定期更新型ネットゲーム「Ikki Fantasy」「Sicx Lives」「Flase Island」と「Seven Devils」、「The Golden Lore」の記録です。
カテゴリー「定期日誌」の記事一覧
- 2025.09.11 [PR]
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- 2010.03.19 探索21日目
- 2010.03.11 探索20日目
- 2010.03.04 探索19日目
- 2010.02.24 探索18日目
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蛸。
タコ。
タコが、フェイテルの前に立ちはだかった。
見上げるほどのそのタコに、可愛らしい顔立ちねと、
フェイテルは感想を抱いていた。
「みんなよろしくね」
その言葉と共に、邪心が召喚される。
シャル、カルニア、エリアス、フォーゼ。
彼らも敵対する相手を見て、呆然とした。
「大きいなー」
「今にはじまったことじゃないですけど」
「立ちはだかるなら、斬る」
「これはとてもおいしそうだ!」
4者4様。
勝手なことを言いつつ、それぞれ準備をはじめる。
臨戦態勢、などという立派なものは、彼らには無かった。
「ボクの華麗な踊りを見るがいい!」
最初に動いたのは、シャルだ。
普段、皆の前で披露している、カリスマ全壊のほにゃらら笑顔は無く、
真剣な顔で踊りつづける。
銀の長い髪が厳しい太陽の光を浴びて煌めく。
その様子を見て、フェイテルは、にっこりと笑った。
そこにタコの触手がビュンと音を立てて向かっていった。
「!」
エリアスがフェイテルの前に躍り出ると、触手を切り払いにかかった。
しかし、全てを防ぐことはできず、フェイテルに1発当たってしまう。
「ちっ…!」
エリアスは悔しげに言うが、フェイテルは一言も発しない。
そのフェイテルの横にフォーゼが歩み出て、にこりと笑って小さく呟いた。
「……、さあ、どれがフェイテル様かわかるかな?」
すると、フェイテルの周りに鏡が出現し、光を放った。
その次の瞬間にはフェイテルの姿が3人になっていた。
「ワォ!」
シャルが言う。タコがうろたえたのがわかったからだ。
---------------結果上はココまで----------------
だがタコは怯むことなく、墨を噴出した。
「…ハズレ、だね」
フォーゼがニヤリと笑った。
狙われたフェイテルが鏡に変わると、攻撃を反射する。だが――
「あれあれー? フェイテルサマも黒くなってるよ」
「あらま」
シャルの指摘どおり、フェイテルも墨まみれだ。
「大丈夫よ」
にこりと笑うフェイテルだが、黒くなっているため、なんだか痛々しい。
このままではいけないと思ったのか、シャルが飛び出した。
「あーはっはっはっは! 行け、ボクの人形たちよ!」
そして現れるたくさんのシャルの人形Aタイプ。シャルを幼くし、
さらにデフォルメされたその人形は、杖を振り振り、タコの周りを飛び回った。
その隙に、エリアスが剣を構えると、タコの触手の合間に見えた、
体、そのものらしきものに突撃した。
「?!」
直撃した、とエリアスは思っていたため、驚きの表情になる。タコの体は軟体で、
思うように剣が突き刺さらなかったのだ。
思い思いに動いた反動だろう、次に攻勢になったのはタコのほうだった。墨が飛び、
触手がフェイテルを襲う。
「くっ、フェイテルばかり狙って…!」
なんとか触手の合間を縫ってフェイテルに接近したエリアスは、フェイテルへの
4撃目を抱えてかわした。
「さあ、ショーの始まりです!」
今までなにもしていなかったカルニアが突如言う。
天まで立ち昇る炎。
足元をすくう水飛沫。
吹き飛ばさんばかりの嵐。
そして、降り注ぐ岩の群れ。
しかし、タコは器用に魔法を避けてみせたのだ。
「ばかな…」
素を出してカルニアは呆然とつぶやく。
「もう、しっかりなさい」
フェイテルはそう言うと、再び飛んできたタコの触手を半歩だけ歩いてかわした。
「好きにはさせん!」
満身創痍のカルニアの横からエリアスが飛び出して、タコに二連撃を喰らわせる。
しかしタコは怯まない。再び襲い掛かる墨。もともと真っ黒なエリアスだが、
わずかな肌色の部分まで真っ黒だ。
ここからは殴り合いになった。
シャルは爪を、カルニアはワイヤーを、エリアスはもちろん剣を、
フォーゼは杖を持ち、それぞれ、各方面からタコに攻撃を加え、翻弄する。
しかしそれでもフェイテルへのダメージは蓄積していった。
「厳しいわ」
笑顔のまま、フェイテルは呟く。
そこへシャルが空中から剣を作り出すと、タコに向けて突き刺した。
魔の力によって作られたそれは、タコにしっかりと食い込む。
「よくやったわね、いい子」
満足そうなフェイテル。悠長に構える彼女をエリアスは抱え、逃げ回った。
「うまく攻撃が通らないね。このままじゃ、僕たちが押し負ける」
フォーゼが淡々と言う。
「随分と冷静なんですね? 私はもういっぱいいっぱいですよぅ~」
小さなワイヤーの先端につく針で
果たしてどれだけ相手にダメージを与えているのだろうか。
カルニアは疑問だった。そしてそれがそのまま精神的なダメージとなり、
彼の力を落としていく。そして――
「恥じることはないぜ、相手が悪かっただけだ」
タコの声を聞いた。
はっとして邪心たちは自分の主に視線を送る。
一度倒れた彼女はゆっくりと立ち上がった。
「この島の守護者への信仰――私には無いも同然。みんな、二度目は無くてよ」
フェイテルはそれでも笑顔だった。
「まったく!」
シャルはそう叱責した。それはフェイテルへか、皆へか、それとも自分へか。
再び魔法剣を作り出し、タコに突き刺す。
「あの攻撃は通っている…なのに何故」
何故、相手は倒れぬのだ? エリアスは苛立ちを隠せなくなってきた。
「落ち着きなよ。慌ててもどうにもならないよ」
フォーゼはお茶でも飲みだしそうな勢いのマイペースである。
「そこ! 話している暇があったら手を動かす!」
シャルが声を飛ばす。その間にもシャルは魔法剣で攻撃、
フェイテルへの攻撃の切り払いを行っている。
カルニアは、大呪文を打ち切って倒れている。
「また来な、遊んでやるぜ」
そして、この声である。
「防御が…体力が万全なら、タコなんかに、はっ!」
と、カルニアが悔しそうに言う。
「タコ食べたかったな…」
フォーゼは倒れたまま呟く。
魔法使い組がまだ何か言う元気があるのに対して、
前衛二人は完全に黙り込んでいた。
肩で息をしている。
「……」
「………」
シャルとエリアスがアイコンタクトでなにか話している。
ああ、混ぜてくださいよぅ。
そう言おうとして、カルニアの中でなにかが切れ、ぱたりと倒れこんだ。
こうして、人間のようで人間でないなにか5人組は、全滅という事態に
あいまったのであった。
タコ。
タコが、フェイテルの前に立ちはだかった。
見上げるほどのそのタコに、可愛らしい顔立ちねと、
フェイテルは感想を抱いていた。
「みんなよろしくね」
その言葉と共に、邪心が召喚される。
シャル、カルニア、エリアス、フォーゼ。
彼らも敵対する相手を見て、呆然とした。
「大きいなー」
「今にはじまったことじゃないですけど」
「立ちはだかるなら、斬る」
「これはとてもおいしそうだ!」
4者4様。
勝手なことを言いつつ、それぞれ準備をはじめる。
臨戦態勢、などという立派なものは、彼らには無かった。
「ボクの華麗な踊りを見るがいい!」
最初に動いたのは、シャルだ。
普段、皆の前で披露している、カリスマ全壊のほにゃらら笑顔は無く、
真剣な顔で踊りつづける。
銀の長い髪が厳しい太陽の光を浴びて煌めく。
その様子を見て、フェイテルは、にっこりと笑った。
そこにタコの触手がビュンと音を立てて向かっていった。
「!」
エリアスがフェイテルの前に躍り出ると、触手を切り払いにかかった。
しかし、全てを防ぐことはできず、フェイテルに1発当たってしまう。
「ちっ…!」
エリアスは悔しげに言うが、フェイテルは一言も発しない。
そのフェイテルの横にフォーゼが歩み出て、にこりと笑って小さく呟いた。
「……、さあ、どれがフェイテル様かわかるかな?」
すると、フェイテルの周りに鏡が出現し、光を放った。
その次の瞬間にはフェイテルの姿が3人になっていた。
「ワォ!」
シャルが言う。タコがうろたえたのがわかったからだ。
---------------結果上はココまで----------------
だがタコは怯むことなく、墨を噴出した。
「…ハズレ、だね」
フォーゼがニヤリと笑った。
狙われたフェイテルが鏡に変わると、攻撃を反射する。だが――
「あれあれー? フェイテルサマも黒くなってるよ」
「あらま」
シャルの指摘どおり、フェイテルも墨まみれだ。
「大丈夫よ」
にこりと笑うフェイテルだが、黒くなっているため、なんだか痛々しい。
このままではいけないと思ったのか、シャルが飛び出した。
「あーはっはっはっは! 行け、ボクの人形たちよ!」
そして現れるたくさんのシャルの人形Aタイプ。シャルを幼くし、
さらにデフォルメされたその人形は、杖を振り振り、タコの周りを飛び回った。
その隙に、エリアスが剣を構えると、タコの触手の合間に見えた、
体、そのものらしきものに突撃した。
「?!」
直撃した、とエリアスは思っていたため、驚きの表情になる。タコの体は軟体で、
思うように剣が突き刺さらなかったのだ。
思い思いに動いた反動だろう、次に攻勢になったのはタコのほうだった。墨が飛び、
触手がフェイテルを襲う。
「くっ、フェイテルばかり狙って…!」
なんとか触手の合間を縫ってフェイテルに接近したエリアスは、フェイテルへの
4撃目を抱えてかわした。
「さあ、ショーの始まりです!」
今までなにもしていなかったカルニアが突如言う。
天まで立ち昇る炎。
足元をすくう水飛沫。
吹き飛ばさんばかりの嵐。
そして、降り注ぐ岩の群れ。
しかし、タコは器用に魔法を避けてみせたのだ。
「ばかな…」
素を出してカルニアは呆然とつぶやく。
「もう、しっかりなさい」
フェイテルはそう言うと、再び飛んできたタコの触手を半歩だけ歩いてかわした。
「好きにはさせん!」
満身創痍のカルニアの横からエリアスが飛び出して、タコに二連撃を喰らわせる。
しかしタコは怯まない。再び襲い掛かる墨。もともと真っ黒なエリアスだが、
わずかな肌色の部分まで真っ黒だ。
ここからは殴り合いになった。
シャルは爪を、カルニアはワイヤーを、エリアスはもちろん剣を、
フォーゼは杖を持ち、それぞれ、各方面からタコに攻撃を加え、翻弄する。
しかしそれでもフェイテルへのダメージは蓄積していった。
「厳しいわ」
笑顔のまま、フェイテルは呟く。
そこへシャルが空中から剣を作り出すと、タコに向けて突き刺した。
魔の力によって作られたそれは、タコにしっかりと食い込む。
「よくやったわね、いい子」
満足そうなフェイテル。悠長に構える彼女をエリアスは抱え、逃げ回った。
「うまく攻撃が通らないね。このままじゃ、僕たちが押し負ける」
フォーゼが淡々と言う。
「随分と冷静なんですね? 私はもういっぱいいっぱいですよぅ~」
小さなワイヤーの先端につく針で
果たしてどれだけ相手にダメージを与えているのだろうか。
カルニアは疑問だった。そしてそれがそのまま精神的なダメージとなり、
彼の力を落としていく。そして――
「恥じることはないぜ、相手が悪かっただけだ」
タコの声を聞いた。
はっとして邪心たちは自分の主に視線を送る。
一度倒れた彼女はゆっくりと立ち上がった。
「この島の守護者への信仰――私には無いも同然。みんな、二度目は無くてよ」
フェイテルはそれでも笑顔だった。
「まったく!」
シャルはそう叱責した。それはフェイテルへか、皆へか、それとも自分へか。
再び魔法剣を作り出し、タコに突き刺す。
「あの攻撃は通っている…なのに何故」
何故、相手は倒れぬのだ? エリアスは苛立ちを隠せなくなってきた。
「落ち着きなよ。慌ててもどうにもならないよ」
フォーゼはお茶でも飲みだしそうな勢いのマイペースである。
「そこ! 話している暇があったら手を動かす!」
シャルが声を飛ばす。その間にもシャルは魔法剣で攻撃、
フェイテルへの攻撃の切り払いを行っている。
カルニアは、大呪文を打ち切って倒れている。
「また来な、遊んでやるぜ」
そして、この声である。
「防御が…体力が万全なら、タコなんかに、はっ!」
と、カルニアが悔しそうに言う。
「タコ食べたかったな…」
フォーゼは倒れたまま呟く。
魔法使い組がまだ何か言う元気があるのに対して、
前衛二人は完全に黙り込んでいた。
肩で息をしている。
「……」
「………」
シャルとエリアスがアイコンタクトでなにか話している。
ああ、混ぜてくださいよぅ。
そう言おうとして、カルニアの中でなにかが切れ、ぱたりと倒れこんだ。
こうして、人間のようで人間でないなにか5人組は、全滅という事態に
あいまったのであった。
PR
ヒュペリウス=L=ディスアークウィンドという子は本当に不思議な子。
はじめて出会ったのは遺跡外。
彼女が奏でる音楽に、私は惹かれて寄っていき、
おそらく初めて自分から声をかけたの。
最初は会話がちぐはぐだったわ。
それはきっと私の世間知らずが原因。
私は自分の世界では全てを知っている存在と呼ばれているのよ。
でも、人と接することは全く無かったの。
人の細かな感情なんて、大量の知識からすれば、本当に小さなもの。
だから知識という枠組みの外。
だからね、例えば、彼女が口にするファン、というものがよくわからなかった。
それでファンのことを聞いてみたわ。
そうしたら彼女は言った、音楽に惹かれたらもうファンなのだと。
それで、喜ばせようと思って、私は最初からファンだったのねと言ったのに、
返ってきたのは寂しそうな反応だったわ。
うまくいかないわね。
話の流れで苦手なものを聞かれたわ。
私は特に苦手なものはないの。知らないだけかもしれないけれど
知らないものを苦手と思うことはないでしょう。
だから考えた末、弟を挙げたわ。
あの子は、私を憎んでいるから。
それだけのことを私はしたから。だから仕方がないことなの。
けれど、彼女は私が弟のことを好きだということを見抜いてきた。
そして想い続ければ気持ちは通じると言った、いえ、言ってくれたの。
不思議な子。
なんだか本当にそんな気がしてしまったのだから。
私の知らないタイプなのか、そう考えたわ。
でも違った。
いたのよ、昔私が住んでいたところに。
真っ直ぐで、なにに対しても真剣で。疑うことを知らない人。
あの子が親しくしていた、司のひとり。
でも私が接したことは無かったわ。
私たちはただの門番。特別なことが無い限り、他の司と話すことは無かったの。
だからあの子が他の司と親しくしていたことで
“あの事件”を“私が起こした”というあの子の解釈は間違ってはいない。
私はただ、あの子を独占したかっただけ。
ただ、それだけ。
-------------
「あ、フェイテルサマがなんか書いてる! めずらしー!」
シャルが言うと、フェイテルはさっさと紙を畳み、隠した。
「なにかななにかな? ねーねー、なに書いていたの? 教えてよー!」
けたたましくフェイテルの横でシャルは声を上げる。
途中で執筆を邪魔されたのだが、フェイテルは嫌な顔をせず、
いつもの笑顔で彼に語りかける。
「日記よ」
するとシャルの目が真ん丸になった。
「日記! それは見ちゃいけないね! でもびっくり! フェイテルサマも
日記書いてたんだ!」
そう言ってくるくる踊る。それも日常の光景。
けれど、次に起きたことは日常の事ではなかった。
「シャルも日記を書いているの?」
フェイテルから、話題が投げられた。
ぴたっ。
シャルの回転が止まる。
そして、彼はゆっくりとフェイテルのほうを向いた。
「ふぇ、フェイテルサマからボクに質問があったよ…明日はなに? 杵が降るの?
臼が降るの?」
以前も同じようなことを言っていた気がする。
しかしその後はいつもどおり。
シャルが妙な反応をしたところで、フェイテルは動じることなく、穏やかな微笑みを
浮かべているのだ。
「うーん。えっと、ねぇ…」
日記を書いているか。
はい、いいえのどちらかしか答えはないのに、シャルは口ごもった。
それだけ動揺したのだ。
「さあ、エリアス。今日からお願いしますよ。私は2軍落ちですから。
シクシクシク…」
「あまり悲しそうではないな」
砂浜に立つ、二つの影。
小さなほうの影――カルニアが泣いた声で言うも、大きなほうの影であるエリアスは
淡々と返してきた。
「悲しいですよ! 働かない、それすなわち、魔力がいただけないって
ことなんですよ!」
カルニアが自然に涙をこぼして訴えかけると、エリアスは驚いたのか
気圧されたのか、身を引いた。
「そ、そうか…」
そう言いながら彼は鞘に収まった剣を大事そうに抱く。
「わかった。この剣で…がんばる…」
それを見たカルニアは体の前で手を合わせると、
「はい♪ がんばってくださいね~」
と、あっという間に笑顔になって言った。
その変わり様に、エリアスはつぶやく。
「やはり泣き真似だったのか」
「違いますっ!」
今度は手を力いっぱい下におろすと、頬を膨らませるカルニア。
「ううむ…」
それに対しどうしたものかと悩んでいるのか、エリアスは目を細め淡々と
相手を見る。
しばしの沈黙。
「と、とにかく」
その口火を切ったのはなんとエリアスのほうだった。
「俺は精一杯戦う。お前も力を尽くせ」
「はーい。フェイテル様が倒れない程度に、私の出番がある程度に、
がんばってくださいね♪」
「無理難題を言う…」
カルニアのぶりっ子な笑顔に対しそうつぶやくと、エリアスは黒いマントを翻し、
カルニアの元を去っていく。
「あ。あーあ。まあいいですか。時間になれば、フェイテル様が
呼んでくださいますものね」
そう言って、カルニアも次元を切り裂くと、そこに飛び込んだ。
誰もいなくなった砂浜。
そこに、流れる、小さな、歌声…
海だけが、それを、聞いていた。
はじめて出会ったのは遺跡外。
彼女が奏でる音楽に、私は惹かれて寄っていき、
おそらく初めて自分から声をかけたの。
最初は会話がちぐはぐだったわ。
それはきっと私の世間知らずが原因。
私は自分の世界では全てを知っている存在と呼ばれているのよ。
でも、人と接することは全く無かったの。
人の細かな感情なんて、大量の知識からすれば、本当に小さなもの。
だから知識という枠組みの外。
だからね、例えば、彼女が口にするファン、というものがよくわからなかった。
それでファンのことを聞いてみたわ。
そうしたら彼女は言った、音楽に惹かれたらもうファンなのだと。
それで、喜ばせようと思って、私は最初からファンだったのねと言ったのに、
返ってきたのは寂しそうな反応だったわ。
うまくいかないわね。
話の流れで苦手なものを聞かれたわ。
私は特に苦手なものはないの。知らないだけかもしれないけれど
知らないものを苦手と思うことはないでしょう。
だから考えた末、弟を挙げたわ。
あの子は、私を憎んでいるから。
それだけのことを私はしたから。だから仕方がないことなの。
けれど、彼女は私が弟のことを好きだということを見抜いてきた。
そして想い続ければ気持ちは通じると言った、いえ、言ってくれたの。
不思議な子。
なんだか本当にそんな気がしてしまったのだから。
私の知らないタイプなのか、そう考えたわ。
でも違った。
いたのよ、昔私が住んでいたところに。
真っ直ぐで、なにに対しても真剣で。疑うことを知らない人。
あの子が親しくしていた、司のひとり。
でも私が接したことは無かったわ。
私たちはただの門番。特別なことが無い限り、他の司と話すことは無かったの。
だからあの子が他の司と親しくしていたことで
“あの事件”を“私が起こした”というあの子の解釈は間違ってはいない。
私はただ、あの子を独占したかっただけ。
ただ、それだけ。
-------------
「あ、フェイテルサマがなんか書いてる! めずらしー!」
シャルが言うと、フェイテルはさっさと紙を畳み、隠した。
「なにかななにかな? ねーねー、なに書いていたの? 教えてよー!」
けたたましくフェイテルの横でシャルは声を上げる。
途中で執筆を邪魔されたのだが、フェイテルは嫌な顔をせず、
いつもの笑顔で彼に語りかける。
「日記よ」
するとシャルの目が真ん丸になった。
「日記! それは見ちゃいけないね! でもびっくり! フェイテルサマも
日記書いてたんだ!」
そう言ってくるくる踊る。それも日常の光景。
けれど、次に起きたことは日常の事ではなかった。
「シャルも日記を書いているの?」
フェイテルから、話題が投げられた。
ぴたっ。
シャルの回転が止まる。
そして、彼はゆっくりとフェイテルのほうを向いた。
「ふぇ、フェイテルサマからボクに質問があったよ…明日はなに? 杵が降るの?
臼が降るの?」
以前も同じようなことを言っていた気がする。
しかしその後はいつもどおり。
シャルが妙な反応をしたところで、フェイテルは動じることなく、穏やかな微笑みを
浮かべているのだ。
「うーん。えっと、ねぇ…」
日記を書いているか。
はい、いいえのどちらかしか答えはないのに、シャルは口ごもった。
それだけ動揺したのだ。
「さあ、エリアス。今日からお願いしますよ。私は2軍落ちですから。
シクシクシク…」
「あまり悲しそうではないな」
砂浜に立つ、二つの影。
小さなほうの影――カルニアが泣いた声で言うも、大きなほうの影であるエリアスは
淡々と返してきた。
「悲しいですよ! 働かない、それすなわち、魔力がいただけないって
ことなんですよ!」
カルニアが自然に涙をこぼして訴えかけると、エリアスは驚いたのか
気圧されたのか、身を引いた。
「そ、そうか…」
そう言いながら彼は鞘に収まった剣を大事そうに抱く。
「わかった。この剣で…がんばる…」
それを見たカルニアは体の前で手を合わせると、
「はい♪ がんばってくださいね~」
と、あっという間に笑顔になって言った。
その変わり様に、エリアスはつぶやく。
「やはり泣き真似だったのか」
「違いますっ!」
今度は手を力いっぱい下におろすと、頬を膨らませるカルニア。
「ううむ…」
それに対しどうしたものかと悩んでいるのか、エリアスは目を細め淡々と
相手を見る。
しばしの沈黙。
「と、とにかく」
その口火を切ったのはなんとエリアスのほうだった。
「俺は精一杯戦う。お前も力を尽くせ」
「はーい。フェイテル様が倒れない程度に、私の出番がある程度に、
がんばってくださいね♪」
「無理難題を言う…」
カルニアのぶりっ子な笑顔に対しそうつぶやくと、エリアスは黒いマントを翻し、
カルニアの元を去っていく。
「あ。あーあ。まあいいですか。時間になれば、フェイテル様が
呼んでくださいますものね」
そう言って、カルニアも次元を切り裂くと、そこに飛び込んだ。
誰もいなくなった砂浜。
そこに、流れる、小さな、歌声…
海だけが、それを、聞いていた。
ぼくは一人ぼっち。
周りの者たちは正義を唱える。
でもぼくはそれが正しいとは思えなかった。
だから反抗した。
そして彼らからはぶかれて一人ぼっちになった。
一人は寂しかった。
やがて贄が必要となり、ぼくはぼくの意思でそれに手を上げた。
それからぼくの生活は変わった。
たとえ一人ぼっちでも一人じゃない。
たとえそれがぼくの命を縮めることであっても、後悔しない。
そう思っていたのに。
ぼくが生きるだけで人に害を与えるという声がする。
それが真実なの?
それならばぼくはどうしたらいいの。
ぼくは。
ぼくは。
…………。
そのときぼくは、誰かの言葉を聞いた。
喜んで死を受け入れよ、と。
---------------
「うわあ、ワラビーだって。おいしそうだねぇ…」
フォーゼがうっとりした顔で現れた敵を見て言う。
それに対して年長さんとしての誇りがあるのか、びしっとシャルは言う。
「キミは、まだなにもする気がないんだろう? だったらおとなしくしていてよね」
「マジックミサイル行きますよー!」
傍らには久しぶりの遺跡ではしゃぎまくっているカルニア。
それ以上に、初めての遺跡なのでもう食欲MAXなフォーゼ。
「もうー。キミは、お城にいなくていいの?」
シャルはそんな二人に呆れてダレた。とりあえず、付き合いの薄い且つ、
見込みがありそうなほうに声をかける。
そのシャルの言葉どおりに、エリアスは自分の普段の仕事に出ており、姿は無い。
「大丈夫さ。僕にはね、分身を作る力があるからね」
「へぇー、カルと同じなんだね」
シャルはちょっと皮肉を込めて言ってみる。
それがわかったのかフォーゼは苦笑して答えた。
「いや、彼ほど精密なものじゃないさ。鏡の反射を利用して作っているものだから
動けないし、話せない」
フォーゼはカルニアを見ながら言う。その視線はなんだか冷たいものに見えた。
シャルは問いかける。
「カルのこと、キライなの?」
すると彼はシャルのほうを向き、にこりと微笑んだ。
「彼は好まれるタイプではないだろう。彼自身が、好まれるのを拒んでいるように
僕は感じるけどね」
それはシャルにとってはとても意外な言葉だった。手を無意味にジタバタ
させながら、シャルはフォーゼを追求する。
「カルが好まれるのを拒んでる? 人に好まれて、その隙をついてデータを奪う
奴だよ。人に好まれないと始まらないと思うんだけどなー」
しかしフォーゼはゆるぎない確信があるのか、さらりと答えた。
「もしそれがバレたら、彼は半端ではなく嫌われる。なのにそれに対して恐れを
全く感じていないように見えるんだ」
「ふーん」
シャルはその言葉を頭に置いてカルニアを見る。フォーゼもそれにあわせて
カルニアに視線を再びやった。
「あ。でもワラビーって、とっても強いらしいですよ! 私が食べようとして、
逆にバリバリ食べられちゃったらどうしましょう!」
きゃー、怖いですぅ。そう付け足してカルニアはフェイテルの前でぶりっ子を
している。
「アレは素かい?」
フォーゼが言う。
「演技」
シャルは即答する。
「無意味だよね。フェイテル様は当然それをわかっておられるだろうし、
君たちもそれを知っている。なのにどうして演技をするのだろう?」
不思議な子だね。
フォーゼはそう言うと、カルニアに三度目をやってから、ため息をついた。
「それはですねぇ」
聞いていなかったフリだったのか。カルニアがこちらをくるりと向いた。
「普段からやっておかないと、演技に真実味が出ないからですよ。
急にやっても不自然になってしまうものです。普段からやっていても
ダメな人もいるくらいなのですから~。ね、フェイテル様ー?」
カルニアはフェイテルに振った。
しかしフェイテルは穏やかに微笑んでいるだけである。
「フェイテル様ぁ。同意してくださいよー。沈黙は金って言葉がありますけど
無視は寂しいですぅ」
カルニアはまだエセ敬語を乱舞させている。そして自分で言っておいて喋り続ける。
「能弁は銀。沈黙は金。それなら金のほうがいいですね! お金お金!」
そう言うと本当にぴたっと動かなくなった。
「おいィ? エンストしただけにしか見えないんだが?」
シャルが変な口調を引用して言い出す。
それを見てフォーゼはくすくす笑う。
「君は面白いね。あんなカルニア君とも仲良くできるなんて。嘘ばかりつき、
人の虚を狙い、厚意を踏みにじるような子なんでしょう、
僕が一緒に行動している間、観察した結果によると」
するとシャルはなにか含んだ笑みでフォーゼのほうを振り向いた。
「ホントだね。カルの長所ってなんなんだろう。手先は器用だから雑用係として
扱うにはいいけど、トモダチとして見るといいとこなしだもん。
だけどボクはカルとも仲良くしていたい。それは」
一呼吸置くと、シャルは空を仰いだ。
「ひとりは、寂しいんだ…」
「……」
フォーゼはなにも言わなかった。ただそのシャルをじっと見るだけにとどめている。
「はうぅ…」
静寂はカルニアのため息で終わった。
「やっぱり私はしゃべっていないとダメなようです。さあお二人とも!
私のことは考えないで戦闘のことを考えてください。
フェイテル様の命じられるまま、私たちは戦うんですから。特にシャル。
フォーゼさんの見本になる戦闘をお願いしますよ」
カルニアがダメだしをした。するとシャルはふっと笑い、営業モードに変換した。
「ボクを誰だと思っているんだい? 今日も人形術で敵を魅了してあげるよ」
「魅了じゃないんですけど…」
棒読みのカルニア。言っても無駄だとわかっているからだ。
「人形術か。それは興味深い。ぜひ拝見させてもらうよ」
そう言ってフォーゼは傍らの石に腰掛けた。
ようやく戦闘態勢が整った。
空気を読んでかなにかで大人しくしていたワラビーが、フェイテルを威嚇する。
フェイテルはにっこりと笑って、口を開いた。
「それでは、みんな、お願いね」
周りの者たちは正義を唱える。
でもぼくはそれが正しいとは思えなかった。
だから反抗した。
そして彼らからはぶかれて一人ぼっちになった。
一人は寂しかった。
やがて贄が必要となり、ぼくはぼくの意思でそれに手を上げた。
それからぼくの生活は変わった。
たとえ一人ぼっちでも一人じゃない。
たとえそれがぼくの命を縮めることであっても、後悔しない。
そう思っていたのに。
ぼくが生きるだけで人に害を与えるという声がする。
それが真実なの?
それならばぼくはどうしたらいいの。
ぼくは。
ぼくは。
…………。
そのときぼくは、誰かの言葉を聞いた。
喜んで死を受け入れよ、と。
---------------
「うわあ、ワラビーだって。おいしそうだねぇ…」
フォーゼがうっとりした顔で現れた敵を見て言う。
それに対して年長さんとしての誇りがあるのか、びしっとシャルは言う。
「キミは、まだなにもする気がないんだろう? だったらおとなしくしていてよね」
「マジックミサイル行きますよー!」
傍らには久しぶりの遺跡ではしゃぎまくっているカルニア。
それ以上に、初めての遺跡なのでもう食欲MAXなフォーゼ。
「もうー。キミは、お城にいなくていいの?」
シャルはそんな二人に呆れてダレた。とりあえず、付き合いの薄い且つ、
見込みがありそうなほうに声をかける。
そのシャルの言葉どおりに、エリアスは自分の普段の仕事に出ており、姿は無い。
「大丈夫さ。僕にはね、分身を作る力があるからね」
「へぇー、カルと同じなんだね」
シャルはちょっと皮肉を込めて言ってみる。
それがわかったのかフォーゼは苦笑して答えた。
「いや、彼ほど精密なものじゃないさ。鏡の反射を利用して作っているものだから
動けないし、話せない」
フォーゼはカルニアを見ながら言う。その視線はなんだか冷たいものに見えた。
シャルは問いかける。
「カルのこと、キライなの?」
すると彼はシャルのほうを向き、にこりと微笑んだ。
「彼は好まれるタイプではないだろう。彼自身が、好まれるのを拒んでいるように
僕は感じるけどね」
それはシャルにとってはとても意外な言葉だった。手を無意味にジタバタ
させながら、シャルはフォーゼを追求する。
「カルが好まれるのを拒んでる? 人に好まれて、その隙をついてデータを奪う
奴だよ。人に好まれないと始まらないと思うんだけどなー」
しかしフォーゼはゆるぎない確信があるのか、さらりと答えた。
「もしそれがバレたら、彼は半端ではなく嫌われる。なのにそれに対して恐れを
全く感じていないように見えるんだ」
「ふーん」
シャルはその言葉を頭に置いてカルニアを見る。フォーゼもそれにあわせて
カルニアに視線を再びやった。
「あ。でもワラビーって、とっても強いらしいですよ! 私が食べようとして、
逆にバリバリ食べられちゃったらどうしましょう!」
きゃー、怖いですぅ。そう付け足してカルニアはフェイテルの前でぶりっ子を
している。
「アレは素かい?」
フォーゼが言う。
「演技」
シャルは即答する。
「無意味だよね。フェイテル様は当然それをわかっておられるだろうし、
君たちもそれを知っている。なのにどうして演技をするのだろう?」
不思議な子だね。
フォーゼはそう言うと、カルニアに三度目をやってから、ため息をついた。
「それはですねぇ」
聞いていなかったフリだったのか。カルニアがこちらをくるりと向いた。
「普段からやっておかないと、演技に真実味が出ないからですよ。
急にやっても不自然になってしまうものです。普段からやっていても
ダメな人もいるくらいなのですから~。ね、フェイテル様ー?」
カルニアはフェイテルに振った。
しかしフェイテルは穏やかに微笑んでいるだけである。
「フェイテル様ぁ。同意してくださいよー。沈黙は金って言葉がありますけど
無視は寂しいですぅ」
カルニアはまだエセ敬語を乱舞させている。そして自分で言っておいて喋り続ける。
「能弁は銀。沈黙は金。それなら金のほうがいいですね! お金お金!」
そう言うと本当にぴたっと動かなくなった。
「おいィ? エンストしただけにしか見えないんだが?」
シャルが変な口調を引用して言い出す。
それを見てフォーゼはくすくす笑う。
「君は面白いね。あんなカルニア君とも仲良くできるなんて。嘘ばかりつき、
人の虚を狙い、厚意を踏みにじるような子なんでしょう、
僕が一緒に行動している間、観察した結果によると」
するとシャルはなにか含んだ笑みでフォーゼのほうを振り向いた。
「ホントだね。カルの長所ってなんなんだろう。手先は器用だから雑用係として
扱うにはいいけど、トモダチとして見るといいとこなしだもん。
だけどボクはカルとも仲良くしていたい。それは」
一呼吸置くと、シャルは空を仰いだ。
「ひとりは、寂しいんだ…」
「……」
フォーゼはなにも言わなかった。ただそのシャルをじっと見るだけにとどめている。
「はうぅ…」
静寂はカルニアのため息で終わった。
「やっぱり私はしゃべっていないとダメなようです。さあお二人とも!
私のことは考えないで戦闘のことを考えてください。
フェイテル様の命じられるまま、私たちは戦うんですから。特にシャル。
フォーゼさんの見本になる戦闘をお願いしますよ」
カルニアがダメだしをした。するとシャルはふっと笑い、営業モードに変換した。
「ボクを誰だと思っているんだい? 今日も人形術で敵を魅了してあげるよ」
「魅了じゃないんですけど…」
棒読みのカルニア。言っても無駄だとわかっているからだ。
「人形術か。それは興味深い。ぜひ拝見させてもらうよ」
そう言ってフォーゼは傍らの石に腰掛けた。
ようやく戦闘態勢が整った。
空気を読んでかなにかで大人しくしていたワラビーが、フェイテルを威嚇する。
フェイテルはにっこりと笑って、口を開いた。
「それでは、みんな、お願いね」
「さあ、ボクタチの冒険はこれからだ!」
シャルが嬉しそうに言う。
「…もうすぐ…これが使える」
エリアスは鞘に収まった剣を大事そうに抱えあげた。
「あれ、カルは?」
ここは遺跡外。フェイテルがようやく遺跡に入る気になったらしいので、
呼び出される邪心たちは集まって、準備をしているところなのだ。
「フェイテル様と草摘みに行っているよ」
フォーゼが答える。
「また草食べるのか…」
エリアスは呆れて言う。
「ふ~ん。そういえばキミ、カルから聞いたけど、『あの世界』では
王様やっているんだって? 謁見したときはすごい王様っぽい喋り方だって
聞いたから、ボク、ドキドキしていたのに、普通に喋っているよね。
つまーんなーい」
「PTOだっけ? PKOだっけ? PKだっけ?
つまり、場所にあわせて口調を変えているだけだよ。
こちらが僕の普段の喋り方さ」
シャルに答えたフォーゼは銀髪をパサリとやった。耳が同時にピコピコ動く。
「TPOですよ」
カルニアの声。それに反応して3人は声のあった方向を見る。
「最後なんか、字数もあっていないじゃないですか」
草を大量に抱えたカルニアが立っている。隣ではフェイテルがいつものように
微笑んでいる。
「みなさん、準備はできたのですか?」
「もうバッチリ!」
シャルは両手でピースしてにっこり笑った。
「そうですか~
遺跡楽しみですよねぇ、どんなご飯にめぐり合えるのか!」
カルニアは手がふさがっていなければ、手を正面で組み、かわいいポーズを
とっていたに違いない。
「ご飯かい! ここの敵は食べられるの?!」
フォーゼも目をキラキラさせて聞き返している。
「あら、貴方もそういうキャラだったんですか? どのモンスターもいいデータに
なりますよ~」
すると、フォーゼは耳をしゅんと下げて言った。
「普通に有機物がいいんだけどな。無機物や、有機物でも腐っているのは
ごめんなんだよ」
「ああ、食用でしたか!」
カルニアはポンと手を打つ。自分とは目的が違うのを理解したようだ。
「普通、食べるといったらそっちでしょ」
シャルが指摘する。しかしカルニアは完全に無視。
「食用もいっぱいありますよ~。昔、ここを一緒に冒険した方と一緒にいろいろ
食べました!」
「そうか!」
とたんにフォーゼの顔がぱあっと明るくなる。
と、ぐー、と音が鳴った。
「いやあ、王宮の料理もおいしいよ。でも本来狩りをして食べていたから、
そっちの味のほうに慣れているんだよね」
フォーゼはお腹の音が恥ずかしかったのか、頬を染めて言った。
「なにが特にお好きなんです?」
「蛇」
即答。それを聞いてカルニアは固まる。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! 貴方に初めてお会いしたとき、
一緒にいた貴方の部下らしき子は蛇でしたよね」
「おや。僕と同じようにヒトの姿をとっていたのに、
よくあの子が蛇だってわかったね」
フォーゼは疑惑のまなざしをカルニアに向ける。
カルニアはあはは、と笑って、洞察力には自信があるんですよと言った。
「こっそりデータ取ったんでしょ、どーせ」
シャルがボソっと呟く。
それを聞き逃すフォーゼではない。
「データ採集? どうやってだい?」
口調は先程と全く変わっていないが、声色には黒いなにかが混じっている。
カルニアは彼からのギラギラ光る視線からなんとか逃げようと後ろを向いた。
「いやまあ…害はありませんから。大丈夫ですから!」
「気に入らないなあ。気付かれないように僕や僕の部下からデータを採集した
なんてね」
いつの間にか自分も収集されたことに気付かれている。
カルニアはフォーゼのほうに向き直り、あはは、とごまかし笑いをして
ごまかすのを試みた。
「教えてくれないと、かじってしまうよ?」
「やめておけ。そいつは毒だ。腹に入れたが最後、その部分にも意思が宿り、
お前を乗っ取りにかかるだろう」
「猛毒じゃないか!」
エリアスのつぶやきを聞いて、フォーゼはびっくりしたようだった。
「と。あれ?」
そしてなにか言おうとしたのであろう。しかしその前に何かに気がついて
フォーゼはきょろきょろし始めた。
「どうしたの?」
「僕たちを使役するという人は何処だい?」
そういえばフェイテルの姿が無い。
「いいよいいよ。きっと準備が終わったから、さっさと遺跡に入っちゃったんだよ」
シャルは慣れっこさ、といった風に言う。
「しかし…」
「用があったら勝手に呼ばれる。一応準備ができているなら、『あの世界』に
戻っていてもダイジョウブ」
「そういうものなのかい? でもどうやって戻るんだい?」
「あ」
転送はフェイテルにしかできない。
それに気がついて、シャルは慌ててフェイテルを連れ戻しに走っていった。
『あの世界』よりも遠くに移動したいエリアスも、一緒についていく。
残されたフォーゼとカルニア。
「まあ、お茶でも飲んで待ちましょう」
のんびり言うと、どこからか茶のセット一式を取り出してくつろぎ始めるカルニア。
フォーゼは二人が消えていった遺跡入り口を見ていたが、慌てても仕方がないかと
考え、カルニアの向かいに座る。
「はい、お茶どうぞ。お茶菓子も好きにつまんでください」
それにこくりと頷いて答えると、黙々とフォーゼは菓子を食べ始めた。
そんな、遺跡探索再開の1日目。
シャルが嬉しそうに言う。
「…もうすぐ…これが使える」
エリアスは鞘に収まった剣を大事そうに抱えあげた。
「あれ、カルは?」
ここは遺跡外。フェイテルがようやく遺跡に入る気になったらしいので、
呼び出される邪心たちは集まって、準備をしているところなのだ。
「フェイテル様と草摘みに行っているよ」
フォーゼが答える。
「また草食べるのか…」
エリアスは呆れて言う。
「ふ~ん。そういえばキミ、カルから聞いたけど、『あの世界』では
王様やっているんだって? 謁見したときはすごい王様っぽい喋り方だって
聞いたから、ボク、ドキドキしていたのに、普通に喋っているよね。
つまーんなーい」
「PTOだっけ? PKOだっけ? PKだっけ?
つまり、場所にあわせて口調を変えているだけだよ。
こちらが僕の普段の喋り方さ」
シャルに答えたフォーゼは銀髪をパサリとやった。耳が同時にピコピコ動く。
「TPOですよ」
カルニアの声。それに反応して3人は声のあった方向を見る。
「最後なんか、字数もあっていないじゃないですか」
草を大量に抱えたカルニアが立っている。隣ではフェイテルがいつものように
微笑んでいる。
「みなさん、準備はできたのですか?」
「もうバッチリ!」
シャルは両手でピースしてにっこり笑った。
「そうですか~
遺跡楽しみですよねぇ、どんなご飯にめぐり合えるのか!」
カルニアは手がふさがっていなければ、手を正面で組み、かわいいポーズを
とっていたに違いない。
「ご飯かい! ここの敵は食べられるの?!」
フォーゼも目をキラキラさせて聞き返している。
「あら、貴方もそういうキャラだったんですか? どのモンスターもいいデータに
なりますよ~」
すると、フォーゼは耳をしゅんと下げて言った。
「普通に有機物がいいんだけどな。無機物や、有機物でも腐っているのは
ごめんなんだよ」
「ああ、食用でしたか!」
カルニアはポンと手を打つ。自分とは目的が違うのを理解したようだ。
「普通、食べるといったらそっちでしょ」
シャルが指摘する。しかしカルニアは完全に無視。
「食用もいっぱいありますよ~。昔、ここを一緒に冒険した方と一緒にいろいろ
食べました!」
「そうか!」
とたんにフォーゼの顔がぱあっと明るくなる。
と、ぐー、と音が鳴った。
「いやあ、王宮の料理もおいしいよ。でも本来狩りをして食べていたから、
そっちの味のほうに慣れているんだよね」
フォーゼはお腹の音が恥ずかしかったのか、頬を染めて言った。
「なにが特にお好きなんです?」
「蛇」
即答。それを聞いてカルニアは固まる。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! 貴方に初めてお会いしたとき、
一緒にいた貴方の部下らしき子は蛇でしたよね」
「おや。僕と同じようにヒトの姿をとっていたのに、
よくあの子が蛇だってわかったね」
フォーゼは疑惑のまなざしをカルニアに向ける。
カルニアはあはは、と笑って、洞察力には自信があるんですよと言った。
「こっそりデータ取ったんでしょ、どーせ」
シャルがボソっと呟く。
それを聞き逃すフォーゼではない。
「データ採集? どうやってだい?」
口調は先程と全く変わっていないが、声色には黒いなにかが混じっている。
カルニアは彼からのギラギラ光る視線からなんとか逃げようと後ろを向いた。
「いやまあ…害はありませんから。大丈夫ですから!」
「気に入らないなあ。気付かれないように僕や僕の部下からデータを採集した
なんてね」
いつの間にか自分も収集されたことに気付かれている。
カルニアはフォーゼのほうに向き直り、あはは、とごまかし笑いをして
ごまかすのを試みた。
「教えてくれないと、かじってしまうよ?」
「やめておけ。そいつは毒だ。腹に入れたが最後、その部分にも意思が宿り、
お前を乗っ取りにかかるだろう」
「猛毒じゃないか!」
エリアスのつぶやきを聞いて、フォーゼはびっくりしたようだった。
「と。あれ?」
そしてなにか言おうとしたのであろう。しかしその前に何かに気がついて
フォーゼはきょろきょろし始めた。
「どうしたの?」
「僕たちを使役するという人は何処だい?」
そういえばフェイテルの姿が無い。
「いいよいいよ。きっと準備が終わったから、さっさと遺跡に入っちゃったんだよ」
シャルは慣れっこさ、といった風に言う。
「しかし…」
「用があったら勝手に呼ばれる。一応準備ができているなら、『あの世界』に
戻っていてもダイジョウブ」
「そういうものなのかい? でもどうやって戻るんだい?」
「あ」
転送はフェイテルにしかできない。
それに気がついて、シャルは慌ててフェイテルを連れ戻しに走っていった。
『あの世界』よりも遠くに移動したいエリアスも、一緒についていく。
残されたフォーゼとカルニア。
「まあ、お茶でも飲んで待ちましょう」
のんびり言うと、どこからか茶のセット一式を取り出してくつろぎ始めるカルニア。
フォーゼは二人が消えていった遺跡入り口を見ていたが、慌てても仕方がないかと
考え、カルニアの向かいに座る。
「はい、お茶どうぞ。お茶菓子も好きにつまんでください」
それにこくりと頷いて答えると、黙々とフォーゼは菓子を食べ始めた。
そんな、遺跡探索再開の1日目。
「はーい、みなさん集合! ルチルさんからチョコレートをいただきました!
みんなで食べましょう!」
カルニアがそう言って、合同宿舎のテーブルの上にチョコレートを置いた。
「…ルチル? 聞いた名だな」
「うわぁ! どこから湧きましたかあなたは!?」
今まで合同宿舎内にいたことにはいたのだが、完全に別行動を取っていた者の声を
聞いてカルニアは驚く。
「湧かねぇよ! オレサマ、ずっとここの3階に住んでいるんだがァ?」
その者の名は、ガンマ。カルニアの部下、
すなわちカルニアによって創り出された者。
しかし彼はカルニアのことをなめているのか、
生まれたときから言うことを全く聞かない。そして数億と経った今、
合同宿舎でもフェイテルの視線から逃げるように、宿舎の外、
人里に下りているのだ。そこでなんでも賞金稼ぎをやっているらしい。
ただし、視野から逃げた程度で、フェイテルの監視からは逃れられないのだが。
「で? ルチルさんとはお知り合いなんですか?」
「………嘘ついてもバレるんだったな。名前だけ聞いたことあンだよ」
露骨にカルニアから視線を外し、ガンマはつぶやく。
「えっ、何処で?」
「そんなに根掘り葉掘り聞くんじゃねーよ。オレサマだって思い出したくないことは
山ほどあるんだからよ」
ギリギリ嘘ではないラインでガンマははぐらかす。
なにも知らないカルニアは見事に気がつかない。
「おかしいですねぇ。私は貴方の創造主。生み出してからずっと見張っているのに、
どうして私の知らないことをときどき言うんですか?」
「そんなに言っているか、オレサマ?」
心の底から意外だったため、きょとんとガンマは聞き返す。ガンマからすれば、本当
のこと-自分たち、カルニアの部下は、完全な無から作り出されたわけではない-に
気付かれるとまずいので、気をつけているつもりだったからだ。
「ええ。気がつけば謎の生物と仲よさげにしているではないですか」
「ああ、これか」
ガンマの肩の上にはロイ、という名の小さな生き物が乗っかっている。
見た目は…なんというか説明し難い生き物だ。手のひらサイズで茶色い。
2頭身で頭には小さな角、背中には小さな紫色の翼がついている。
「ろ」
そしてこう鳴く。
「仕方ねぇだろ。この世界にぶっ飛ばされて、気がついたらこいつがいて、
懐かれちまったんだから」
「ガンマって、小さな生き物に懐かれやすいですよね…」
カルニアは感慨深げに言う。
合同宿舎の主、オルドビスには弟妹がいる。それらにもすっかり懐かれているのだ。
カルニアは『ばけものー!』と嫌われているので、自分の一部にすぎないガンマが
懐かれるのがいまいち納得がいっていないのだ。
「ケッ、感謝するぜ。オレサマを部下として作ってくれたことによォ。
分身として作られたら、オレサマもこいつらに懐かれることなく、
化け物呼ばわりされていたはずだからな」
「ろ、ろ」
ガンマが悪態をついている間に、ロイはガンマの肩から降りると、
チョコレートを選び始めた。
「おっと。みんな食べろってことは、オレサマたちも貰っていいんだよな?」
そういうと、チョコレートを抱え込んだロイをつまみ、ソファーへ移動した。
そしてチョコレートをぶんどり、食べている。
「おっとそうでした。チョコレートチョコレート」
カルニアもチョコレートは大好きだ。嬉しそうにチョコレートを手に取る。
「おっ。ルチルさん手作りのチョコレートか。ボクもいただこう」
なぜか営業モード口調のスイッチが入っているシャルがやってきてチョコレートを
手に取る。そしてぽい、と口の中に入れる。
「ほう。これは美味い。ここにこれないフェイテルサマと向こうにいるかもしれない
エリアスとフォーゼ君にもわけてこよう」
そう言うと、がばっとチョコレートを半分ほど手に取り籠に移した。
そしてテレビという名のフェイテルとの通信装置の前で、事の顛末を話し、
遺跡外に転送されていった。
運よく、そこにはエリアスとフォーゼがいた。
シャルはさっと籠を置く。
「…いただく」
「これはこれは…」
エリアスはチョコレートをもぐもぐと食べている。
フォーゼは嬉しそうにチョコレートを手に取ったが、食べる直前でそれを手放した。
「どうしたの?」
シャルが問う。
「…いや、ちょっと、これは食べられない、かな?」
フォーゼが以前とは全然違う口調で苦々しい顔をして言う。
「なんと失礼な。せっかくルチルさんが作ってくれたんだぞ」
そう言って、シャルはフォーゼが手放したチョコレートをぽいと
口の中に放り込んだ。
「あ」
「まったく、美味しいのに…………」
文句を言っていたシャルがフリーズした。
フォーゼは「やっちまったぜ!」といった感じで気まずそうな顔をする。
シャルは 倒れた…!
「他のものは…うん、これはおいしそうだ」
仕方がないので無かったことにして、フォーゼはチョコレートを選び取り、
おいしくいただいた。
ちなみに味覚のないフェイテルは、バリバリ失敗チョコもいただいていたという。
みんなで食べましょう!」
カルニアがそう言って、合同宿舎のテーブルの上にチョコレートを置いた。
「…ルチル? 聞いた名だな」
「うわぁ! どこから湧きましたかあなたは!?」
今まで合同宿舎内にいたことにはいたのだが、完全に別行動を取っていた者の声を
聞いてカルニアは驚く。
「湧かねぇよ! オレサマ、ずっとここの3階に住んでいるんだがァ?」
その者の名は、ガンマ。カルニアの部下、
すなわちカルニアによって創り出された者。
しかし彼はカルニアのことをなめているのか、
生まれたときから言うことを全く聞かない。そして数億と経った今、
合同宿舎でもフェイテルの視線から逃げるように、宿舎の外、
人里に下りているのだ。そこでなんでも賞金稼ぎをやっているらしい。
ただし、視野から逃げた程度で、フェイテルの監視からは逃れられないのだが。
「で? ルチルさんとはお知り合いなんですか?」
「………嘘ついてもバレるんだったな。名前だけ聞いたことあンだよ」
露骨にカルニアから視線を外し、ガンマはつぶやく。
「えっ、何処で?」
「そんなに根掘り葉掘り聞くんじゃねーよ。オレサマだって思い出したくないことは
山ほどあるんだからよ」
ギリギリ嘘ではないラインでガンマははぐらかす。
なにも知らないカルニアは見事に気がつかない。
「おかしいですねぇ。私は貴方の創造主。生み出してからずっと見張っているのに、
どうして私の知らないことをときどき言うんですか?」
「そんなに言っているか、オレサマ?」
心の底から意外だったため、きょとんとガンマは聞き返す。ガンマからすれば、本当
のこと-自分たち、カルニアの部下は、完全な無から作り出されたわけではない-に
気付かれるとまずいので、気をつけているつもりだったからだ。
「ええ。気がつけば謎の生物と仲よさげにしているではないですか」
「ああ、これか」
ガンマの肩の上にはロイ、という名の小さな生き物が乗っかっている。
見た目は…なんというか説明し難い生き物だ。手のひらサイズで茶色い。
2頭身で頭には小さな角、背中には小さな紫色の翼がついている。
「ろ」
そしてこう鳴く。
「仕方ねぇだろ。この世界にぶっ飛ばされて、気がついたらこいつがいて、
懐かれちまったんだから」
「ガンマって、小さな生き物に懐かれやすいですよね…」
カルニアは感慨深げに言う。
合同宿舎の主、オルドビスには弟妹がいる。それらにもすっかり懐かれているのだ。
カルニアは『ばけものー!』と嫌われているので、自分の一部にすぎないガンマが
懐かれるのがいまいち納得がいっていないのだ。
「ケッ、感謝するぜ。オレサマを部下として作ってくれたことによォ。
分身として作られたら、オレサマもこいつらに懐かれることなく、
化け物呼ばわりされていたはずだからな」
「ろ、ろ」
ガンマが悪態をついている間に、ロイはガンマの肩から降りると、
チョコレートを選び始めた。
「おっと。みんな食べろってことは、オレサマたちも貰っていいんだよな?」
そういうと、チョコレートを抱え込んだロイをつまみ、ソファーへ移動した。
そしてチョコレートをぶんどり、食べている。
「おっとそうでした。チョコレートチョコレート」
カルニアもチョコレートは大好きだ。嬉しそうにチョコレートを手に取る。
「おっ。ルチルさん手作りのチョコレートか。ボクもいただこう」
なぜか営業モード口調のスイッチが入っているシャルがやってきてチョコレートを
手に取る。そしてぽい、と口の中に入れる。
「ほう。これは美味い。ここにこれないフェイテルサマと向こうにいるかもしれない
エリアスとフォーゼ君にもわけてこよう」
そう言うと、がばっとチョコレートを半分ほど手に取り籠に移した。
そしてテレビという名のフェイテルとの通信装置の前で、事の顛末を話し、
遺跡外に転送されていった。
運よく、そこにはエリアスとフォーゼがいた。
シャルはさっと籠を置く。
「…いただく」
「これはこれは…」
エリアスはチョコレートをもぐもぐと食べている。
フォーゼは嬉しそうにチョコレートを手に取ったが、食べる直前でそれを手放した。
「どうしたの?」
シャルが問う。
「…いや、ちょっと、これは食べられない、かな?」
フォーゼが以前とは全然違う口調で苦々しい顔をして言う。
「なんと失礼な。せっかくルチルさんが作ってくれたんだぞ」
そう言って、シャルはフォーゼが手放したチョコレートをぽいと
口の中に放り込んだ。
「あ」
「まったく、美味しいのに…………」
文句を言っていたシャルがフリーズした。
フォーゼは「やっちまったぜ!」といった感じで気まずそうな顔をする。
シャルは 倒れた…!
「他のものは…うん、これはおいしそうだ」
仕方がないので無かったことにして、フォーゼはチョコレートを選び取り、
おいしくいただいた。
ちなみに味覚のないフェイテルは、バリバリ失敗チョコもいただいていたという。