度旅をしてみたかったのね、きっと。
そんな我侭を自分が思ったことに対し、笑いが漏れた。
雪が降ってきた。
それを深々と浴びながら、フェイテルはまた水晶を覗き込む。
そこには楽しそうに笑う人々の笑顔が浮かんでいた。
楽しそうに会話する姿。
食事で大わらわになっている者。
プレゼント交換をしている者たち。
それを見守る人物もいる。
それらを見たフェイテルの心に、なにか冷たいものが突き刺さった。
(……私は)
たくさんの仲間たちの笑顔を奪った
島の人々の笑顔を見ながら、はじめて、自分の罪を感じ取ったのだった。
そんなフェイテルにも、人々にも、平等に雪は降りしきる…
そんな静かな、夜。
「メリークリスマス!」
声がかけられた。
フェイテルが上を見上げると、カルニアがいるではないか。
ご丁寧にやたらと厚着なサンタの格好をしてそりに乗っている。
トナカイがそりを引いている。
「なにをやっているの?」
フェイテルが問うと、カルニアはにっこり笑って、
「プレゼントの交換会ですよ~、どうぞ」
フェイテルの元に二つ、小包が落ちてきた。なんとかそれを空中でキャッチする。
「中身は私も知りません。それでは、私は他にも行くところがありますので。
良いお年を~」
カルニアサンタは行ってしまった。
フェイテルは自分に届けられた二つの荷物を見る。
その中身は――
「星が~降りしきrグハァ!」
シャルがご機嫌で歌いだすと、エリアスの剣の鞘が彼の口の中に突っ込まれた。
「それはアウトだ」
エリアスがきっぱりと言う。
口をもがもがさせていたシャルは鞘をなんとかどけると、
「じゃあ。ボクが~降りしきるペンtがはぁ!」
カルニアのおたまが今度は口に入っている。
「それは怖いし、結局アウトなのには変わりありません! なんか古いですし!」
かぽ。
あっさりとおたまを外すと、シャルはにこりと笑った。
「いやぁ。時々歌いたくなるんだよね、この歌。好きなのさ~♪
さて、それじゃあボクはこの世界に雪を降らせてくるよ」
そう言って、彼は合同宿舎を出て行く。
「やれやれ…今日はフェイテル様も一人にしてくれというし…
静かになりそうですね」
カルニアはため息をついた。しかし、じとーっという視線を感じ、
エリアスの前からそそくさと彼は逃げ出した。
---------------
フェイテルは一人、遺跡内にいた。
ひとり、横になっていた。
(ああ、私、負けたのよね…)
今は邪心を呼び出す力も無い。それほど疲れきっていた。
体を動かす気にもならず、そのままの体勢でいる。
シャンシャンシャン…
なにか音が聞こえてくる。
フェイテルは考えていた。
どうして負けたのかと。
能力的には互角の相手だった。カルニアはよくやってくれたし、
シャルも呼び出すよう手配をしていた。
そのシャルもよく戦った。
なのに何故。
1度倒した。しかし起き上がってきた。
2度倒した。それでも起き上がってきた。
こちらも1度は立ち上がることができたが…
その違いが納得いかない。
(守護者…それに対する想いが力を与えるというけれど…)
そんな者に敬意をはらう気など毛頭ない。なぜなら自分は。
(本当…どうして私自身でここに来たのかしら…)
自分の気まぐれでこのざまである。ここまで来ると、もう笑うしかない。
遠くで音楽が流れ始めた。
気がつけば、辺りは暗くなっており、美しい星が空で瞬いていた。
地平線のほうに目をやれば、ぽつりぽつりと小さな明かりが見えた。
(なにをしているのかしら)
水晶を取り出し、覗き込んでみる。
(クリス、マス…?)
水晶に写しだされたのは、
今日がクリスマスというイベントの日だということだった。
フェイテルは一般的な行事に関しては興味がないため、知識も無い。
そういえば、元の世界の冬はシャルが2日間だけ吹雪を和らげる日が
あった気がする。
人間のイベントのためにご苦労様なこと、と思った記憶がかすかに残っていた。
しかし自分には関係の無いこと。
また空に目をやる。星が綺麗だった。
「こんなことを思うなんてね…」
星をゆっくり見ることもはじめてだった。
なにかを綺麗と思うのも、はじめてだった。
ほう、と息をはいてみる。
白くなったそれは、きらきらと光を帯びていた。
(相当、寒いのね…)
自分に感覚はついていない。それが危ないんですよ、こういう場所に出てくるには!
と、カルニアが言っていた気がする。
仕方が無いだろう。元々自分は世界に降り立つ存在ではないのだ。
そもそも、「存在」ですらないのかもしれない。「概念」なのだ。
しかし弟は自分の使命を放り出して、旅をした。その原因が自分なのは
横に置いておいて、かなり無茶なことをしたわねと笑った記憶がある。
フェイテルがなにかやりそうだ、と判断すると弟は動き出す。
しかしフェイテルにはそんな気は全く無いので、弟の取り越し苦労なのだ。
そこがまた可笑しく、愛おしい。
でも。自分も一度旅をしてみたかったのね、きっと。
そんな我侭を自分が思ったことに対し、笑いが漏れた。
雪が降ってきた。
それを深々と浴びながら、フェイテルはまた水晶を覗き込む。
そこには楽しそうに笑う人々の笑顔が浮かんでいた。
楽しそうに会話する姿。
食事で大わらわになっている者。
プレゼント交換をしている者たち。
それを見守る人物もいる。
それらを見たフェイテルの心に、なにか冷たいものが突き刺さった。
(……私は)
たくさんの仲間たちの笑顔を奪った
島の人々の笑顔を見ながら、はじめて、自分の罪を感じ取ったのだった。
そんなフェイテルにも、人々にも、平等に雪は降りしきる…
そんな静かな、夜。
「メリークリスマス!」
声がかけられた。
フェイテルが上を見上げると、カルニアがいるではないか。
ご丁寧にやたらと厚着なサンタの格好をしてそりに乗っている。
トナカイがそりを引いている。
「なにをやっているの?」
フェイテルが問うと、カルニアはにっこり笑って、
「プレゼントの交換会ですよ~、どうぞ」
フェイテルの元に二つ、小包が落ちてきた。なんとかそれを空中でキャッチする。
「中身は私も知りません。それでは、私は他にも行くところがありますので。
良いお年を~」
カルニアサンタは行ってしまった。
フェイテルは自分に届けられた二つの荷物を見る。
その中身は――
「カルニア」
返事は無い。
「カルニア」
やっぱり返事は無い。
「カルニア」
…あ、地面からごめんなさいって看板が出てきた。
ここは合同宿舎内。
「ふーん、カルが呼ばれても出て行かないなんて珍しい」
シャルはそう言って大好物の青汁を飲み干した。
「だだだだだって…派手に魔方陣の位置を読み間違えて、
道案内を失敗しちゃったんですよぅ。絶対怒られますぅ…」
カルニアはぶるぶると震えながら、キッチンの影に隠れている。
「…カルニア」
ガシャーン、と音がした。
一人呟くフェイテルの横で、カルニアがはじめて作ったウッドシールドが
ばらばらに粉砕されてしまっていた。
キッチンの影から、遺跡内のその映像を見ていたカルニアは余計怯える。
「こ、今度は私がバラバラになる番なんですね…」
「バラバラになっても死なないじゃん。むしろ増えるじゃん」
「じゃあ私、どうなっちゃうんでしょう…」
シャルのボケ(いや事実なのだが)を聞いても普通に応対するカルニアは
心の底から怖がっているようであった。
「外に出る提案をしたのも、魔方陣の見間違いだったんですよ…
合わせる顔がないというかなんというか…」
「当たって砕けろ」
エリアスが淡々と言う。
「あ、エリアスが難しい言葉使ってるよ! 今日は珍しいことばっかだねぇ」
「…」
エリアスはぷいとそっぽを向いた。
「……あの女は嫌いだ……」
その姿にシャルはとある知り合いを重ねた。彼の全てを奪った女。
それがフェイテルだったな、と。そしてエリアスは彼の半身のようなもの。
だから嫌いという感覚があるのだろう。
しかしぶんぶんと首を振って、気持ちを切り替える。
そういうネガティブっぽい話題を考えるのをシャルは好まないのだ。
自分がネガティブの魂でできているから、余計に。
そして道化を演ずる。それは今も昔も変わらない。
そう、いろいろあった楽しいあの日々のときでさえもそうだった。
「あーはっはっはっは! そうだねエリー。
ボクもフェイテルサマは好きじゃないよ。ボクたちを好きに扱うんだもんね!
自由を愛するこのボクを使うなんて! ぷんすかぷん!」
「昨日は呼ばれないのが不満だっておっしゃっていたくせに…」
シャルの高笑い(呪いの状態異常付き)をなんとか防いだカルニアが
自分の状況を忘れて突っ込む。
「そうだったっけ? そんなの忘れた忘れた!
だからカルも失敗を忘れてフェイテルサマのところに行った方がいいんじゃない?」
「切り替えが早いですね…」
カルニアは呆れたようにつぶやくと、遺跡の様子を再び見る。
フェイテルはカルニアを呼ぶのをやめ、自らが破壊した盾を見ている。
なんだか哀愁が漂っているな、と思ったカルニアは立ち上がった。
「わかりました。今度呼ばれたら行ってきます」
「…カルニア」
そのとき、小さく彼を呼ぶ声が聞こえた。
それに応じてカルニアは一瞬で姿を消した。
「フェイテル様、申し訳ありませんでした!」
すごい勢いで頭を下げるカルニア。
ガンッ。
自分で起こした衝撃で前方にひっくりかえってしまう彼。
するとフェイテルのくすくす笑う声が聞こえる。
「怒ってなんていないわ。間違いは誰にだってありますもの。
それに私は、探索を急いではいないの。戦って、戦闘経験を積むのが目的。
そしていつか難しい仕事を承るのが目標なのよ?
だから先走って防具ではなく付加を選んでしまったときにも怒ってないでしょう?」
涙目でカルニアがフェイテルを見上げる。
「はい…あのときも申し訳ありませんでした。島の経験があったにもかかわらず、
不甲斐ないです」
「同じ失敗はしないで頂戴ね。今度やったら――
ウッドシールドと同じ道を歩むことになるから気をつけて」
そう言って、フェイテルはにっこり笑った。
「ふ、粉砕ですか。バラバラですか。そんな痛いの嫌ですよう!」
「あら貴方、痛覚あったの? 自分をちぎって分身をぽこぽこ作るから
全然平気だと思っていたのに」
「それはそうなんですけど…」
カルニアは口ごもる。
自分でやるのと人にやられるのは違うのだ。
「そ、それはともかくですね! 次の行き先を決めましょう。
今回は簡単です。まっすぐ西へ!」
にっこりとフェイテルは笑って頷く。
「戦闘は…トカゲさんですか。果たしてどれだけの力があるのやら」
「貴方に任せるわ。シャルを呼ぶまでも無い相手だと思うもの」
「そうでしょうか…」
不安げに次の対戦相手を見る。戦った記憶が無い相手なのだ。
警戒はしておいたほうがいいだろう。
そう思ってカルニアは技リストを見直すのであった。
(こっそりシャルも呼んでしまいましょう。剣も使われたがっているでしょうし…
来るかどうかは今日のご機嫌次第ですね)
悪くは無かった、とカルニアは考える。
たぶん。
――シャルの機嫌を見るのは難しいのだ。彼は自分の感情を隠してしまう。
自分に対しての嘘は、自分は重症だと思うが、彼はもっと上を行くだろう。
誰かが嘘をつけば、偽りの邪霊が生まれる。それを見て判断するのだが、
その偽りの邪霊を吸収できてしまう相手だと嘘をついてもわからない。
つまり、自分とシャルが嘘をついても、邪霊で判断するのも無理だ
ということである。
「まあ、ビクビク怯えるのはやめましょう。当たって砕けろです!」
「砕けるのは私よ?」
フェイテルの声。それにビクっとなってカルニアは顔が引きつる。
その引きつった顔で彼女のほうを見て、あ、はははは…と笑った。
「すみませんでした!」
またすごい角度の謝罪の礼。
それが面白いのか、フェイテルはくすくす笑いながら言うのだ。
「ホント、どうして私はこの島に来たのかしら…私自身が傷つく必要は
全く無いのにね。貴方たちが来て、戦えばよかったのに。ふふっ」
「……」
カルニアは礼をしたまま、真顔になっていた。
(確かにそうですね…どうして全く動かないフェイテル様が動いたのでしょう。
私も噂でしか聞いたことの無い
あの事件のときしかフェイテル様は動かなかったそうですし。まさか)
なにか恐ろしいことの前触れのような気がしてカルニアは震えた。
「まだ怖がっているの? 大丈夫よ。
あまりにしつこいと、私、本当に怒ってしまうかもしれないわよ?」
フェイテルには運よく本心を覗かれなかったようだ。
カルニアの脳裏には彼女と似た少年が思い浮かんでいた。
フェイテルの企みを察知した、と言って先日まで戦っていた少年である。
予感は外れていて、なにも起こらなかったそうだが、彼の言っていた悪い予感が今、
成就しようとしているのではないか…
カルニアは目をつぶる。
いや、それは無い。この島に眠る強大な力を持つらしい宝玉に
フェイテルは全く興味を示していないからだ。
だから大丈夫。
カルニアはそう、自分に言い聞かせた。
返事は無い。
「カルニア」
やっぱり返事は無い。
「カルニア」
…あ、地面からごめんなさいって看板が出てきた。
ここは合同宿舎内。
「ふーん、カルが呼ばれても出て行かないなんて珍しい」
シャルはそう言って大好物の青汁を飲み干した。
「だだだだだって…派手に魔方陣の位置を読み間違えて、
道案内を失敗しちゃったんですよぅ。絶対怒られますぅ…」
カルニアはぶるぶると震えながら、キッチンの影に隠れている。
「…カルニア」
ガシャーン、と音がした。
一人呟くフェイテルの横で、カルニアがはじめて作ったウッドシールドが
ばらばらに粉砕されてしまっていた。
キッチンの影から、遺跡内のその映像を見ていたカルニアは余計怯える。
「こ、今度は私がバラバラになる番なんですね…」
「バラバラになっても死なないじゃん。むしろ増えるじゃん」
「じゃあ私、どうなっちゃうんでしょう…」
シャルのボケ(いや事実なのだが)を聞いても普通に応対するカルニアは
心の底から怖がっているようであった。
「外に出る提案をしたのも、魔方陣の見間違いだったんですよ…
合わせる顔がないというかなんというか…」
「当たって砕けろ」
エリアスが淡々と言う。
「あ、エリアスが難しい言葉使ってるよ! 今日は珍しいことばっかだねぇ」
「…」
エリアスはぷいとそっぽを向いた。
「……あの女は嫌いだ……」
その姿にシャルはとある知り合いを重ねた。彼の全てを奪った女。
それがフェイテルだったな、と。そしてエリアスは彼の半身のようなもの。
だから嫌いという感覚があるのだろう。
しかしぶんぶんと首を振って、気持ちを切り替える。
そういうネガティブっぽい話題を考えるのをシャルは好まないのだ。
自分がネガティブの魂でできているから、余計に。
そして道化を演ずる。それは今も昔も変わらない。
そう、いろいろあった楽しいあの日々のときでさえもそうだった。
「あーはっはっはっは! そうだねエリー。
ボクもフェイテルサマは好きじゃないよ。ボクたちを好きに扱うんだもんね!
自由を愛するこのボクを使うなんて! ぷんすかぷん!」
「昨日は呼ばれないのが不満だっておっしゃっていたくせに…」
シャルの高笑い(呪いの状態異常付き)をなんとか防いだカルニアが
自分の状況を忘れて突っ込む。
「そうだったっけ? そんなの忘れた忘れた!
だからカルも失敗を忘れてフェイテルサマのところに行った方がいいんじゃない?」
「切り替えが早いですね…」
カルニアは呆れたようにつぶやくと、遺跡の様子を再び見る。
フェイテルはカルニアを呼ぶのをやめ、自らが破壊した盾を見ている。
なんだか哀愁が漂っているな、と思ったカルニアは立ち上がった。
「わかりました。今度呼ばれたら行ってきます」
「…カルニア」
そのとき、小さく彼を呼ぶ声が聞こえた。
それに応じてカルニアは一瞬で姿を消した。
「フェイテル様、申し訳ありませんでした!」
すごい勢いで頭を下げるカルニア。
ガンッ。
自分で起こした衝撃で前方にひっくりかえってしまう彼。
するとフェイテルのくすくす笑う声が聞こえる。
「怒ってなんていないわ。間違いは誰にだってありますもの。
それに私は、探索を急いではいないの。戦って、戦闘経験を積むのが目的。
そしていつか難しい仕事を承るのが目標なのよ?
だから先走って防具ではなく付加を選んでしまったときにも怒ってないでしょう?」
涙目でカルニアがフェイテルを見上げる。
「はい…あのときも申し訳ありませんでした。島の経験があったにもかかわらず、
不甲斐ないです」
「同じ失敗はしないで頂戴ね。今度やったら――
ウッドシールドと同じ道を歩むことになるから気をつけて」
そう言って、フェイテルはにっこり笑った。
「ふ、粉砕ですか。バラバラですか。そんな痛いの嫌ですよう!」
「あら貴方、痛覚あったの? 自分をちぎって分身をぽこぽこ作るから
全然平気だと思っていたのに」
「それはそうなんですけど…」
カルニアは口ごもる。
自分でやるのと人にやられるのは違うのだ。
「そ、それはともかくですね! 次の行き先を決めましょう。
今回は簡単です。まっすぐ西へ!」
にっこりとフェイテルは笑って頷く。
「戦闘は…トカゲさんですか。果たしてどれだけの力があるのやら」
「貴方に任せるわ。シャルを呼ぶまでも無い相手だと思うもの」
「そうでしょうか…」
不安げに次の対戦相手を見る。戦った記憶が無い相手なのだ。
警戒はしておいたほうがいいだろう。
そう思ってカルニアは技リストを見直すのであった。
(こっそりシャルも呼んでしまいましょう。剣も使われたがっているでしょうし…
来るかどうかは今日のご機嫌次第ですね)
悪くは無かった、とカルニアは考える。
たぶん。
――シャルの機嫌を見るのは難しいのだ。彼は自分の感情を隠してしまう。
自分に対しての嘘は、自分は重症だと思うが、彼はもっと上を行くだろう。
誰かが嘘をつけば、偽りの邪霊が生まれる。それを見て判断するのだが、
その偽りの邪霊を吸収できてしまう相手だと嘘をついてもわからない。
つまり、自分とシャルが嘘をついても、邪霊で判断するのも無理だ
ということである。
「まあ、ビクビク怯えるのはやめましょう。当たって砕けろです!」
「砕けるのは私よ?」
フェイテルの声。それにビクっとなってカルニアは顔が引きつる。
その引きつった顔で彼女のほうを見て、あ、はははは…と笑った。
「すみませんでした!」
またすごい角度の謝罪の礼。
それが面白いのか、フェイテルはくすくす笑いながら言うのだ。
「ホント、どうして私はこの島に来たのかしら…私自身が傷つく必要は
全く無いのにね。貴方たちが来て、戦えばよかったのに。ふふっ」
「……」
カルニアは礼をしたまま、真顔になっていた。
(確かにそうですね…どうして全く動かないフェイテル様が動いたのでしょう。
私も噂でしか聞いたことの無い
あの事件のときしかフェイテル様は動かなかったそうですし。まさか)
なにか恐ろしいことの前触れのような気がしてカルニアは震えた。
「まだ怖がっているの? 大丈夫よ。
あまりにしつこいと、私、本当に怒ってしまうかもしれないわよ?」
フェイテルには運よく本心を覗かれなかったようだ。
カルニアの脳裏には彼女と似た少年が思い浮かんでいた。
フェイテルの企みを察知した、と言って先日まで戦っていた少年である。
予感は外れていて、なにも起こらなかったそうだが、彼の言っていた悪い予感が今、
成就しようとしているのではないか…
カルニアは目をつぶる。
いや、それは無い。この島に眠る強大な力を持つらしい宝玉に
フェイテルは全く興味を示していないからだ。
だから大丈夫。
カルニアはそう、自分に言い聞かせた。
■第一回 文章コミュイベント■
御題「木枯らし」 キーワード「底冷え」「夜」「サーフィン」
-------------
「ひーまー!」
突然シャルが言い出した。
今日はフェイテルが遺跡の外で休憩している日である。
場合によっては作成の依頼のために飛び回ることもあるが、
始めたばかりで(能力不足で)やることが無いのだ。
「カルニアはいいよね~。能力が期待できないアイテムで練習をしなさいって
お仕事もらえるんだもん。ボクは戦闘のときしかお声がかからないんだよ?」
暖炉の前で石英を加工していたカルニアは顔を上げて言った。
笑顔に見えるが、目が笑っていない。
「じゃあ、いつもみたいに無意味に踊っていたらいかがです?
あるいはオルドビスさんで遊んでみるとか」
「今日のカルニアはきついな~。なに? なんか気分の悪いことでもあったの?」
シャルはテーブルに肘をつき、カルニアに絡む。
そのカルニアは今度は布団を取り出して、羽織った。そして作業を続けている。
「今日、ではなく、当分機嫌は悪いですよ? お忘れですか?
私、冬はだいっ嫌いなんです。魔力が勝手に外に出て行ってしまいますから。
冷たい風が憎いです。特に今日は『底冷え』が酷くて、手が悴んで(かじかんで)
うまく作成ができないんですよ」
本来なら作成は遺跡外でやるべきことである。
それをフェイテルに無理を言って合同宿舎でやっているのであった。
「ふーん。合同宿舎でやるより、遺跡でやったほうが寒くないかもよ。
ホラ、この世界の冬将軍はキミの目の前にいるわけだしー」
シャルはもともとは天を司る竜だった。
そのため冬を呼ぶのも彼のお仕事に入っている。
「そういえばそうでしたね。なぜ今回は冬の仕事してないんですか?」
機嫌が悪かったカルニアがころっと表情を変える。
そこには善意も悪意もないようだ。
いつも通りならば、シャルは冬の間、合同宿舎にいない。
冬将軍を行うため空を駆け、吹雪を吹かせるのだ。
「んー? それはアレだよ。フェイテル様に呼ばれる可能性があるからさ。
クリスマスに雪を降らせるくらいにしようかなーって思ってるんだ。
あとはここにいる間に木枯らし吹かせるくらい?」
「そうですか。雪が降らないのはおかしいなと思っていましたが、しっかり『夜』は
木枯らし吹いてますしね。夜は呼ばれる確率も低いから働いているんですね」
適当に感想を言うとカルニアは自分の仕事に戻る。
それを見てシャルはまた不満げに、他の住民たちを見やった。
エリアスは剣を磨いている。先日つくってもらったもので、特別な力は無いが、
作ってもらったこと自体が嬉しかったらしく、ずっと手入れをしている。
フェイテルに言わせれば、もう少し待ってから作ってもらえばよかったですわ、
というブツなのだが。
ガンマはソファーに寝転んで鉱石の本をアイマスク代わりにして眠っているようだ。
オルドビスは…シャルと同じように暇そうにしていた。
彼は自分の力を誇示させるのが好きなのだが、人間相手には強すぎて、
しかし邪心相手には力不足。高位の邪霊と戦って勝てる、くらいの強さなのだが
そんなクラスはほぼいないため、よく欲求不満になっている。
その様子を見てシャルは考えた。
オルドビスに遊んでもらおうと。
しかし、簡単な誘いには彼は乗らない。
彼が面白そうと思わないと相手にしてくれないのだ。
「ふーむ…」
オルドビスは風属性だ。シャルも風属性である。
だったら、風を使ってなにかできないか、そうシャルは考えた。
「そうだ。ねえねえオルドビス! 木枯らしに乗って空を飛ばない?!
普通に飛ぶのは飽きたでしょ?
サーフボードが確か倉庫に入っていたから、木枯らしで『サーフィン』、しない?」
そこに突き刺さる冷たい視線。
「そんな恥ずかしいことができるか。お前じゃあるまいし」
しかしその答えにシャルは納得がいかない。
「えー! 楽しそうだよ! 波乗りならぬ風乗りだよ!
ウインドサーフィンっていうのもあるらしいし! カッコイイと思うんだけどなー」
「お前の感性を疑う。…いつものことだが。
第一ウインドサーフィンはお前の言っているものとは明らかに違う」
オルドビスはズケズケとシャルを批判した。
しかしシャルはそれを無視することに決めた。
「よし、オルドビスがボードの前に乗って!
それでボクは後ろからキミを支えてあげるよ。素晴らしい!
スキンシップもできて一石二鳥じゃないか!」
こうなるとシャルは止まらない。彼の脳内ではその図が完成しており、
二人でサーフィンする姿を思ってうっとりとするのであった。
御題「木枯らし」 キーワード「底冷え」「夜」「サーフィン」
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「ひーまー!」
突然シャルが言い出した。
今日はフェイテルが遺跡の外で休憩している日である。
場合によっては作成の依頼のために飛び回ることもあるが、
始めたばかりで(能力不足で)やることが無いのだ。
「カルニアはいいよね~。能力が期待できないアイテムで練習をしなさいって
お仕事もらえるんだもん。ボクは戦闘のときしかお声がかからないんだよ?」
暖炉の前で石英を加工していたカルニアは顔を上げて言った。
笑顔に見えるが、目が笑っていない。
「じゃあ、いつもみたいに無意味に踊っていたらいかがです?
あるいはオルドビスさんで遊んでみるとか」
「今日のカルニアはきついな~。なに? なんか気分の悪いことでもあったの?」
シャルはテーブルに肘をつき、カルニアに絡む。
そのカルニアは今度は布団を取り出して、羽織った。そして作業を続けている。
「今日、ではなく、当分機嫌は悪いですよ? お忘れですか?
私、冬はだいっ嫌いなんです。魔力が勝手に外に出て行ってしまいますから。
冷たい風が憎いです。特に今日は『底冷え』が酷くて、手が悴んで(かじかんで)
うまく作成ができないんですよ」
本来なら作成は遺跡外でやるべきことである。
それをフェイテルに無理を言って合同宿舎でやっているのであった。
「ふーん。合同宿舎でやるより、遺跡でやったほうが寒くないかもよ。
ホラ、この世界の冬将軍はキミの目の前にいるわけだしー」
シャルはもともとは天を司る竜だった。
そのため冬を呼ぶのも彼のお仕事に入っている。
「そういえばそうでしたね。なぜ今回は冬の仕事してないんですか?」
機嫌が悪かったカルニアがころっと表情を変える。
そこには善意も悪意もないようだ。
いつも通りならば、シャルは冬の間、合同宿舎にいない。
冬将軍を行うため空を駆け、吹雪を吹かせるのだ。
「んー? それはアレだよ。フェイテル様に呼ばれる可能性があるからさ。
クリスマスに雪を降らせるくらいにしようかなーって思ってるんだ。
あとはここにいる間に木枯らし吹かせるくらい?」
「そうですか。雪が降らないのはおかしいなと思っていましたが、しっかり『夜』は
木枯らし吹いてますしね。夜は呼ばれる確率も低いから働いているんですね」
適当に感想を言うとカルニアは自分の仕事に戻る。
それを見てシャルはまた不満げに、他の住民たちを見やった。
エリアスは剣を磨いている。先日つくってもらったもので、特別な力は無いが、
作ってもらったこと自体が嬉しかったらしく、ずっと手入れをしている。
フェイテルに言わせれば、もう少し待ってから作ってもらえばよかったですわ、
というブツなのだが。
ガンマはソファーに寝転んで鉱石の本をアイマスク代わりにして眠っているようだ。
オルドビスは…シャルと同じように暇そうにしていた。
彼は自分の力を誇示させるのが好きなのだが、人間相手には強すぎて、
しかし邪心相手には力不足。高位の邪霊と戦って勝てる、くらいの強さなのだが
そんなクラスはほぼいないため、よく欲求不満になっている。
その様子を見てシャルは考えた。
オルドビスに遊んでもらおうと。
しかし、簡単な誘いには彼は乗らない。
彼が面白そうと思わないと相手にしてくれないのだ。
「ふーむ…」
オルドビスは風属性だ。シャルも風属性である。
だったら、風を使ってなにかできないか、そうシャルは考えた。
「そうだ。ねえねえオルドビス! 木枯らしに乗って空を飛ばない?!
普通に飛ぶのは飽きたでしょ?
サーフボードが確か倉庫に入っていたから、木枯らしで『サーフィン』、しない?」
そこに突き刺さる冷たい視線。
「そんな恥ずかしいことができるか。お前じゃあるまいし」
しかしその答えにシャルは納得がいかない。
「えー! 楽しそうだよ! 波乗りならぬ風乗りだよ!
ウインドサーフィンっていうのもあるらしいし! カッコイイと思うんだけどなー」
「お前の感性を疑う。…いつものことだが。
第一ウインドサーフィンはお前の言っているものとは明らかに違う」
オルドビスはズケズケとシャルを批判した。
しかしシャルはそれを無視することに決めた。
「よし、オルドビスがボードの前に乗って!
それでボクは後ろからキミを支えてあげるよ。素晴らしい!
スキンシップもできて一石二鳥じゃないか!」
こうなるとシャルは止まらない。彼の脳内ではその図が完成しており、
二人でサーフィンする姿を思ってうっとりとするのであった。