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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

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「おい…ロゼ…なにを言っているんだ…?!」
一番最初に反応したのはヴィテスだった。
ヴィテスの言葉でわれに返ったのか、気がついたのか。ガランもはっとロゼのほうを見る。
「…どういうことだ。説明しろ、ロゼ!」
ヴィテスは続ける。低い声で、静かに。だが確実に感情がこもった声だった。
「先輩を犠牲にした? 聞き捨てならない言葉が聞こえたわよ、ロゼ!!」
対してガランは叫ぶかのように言葉を発しながらロゼに詰め寄り、
「はぐらかしたりなんかさせない。私の目を見て答えなさい!」
ぐるぐるメガネを奪い取った。
「……!!」
ヴィテスは息を呑んだ。
その釣りあがった瞳は先ほどの声色以上に冷たい輝きを放っていたからだ。
「そのままです。僕は彼を知っている。本来はリッシュ=フリシーヌという、一人の超能力者にすぎないということも含めてです」
「どういう、こと、よ……」
詰まりつつも尋ねるガランにふう、とロゼは息をついた。
「理解はしているのに、尋ねるのですか」
「っ……」
ガランは返答に詰まる。
「まあ、僕は表だって動きはしていませんでしたからね」
そう続けるロゼの横にはウィスプ。ゆっくりと浮かび上がったそのエンブリオからは
『待ちわびたぞ、きょうだい』
そんな声が放たれた。

「一応、ウイングという名を持っています。母上ミーミルの命によりカシーア会に潜入していました。簡単に言えば、ダブルスパイですね」
淡々と語られる言葉。ウィスプに触れたロゼ、いや、ウイングは、光の翼を持った妖精のような姿に変化する。
「魔属に対抗する組織、ハイザー学園。その究極の姿がこれですよ。対抗するにはそれに近くなるのも仕方がない」
「アンタの目的はなに?! カシーア会の情報を抜き出すことだけじゃないわよね」
ガランが噛みついた。ただ茫然とするヴィテスは放置で。
「………答えると思っているんですか?」
それだけ言うとウイングは羽ばたき、二人から離れていく。
――ヴィテスとガランはそれを見ているしかなかった。
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※仮記事!

一応ここ「りすげ」ブログなので、置いてみます。
天呼のタグで使用者が多そうなタグとか?


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・リンク解除フリー
・交流歓迎
・準備中

・亀レス
・置きレス
・続投
・何でも許可
・オールフリー

・【天上観光勤務】


うん、50行く前に疲れたよ。


あと、名簿とかあるのね。
とある天呼の登塔者名簿
翌朝、ガランが再びバタバタしている間に、ヴィテスはロゼに長老とは何かを尋ねた。
それに対するロゼの答えは淡々としたもので、カシーア会の指導者だとのこと。

しばらくして、ガランが声をかけてきた。彼女の足元には鏡が向かい合わせに置いてあるだけのように見える。
「これは?」
「難しい理論は省略するけどね、貴方たち二人の超能力を共鳴させてほんの少し門を開くの。そうすると長老と会話ができるのよ」
「省略しまくりですね」
ぼそりと言うロゼ。
「だって私も詳しい理屈はわからないんだもの。貴方たち二人の超能力を共鳴させると、どうして・どうやって門が開くのか、とか。そもそもロゼの超能力っていつの間に開花したの、とか、まあいろいろ? それに説明聞いている時間も惜しかったし」
堂々と言うガランにロゼは貴女らしいと苦笑いを返す。
「じゃあ、会話できる準備を始めるわよ」

会話させる道具に対して、ヴィテスもロゼも特段することは無かった。ただ繋がっている紐の先端を握っているだけでいいという。
『……ン。……では…か』
しばらくの間の後、低い男の声が響いてきた。

声が明瞭になってから、ガランは長老にミーミルの部下である魔属を封印したら、ハイザー学園の生徒になったことを伝えた。
しかし長老はミーミルがパレドン=ソヌスの巫女で危険だということは変わらないと言い、最後にこう締めた。
『引き続きカードを使い、ミーミルの部下を封印するのだ。彼らが人間であろうと関係ない。堕ちた者を導くのも我らの仕事だ』
「……」
「………」
「嫌気がさしますね。本質を確認するためだったとはいえ、これではボンバーが無駄死にではないですか」

沈黙を破った冷たい声にヴィテスは硬直した。
その声は間違いなく、隣のロゼが放ったものだったからだ。
ヴィテスは呆然としているガランの手元を見る。
カードには、ハイザー学園の制服を着た男性が描かれていた。
「えーっ? なんでカードの絵がボンバーじゃないんだよう?!」
ファミリアが口を挟んだ。どうやら彼女もカードを見ていたらしい。
「この学生は、ガラン、知っているんだな?」
ヴィテスが確認するように言えば、ガランはただこくりと頷くだけだった。

ガランが再び口を開いたのは重い雰囲気で夕食が終わった後、寝る間際になってからだった。
「このままじゃ眠れないから。話すわ」

ハイザー学園でガランは新聞部に所属していた。情報を手に入れるために動いてもなんの問題もないという理由で選んだのだという。
記事に使う写真も自分たちで調達することが主だったが、たまに写真部に協力してもらっていた。その写真部の部員の一人が、リッシュ=フリシーヌ。自信家で雑だが、独特な空の写真を撮るのが印象的な人物だったという。

「見間違いだとか、他人の空似だとか。そう思いたいんだけどね」
でも直感が本人だと告げるのよ。
ガランの気持ちはヴィテスもわかる気がした。自分も直感が鋭いほうだという自覚があるからだ。
「これがどういうことなのか、さっぱりわからない。どうすればいいのかしら」
ガランは疲れ切った顔で呟く。
「……長老に質問できればいいのですがね」
ようやくロゼが口を開いた。ガランの目が見開かれる。
「わがままな話ですが、僕は今、この世界から帰るわけにはいかないんです。乗りかかった船から降りたくないので」
「いいのよ!」
ガランは目を輝かせてロゼのほうを見る。その勢いにロゼがじりっと身を引くほどの目の輝きだ。
「なんせあの門は一方通行だからね、帰る方法はないけれど。門を開ける二人がいれば、長老と連絡はつくわ!」
話についていけない二人をよそに、ガランは自分の荷物をガサガサと探り出した。
「あ、あの。この世界で僕たちの超能力を使うのは大変危険で…」
「知ってる!」
「超能力を使ったことなんてないぞ」
「私が指導する!」
こんな感じできびきびと動いていたガランだが、突然倒れこんだ。咄嗟にヴィテスが支えたので頭を打たずには済む。
「ど、どうしたんだ」
「今まで無理していたのでしょうね」
「無理?」
「ええ。異世界を一人で行動するって大変なんですよ。ヴィテスはよく平気でしたよね」
二人が会話するのがガランにも聞こえていた。だが頭を占めるのは異変の前の綺麗な青空。


――先輩は超能力ってあると思いますか?
――なんだよ、突然。現実味がねえ話。
――ですよね…。
――でもそういうロマンな話は嫌いじゃないぜ? 空みたいに想像が膨らむもんな。
「大変なことをさせているのは私たち。ロゼを責めないで」
固まっているロゼの後ろから声がした。
「おや」
コロナはくるりと声のほうを見る。ロゼは息を呑んだ。
「えっ。ガランさん…? 本当にガランさんなんですか?」
ガラン=グホン。
以前、ファミリアが語った女性である。

すぐさまロゼは彼女を他のメンバーの所に案内した。
ガランはロゼが所属するカシーア会のメンバーで、彼と同じくハイザー学園に潜入調査をしている、と自己紹介をする。
「どうやってこの世界に来たのです?」
ロゼが首を傾げれば、学年1位はそんなもんなの? と苦笑いし答える。
「あなたたちが開いてしまった門が開きっぱなしだからよ」
「なに…?」
ヴィテスはぽかんと声を出す。
「じゃあ、この世界で魔属を見るのは」
「その門を使っているんでしょうね。でも、カシーア会も打つ手無しってわけじゃないからね」
えへんと胸を張り、ポーチからトランプのようなものを取り出すガラン。
「それは?」
ロゼの問いを受け、ますます自慢げの笑みを浮かべた彼女だったが、
「伏せて!」
突然叫んだ。
一同の上を火の玉が多数通過していく。
「これは…アイツか!」
ヴィテスが臨戦態勢になったのと
「ボンバーだっつってんだろ! 名前で呼べよ、畏怖を込めてな!」
赤の長髪をなびかせた半獣の男、ボンバーが駆け込んできたのはほぼ同時だった。


「ちくしょう、なんでだよ。俺は捨て駒だってのか……ミーミルよぉ!」
憎らしげにこちらを睨むボンバーに向かって、とどめだと言わんばかりにヴィテスが弦を引く。
「当たってやるかよ」
息が切れているというのにその敵意は消える様子は無かった。
だが、それは唐突に終わりを迎える。
「終わりよ。あんたはカシーア会の支配下に置かれるの」
ガランの声と共に、辺りが白に包まれる。そしてそこに残ったのは1枚のカード。
「さっきのカードはこんなふうにあらゆるものを封印し、使役できるようにできるの。こうすれば彼らは脅威じゃない。むしろ、私たちの力にな――」
誇らしげなガランの言葉はそこで途切れた。タイミング的には彼女がカードを拾い上げたところだった。
「どうしたんだ…?」
不思議そうにヴィテスは問う。
ガランはじっとカードの柄を見つめたまま口をぱくぱくさせていたが、やがて、声を絞り出した。
「フリシーヌ、先輩……」
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