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定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。

カテゴリー「「記録」」の記事一覧
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「つまりどうしたいのさ」
「つまりどういうことなのさ」
似た者同士のふたりは顔を突き合わせて問いかけあう。

「僕はこの魂を救いたい」
「えーと、少し頭を整理させてくれ」
そして、律儀にお互いに答えた。
その答えはきちんと文脈が繋がっていて。
死の司はミニットを困った顔で見た。

「まず、この世界は滅びている。
 人が生きていても、こんな状態でこの世界が成り立っているとは言えないよね」
「確かに…」
他の世界で例えるなら、荒野と廃墟だ。
その中で生活をしているように石像が立っている。
「よし、俺は間違っていなかった」
えへんと胸を張る死の司。
ミニットは呆れてそれを見るだけにとどめた。
「…突っ込んでくれないかい」
「笑い方と、そのセンスだけはわからないよ」
ツッコミ待ちをばっさりと切り捨て、ミニットはあらためて世界を見下ろした。
(…どうしてこんなに心が騒ぐのだろう。
 僕は人を殺すのが使命でトリすらも殺めようと企んでいるのに)
複雑な心中。
そんなことは気付く様子もなく、死の司は言葉を続けていた。
「でもまぎれもなくこの人たちは生きているんだ。それを殺すことはできない」
「何故。あなたが『彼らは死期だ』と認めればいいだけのことじゃないか」
ミニットの問いに、再び死の司の羽ばたきが聞こえなくなる。
「まさか、思い当たらなかったとか言わないよね」
再び落ちていく死の司。まあツッコミ待ちだろう。そう思い、ミニットは放置した。
「つまりだねー」
墜落した先から、聞こえてくる声。
「大きな声では言えないけどー、俺の死期認定よりー、
 彼らの永遠に生き続けるっていう縛りの方がー、大きいのさー」
大きな声で言っているじゃないか。…そう言ったら負けだろう。
それよりも、いつまであの大声を続けるのか試そう。
そんなことを考えつつ、ミニットは死の司をにらみつける。
「役立たず」
「なに!」
どぴゅーん。
翼を使わず、すさまじい勢いで急上昇してくる死の司。
さっとかわして、ミニットは極力冷たい目で言った。
「あなたに言うのは馬鹿のやることだと思ったけど、
 わかっていない可能性を危惧して言うよ」
しかし、死の司のどこか軽い雰囲気は消えない。
「魂は生物の世界でさまざまに染まる。それをリセットするのが死だ」
「そうだね。いつか生物は死ぬ。その前提で冥界も天界もあるんだもの」
「…完全に冥王の受け売りだけれどね」
ミニットはそこまで言って、ふと思い出す。

「僕は…死をもたらす者だ」
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冥王に作られた、冥界に住む、10人の精鋭。
それが冥使である。

「これが僕たちの定義だ。
それを揺るがすような発言をさらっとしないでくれないか?
あと離れてほしいな」
ミニットは渋い顔で言った。
それに対して、死の司は愉快そうにむけけ、と笑うと、すぐに離れて宙を舞い、
ミニットの正面にやってきた。
「まあ…例えかな。確かに君は冥王に作られた。
でも、無からなにかを作り出すなんて、冥王にもできないんだよ」
冥王が命じたこと以外のことを企んでいるミニットでも、
冥王への畏怖の気持ちはあった。
そのため、死の司の言葉は意外であった。
「だから、世界の終末の時に働く冥使が必要になったとき、
冥王は自ら俺のところにやってきて、助力を求めてきた。
そこで二人で生み出した命。それが君さ」

そう言われても、はいそうですかと受け入れることはできなかった。
「納得できるわけないよねぇ。
今まで常識だと思っていたことを覆すのはさ、難しい」
パサパサと、翼を鳴らして目の前の司は言う。
「…そんなことより、彼らを何とかする方法は全くないのかい?」
ようやく言葉を紡げば、話題は戻って、第3世界の人間の物語。
そんなミニットを見て、死の司は笑顔を浮かべ、すーっと近寄ってきた。
即座にミニットは回避した。
「なんだよもう。せっかく撫でてあげようと思ったんだけど」
「結構だよ」
からかっているのだ。
なんとなく理解はできてきていた。その証拠が口調だ。語り口だ。
だから思考パターンも似ているのではないか、そう思ったのだ。
――そう、ミニットも同じ立場なら、同じことをしたと思うのだ。
「ないよ」
「だろうね」
ミニットはため息をつくと、眼下の人々を見下ろした。
「……でも。最初、貴方は『第3世界は滅びている』って言ったよね。
だけれど『この人たちは生きている』とも言った。矛盾してないかい?」
すると、パサパサという音が消えた。
死の司が落下していく…
「………気がついてなかったんだね」
特に助けず、ミニットは別の意味でため息をついた。
水あります、の幌馬車の話はまたおいおい語るとして、
そもそも、冥使とはなにか、について定義を記す。

冥王に作られた、冥界に住む、10人の精鋭。
それが冥使である。
普段の仕事は人の魂を冥界に導くこと。
だが、ミニットには隠された使命があった。

それは、死をもたらすこと。
分割世界エンティの、20の世界のいずれかが終わりを告げるとき、
愛馬を駆り、すべての命を終わらせるのだ。
その時には、死の司すらミニットに従うと言われていた。


「でも、世界が終わるなんて寂しいよね」
ある日の仕事帰り、ぽつりと呟くと、声が聞こえた。
「もう第3世界は滅びているよ」
と。

驚いて辺りを見回すと、そこにはマンドレイク、もしくはマンドラゴラと
呼ばれるものが立っていた。
しかし、ただのマンドレイクが叫ぶ以外の行動をするはずはない。
ミニットは、それが自分の主の使いだと判断する。
「ふうん。でもその時は僕、呼ばれなかったけど?」
不満そうに言ってみる。
すると、そのマンドラゴラはむけけけ、と変な笑い声をあげて笑った。
「キミはいくつだい?」
ミニットが答える前に、マンドレイクはこう言った。
「第3世界が滅びたのは、司が滅びた時よりももっと前さ」
と。

「司が滅びている?」
司とは、それぞれの事象を司るものである。
だから司という。
それが滅びているのならば、自分が見ている20個の世界はいったい
どうやってなりたっているというのだろうか。
第3世界が滅びたということよりも、ミニットはそちらが気になった。
「むけけけけけ。こんなマンドレイクの言葉を真に受けるなんて純真だねえ」
いらっ。
次の瞬間、ミニットはマンドレイクを鎌で真っ二つにした――はずだった。
それはすでにそこに無かった。
「失礼。これは重要な通信手段なんでね。守らせてもらったよ」
まったく予想だにしない方向から、声がする。
自分は精鋭の冥使。そのプライドに、ずんと重いものを突き付けられた気がして、
ミニットは苦々しく声の方を向いた。
そして、納得した。
そこにいたのは、黒いローブを身にまとった、黒翼の司だったのだ。

「…なんだ。滅びていないじゃないか」
明らかに格上の相手にも、口調を変えなかったが、
正直ミニットの声は震えていたかもしれない。
「いいや。俺含めて3人しかもういないよ」
似た口調と、先ほどのマンドレイクの声で“彼”は答える。
「はじめまして、ミニットくん。キミの裏仕事ではパートナーを務めさせてもらう、
死の司だよ」
言われて、ミニットはぱちくりと相手を見た。
「ここではなんだし――噂の第3世界でも行ってみる?」
裏の使命のことに触れるのだろうか。
死の司はそう言って、ミニットの肩をぽんぽんと叩いた。


第3世界は悲惨な状態であった。
そもそも冥使は、仕事がある場所以外には向かわない。
だからミニットは第3世界がリストから抜け落ちていることにも気がつかなかった。

そこには、救われていない魂がたくさんあったのだ。

「な、なに…これ…」
ミニットは思わず耳を塞ぐ。
だが、目を逸らすことはせず、しっかりそこにある“モノ”を見据えていた。
「見てわかるんじゃないのかい?」
死の司は無情に言い放つ。
「これを僕の頭の中で情報に変換しろと?」
憎らしい、とミニットは思う。

そこにあるのは変わり果てた人々の石像。
助けてくれ、と語りかけてくる。
許されるならば、この石像を破壊して中の魂を取り出したいところだが、
そんな権限は無かった。冥使は基本的に魂を運ぶだけの存在。
「そもそもこの石像は壊せないよ。生きてるんだから」
死の司が言う。生者を殺すことは、冥使のタブーであった。
「生きているだって?」
「そう。この世界の人々は願ったんだ。永遠に生きたいと。
それを宿命の司が叶えたんだ」
それに対し、ミニットの視界が揺らいだ。
「これが叶えたって言うのか…いつからこの人たちはこうしているんだ…」
むけけけけ。
死の司はこんなときなのに、そう笑った。
「怒らないね、キミは。……そういう風に作られちゃったのかな?
「ん?」
小声で呟かれた言葉に、ミニットは首をかしげる。
「だから、昔むかしさ。それで、他の司たちが怒って、
宿命の司に攻撃を加えたんだ。そこで宿命の司は――」
きょろきょろと、死の司は辺りを見回し、ミニットの耳元でささやいた。
「誰も自分に勝つことができない、という誰もが持つ宿命を発動させて、
司を滅ぼしたのさ」
ミニットの心の臓がきゅうっと冷えた。
「なんて身勝手な…」
覚えたのは、恐怖。
「怒らないんだね」
不思議そうに死の司は言う。
「僕は司じゃない。力の差がありすぎる。怒りも覚えたと思うよ?
でも、例えばそれを表に出したら殺される。それを無意識に感じたんだと思う」
そう答えると、死の司は満足そうに微笑んで、ミニットを抱き寄せこう言った。
「さすがだね、俺の息子」
「え?」

冥王に作られた、冥界に住む、10人の精鋭。
それが冥使である。
反応に困ったよ。
なにがって、この世界に長くいるけど、真面目に歩いたことは無いからね。
僕らの目の前に、変なのが現れたんだ。
どう変なの? と聞かれると困るね。
だって、反応に困るような見た目なんだから。

だけど強かったよ。
前線に立っている僕はぼこぼこにされてしまった。
ふふ、悪くないね。
そういう風に扱われるのは好きだから。
だけど悔しいんだ。
相手は2体いたんだけど、どっちの首も撥ねられなかったからね。
そうそう。人間型だったんだよ。
今度はやりたいなぁ。

そういえば水作りの経過だけど。
最初はあのまずい果物を摩り下ろしたんだ。でもお話しにならなかった。
だから「子供向けの科学」っていう本を読んでみてね。
…まあ、僕は200歳をゆうに超えているんだけど。
それで、沈殿っていう方法を知ったんだ。
摩り下ろしたものを置いておくと、重い部分は沈んで、軽いものは浮く。
見てみたら、真ん中が透明になっていた(ように見えた)ので、
それを試しに出してみたんだけど…
どんな評価がもらえるかな?
楽しみだよ。
「え、水が無い?」
ミニットが聞かされたのは、無法の街:タルタス周辺の自然には、
清純な水が無いという事実であった。

近くの湖から水をひこうにも、その水は濁っており、病の源になるという。
地を削り、井戸を掘っても乾いた土ばかり。
たとえ井戸ができたとしても、毒が盛られる可能性も大いにあるという始末だとか。
「なるほど。そんなまずい水を吸って生きているから、果物もまずいんだね」
納得してしまったところで、さてどうするか。それを考えなくてはならない。

「まあ、普通の水が無いのはわかっていたけど…
ここまでどうしようもないとはねぇ」
こぼれる愚痴。
「まあ、逆に見つかれば大儲け…じゃなかった、業も許される可能性が高いよね」
けれどポジティブシンキング。
「まずは…」

清浄な水。
それを手に入れる方法は、簡単に考えると二つ思い当たった。
一つは、この世界に詳しい人から聞くこと。
「まあ…そんな人がいたら、とっくに水が行きわたってるかな?
でも可能性はゼロじゃないよね。他人の言うことも信用できそうにない街だ、
情報を持っていても、信じてもらえるとは限らない」
もう一つは、作ること。
「魔法で出ないかなぁ? この土地からだと無理かな?」

そんなことを考えながら、適当に人探しをした結果が以下のとおり。
1.なんと、もともとこの世界出身だという少女
2.料理の腕がうますぎて、食材から水を抽出できるという女性
3.精霊(字が違うがミニットは気がついていないようだ)

そんな3人を守るため、自分以外にも戦い慣れしていそうな人物を加える。

そして、荷台を買うと、愛馬を呼び出した。

―青ざめた馬―

エンティの終焉を呼ぶ馬だったりするのだが、この世界では関係ない。
ミニットはそれをただの馬のように荷台に繋げると、
5人を見渡してクスリと笑った。

なぜならこの5人、集めるのもなかなか大変だったのだから――
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